大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第135回

2014年09月23日 15時05分47秒 | 小説
『みち』 目次



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『みち』 ~道~  第135回



「お米って昔から伝わる日本の食じゃない。 本来、一番日本人の身体にあったものなのよ。 それにお米っていう漢字を考えて」 サラダを口に入れた。

「漢字ですか?」

「そう、四方八方に出てるでしょ?」

「出てるって?」

「米って 十っていう漢字にチョンチョンと斜めに4つあるじゃない。 十は上下左右に向いてるでしょ?」

「あ、分かりました。 八方向に線が向いてるんですね」

「そう。 その線っていうのが光の事なの。 光が八方向に向いてるのよ。 そんなエネルギーを持ってるのよ。 って、これは和尚から聞いた話なんだけどね」

「漢字をそんな風に考えるんですか?」

「きっと琴音さんの身体が日本人としてのエネルギーを欲しているのよ。 ピラフみたいに色んな物が混ざるより本来のお米をね」

「そう言われればお味噌もそうですよね。 日本人が長く食してきてますよね」 それを聞いて肉を頬張っていた野瀬が話しに入ってきた。

「縄文時代から製塩は行われていたらしいけど、確か味噌は奈良時代の文献に残っていたはずだなぁ」 

「あら? そうなの? 野瀬君、意外な事を知ってるじゃない」

「縄文人って言えばお酒が好きだったらしいですね」 琴音が以前読んだ本の知識を話すと

「へぇー、そうなの?」 思いもしない話に更紗が驚いているようだ。

「織倉さんそんなことをよく知ってますね」 

「色んな本を読んでるんですけど・・・その・・・縄文時代が結構好きで」 いいにくそうに言うと

「おお! そうなんですか? うわ、嬉しいなぁ 話せる相手が見つかった!」

「え? 野瀬さんも縄文時代が好きなんですか?」 思いもしない野瀬の言葉だった。

「ええ、大好きなんですよ。 これからは縄文談義をしませんか?」 慌てて思わず更紗が口を挿んだ。

「ちょっと待ってよ、私がついていけないじゃない」 それを聞いて、縄文仲間が見つかったと気が大きくなった琴音が

「更紗さんは縄文時代に全然興味がないんですか?」

「興味って言われると答えにくいけどそう聞かれると無いわけじゃないわよ。 でも今は何の知識もないわ」

「じゃあ丁度いいじゃないですか僕と織倉さんで教えて差し上げますよ」

「今は結構よ」 パスタをクルクルとフォークに巻く。

「素直じゃないなぁ」

「そんなんじゃないわよ。 でも最近、歴女ってよく聞くけどもっと違う時代なんじゃないの? それに男性も歴史が好きって言っても武将時代でしょ?」

「あ、別に私 歴女じゃないですよ」

「そうですね歴女って最近聞きますけどいつの時代なんでしょうね。 でも少なくとも縄文時代じゃないでしょうね。 だから織倉さんは今流行の歴女とはいえないでしょうね」 

「歴女どころか縄文時代の話なんて誰も聞いてくれませんもん」

「確かに、男友達と話しても織田信長とか豊臣だとかですよ。 縄文時代の話をするやつなんて居ませんね。 でも僕は武将時代には興味ありませんね」

「二人とも何なの? そんなに縄文時代っていいの?」

「いいですよー。 だから二人で教えますって」

「ああ、要らない要らない。 今はそんな話が入る隙がないわよ」

「お仕事お忙しいんですか?」

「まあね。 でもだからこそこうやって息抜きをしたいの。 琴音さんには付き合わせちゃってるけど」

「そんな事ないですよ。 誘ってくださって嬉しいですし、まさか縄文時代のお話が出来るなんて思ってもいませんでしたから」

「二人とも縄文時代意外に好きな時代とかってないの?」

「そうだなぁ、僕は主に縄文時代で流れとしてはそのまま遡って平安時代までかな」

「え!? そうなんですか?」 ピラフを口に入れようとしていた琴音が目を輝かせて聞いた。

「それって、どう判断していい反応ですか?」

「私もなんです」

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