自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

フィリピン800km 4日目前編

2024年03月19日 22時07分29秒 | 自転車



今回の目的地・バタッド村は
少数民族・イフガオが暮らす小さな集落だ






急斜面にあるため 階段がハシゴのようだ





歩きやすいグラベルシューズとはいえ
コケでツルツルな上に微妙に斜めっている階段は
地獄でしかない(笑)






ホテルはこの村の中にあり
窓からの棚田の眺めが売りらしい






1泊1500円





洗濯物をかける場所がない…



宿のおとっつぁんが淹れてくれた
薄〜いインスタントコーヒーを飲みながら
宿の説明を受ける


・電気は午後6時から9時までしか使えない
・シャワーのお湯も電気で沸かすのでその時間しか出ない
・今朝まで日本人女性2人がホームステイしていたが帰国した


女性ふたりはサステナブルなことを研究している方らしい
お会いしてみたかった









携帯の電波は入らない
洗濯物が乾くことを祈って干したり
窓からボーッと外を眺めて過ごした

待ちに待った電気開通と同時にシャワーを浴びるが
お湯は結局出なかった(笑)





ふらりと出てきたご老人
着ているのはイフガオの民族衣装だ
写真を頼むと 二つ返事だったが
あとで写真代を要求された(笑)
5ペソ(14円)渡したら しょんぼりしていた
さすがに少なすぎたな(笑)






夕食 (800円・観光地価格)を済ませると
宿のおとっつぁんが「マッサージするか?」と聞いてきた



1時間1400円
まさかこの山奥でマッサージが受けられるとは


「今すぐお願いできるか?」と聞くと おとっつぁんは
「そうだな…」と視線を泳がせ
「5分待ってくれ」という


おとっつぁんの視線の先を見ると いつの間に来たのだろう
3人のおばさまが談笑していた


あの3人は マッサージ要員として来たに違いない



30分後
ドタドタと音がして部屋に入って来たのは
2人のおばさまだった
黒澤明の映画に出てくる
千秋実と藤原釜足に似ていた


「2人?」と聞くと
「そうよ! 2人でシェアすることにしたのよ。
 だってお客はアンタだけなんだもんよ!」


藤原釜足が大きな口をかっぴろげて
ニンマリ笑った


きっとあの後 1つの稼ぎ口を巡って協議が行われ
この2人が譲らなかったのだろう(笑)




2人はどことなく似ていて 聞くといとこだそうだが
私は呼びやすいように心の中で「バタッドの美人姉妹」と名付けた



千秋実が脚を 藤原釜足が背中を揉み始めた
手のひらがガサガサして生活感を匂わせたが
想像よりも丁寧で上手だった


「オイルマッサージよ」と取り出したオイルは
タイガー・バームのような匂いがした
私は鼻が弱いので くしゃみを我慢するのに苦労した(笑)


お礼は 2人で分けやすいよう多めに渡した
美人姉妹は ふたり仲良くご機嫌で帰っていった








さて 帰路である


今日は2日目・3日目のルートを一気に戻る200km
獲得標高は2000mほど
途中 標高900mの峠越えがメインディッシュとなる





もう一度ここに来ることがあるだろうか…


二度と来ないと思った場所に 何度も行くことだってある
人生は先が見えないから面白い




宿のおとっつぁんが 自転車を預けたランボーに無線で連絡をとってくれたが
来たのはランボーの手下だった





ランボーは寝坊したらしい(笑)
自転車さえ無事ならなんでもOKだ


荷物を整理し チェーンにワックスを塗って
朝8時に出発した






来るとき通った激坂は 戻りの方が超激坂だった…





要塞のようなバナウェの町






ここにホテルをとり バスで棚田に向かうのが良いと思う
あそこは自転車で行く場所ではない(笑)





急斜面にある町は 激坂天国だった
これまで見なかった外国人観光客がちらほら歩いていた






この辺りは ルソン島を占領していた日本軍が逃げに逃げて
最後に降伏した場所だという
こんな異国の地で 村を襲って食糧を強奪しながら
兵士たちはどんな気分で生きていたのだろうか


「日本は神の国だ」という宣伝を盲信して他国に攻め入った人たちと
「こいつが犯人だ」という投稿を盲信してシェアする人たちと
人間は数十年ぽっちでは変わらないし
再び同じような過ちを犯すのだろうなあと ぼんやり考えた







さて


私は悩んでいた



このまま国道を通り まっすぐ平穏に帰って良いのだろうか?





地図を見ると 国道を迂回する峠があるようだ






衛星写真の解像度が低く これ以上分からないが
舗装路ではなさそうに見える
しかし道沿いには民家が点在し 路面は悪くなさそうだ



安全パイな国道を走るよりも
こっちの道の方が絶対に面白いに違いない
なぜならここには「生活」がある
それに峠の標高も 国道の峠(900m)より低いように見える



現在午後3時
日没まで3時間
決断の時が迫っていた




つづく★

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