大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第127回

2014年08月26日 14時09分31秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第120回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第127回



それを見た更紗が少し間をおいて

「結構自由に出来てるみたいだけど、もしかして結婚は?」

「してないです。 したくないんです」

「どうして? 嫌な事でもあったの?」

「いろいろあって・・・」

「あ、ごめんなさい私とした事が・・・琴音さんといると職業を忘れちゃうわ」

「え? カウンセリングですか?」

「ええ。 カウンセリングではこんなにストレートに聞かないもの。 これが仕事中なら完全に失格ね」

「お仕事の顔を捨ててくださる方が私としては嬉しいです」

「まぁ、ありがとう。 そう言ってもらえると私も嬉しいわ」 間をおいたかと思うと続けて 

「そう、結婚をしたくないのね」

「あ、お話が戻るんですね」

「あら、ごめんなさい。 でもそれってもしかしたら結婚をしないことが必要なのかもしれないわよ」

「しないことが必要?」

「そう、これからすることに少なくとも今は結婚が必要ないって言うの? 時間的制限を考えたら結婚をするって時間の自由がないじゃない? ま、あとにどう変わるかは分からないけど。 だけど・・・」

「はい?」

「・・・その色々な理由を聞くわけじゃないけどもしかしたらそれが第四チャクラを・・・あ、第四はハートチャクラとも言ってね、ハートって言うくらいだから想像付くでしょ?」

「はい」

「他に比べて 第四と第五のチャクラがあまり・・・そうね、結婚まで考えなくても人を愛さないと・・・ね?」 それを聞いてすかさず

「急には難しいですね」

「少しずつでいいわよ。 それに恋愛じゃなくてもいいのよ」

「あ、それもちょっと急には難しいです。 あはは」 照れ隠しに笑ってみせている。

「え? なに? ・・・もしかして 人間不信?」

「あ・・・」

「ええ? そうなの? 確かにそういう感じはするけど。 でも今、私と話している限りではそんな風に思えないんだけどなぁ」

「はい、そうなんです。 私も不思議なんです。 私人見知りって言うかあまり人と話せないんです。 それが更紗さんとはそんな事がなくて・・・」

「まぁ、嬉しいわ!」 更紗が目を見開いてそう言ったかと思うとその途端、更紗の横で声がした。

「それって 織倉さんが更紗さんに強引に引っ張られてるだけじゃないですか?」 

「あ、いつの間に!」 更紗が横を向くとそこには野瀬が立っていた。

「なんてこと言うのよ。 そんなわけないじゃない。 それに野瀬君、遅すぎない?」

「珍しいですね。 更紗さんが話に夢中で正道(せいどう)さんに気付かないなんて」

「え?」 野瀬から目を外すと隣に正道が立っていた。

60歳代くらいであろうか、背が高く特に太くも細くもなく着物を着ている男性だ。

「まぁ、どうしましょう。 失礼致しました」 すぐに椅子から立ち上がった更紗。

それを見て琴音もすぐに立ったが、さっきのホテルでの更紗の雰囲気とはまた違うものを感じた。

「お久しぶりですな。 相変わらずお元気そうで」

「はい。 毎日楽しくやっております。 正道さんもお元気そうで」

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