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民営化してもダメだった例?

2006-08-31 03:16:07 | 交通問題
先日首都高会社の話を書いたが、こちらはダメダメな例かもしれない。

天下り先温存という悪しき組織形態を壊さないと無理ですな。


2006年08月18日付朝日新聞関西版記事より引用

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阪神高速道路会社、高コスト体質変わらず


 六甲山をくぐり抜ける新神戸トンネルを、神戸市道路公社から阪神高速道路会社に移管する計画が暗礁に乗り上げている。移管された場合の管理コストを同社が試算したところ、現行の倍以上にはね上がることがわかり、赤字に転落するとして、巨額の補填(ほてん)を神戸市側に求めたためだ。同社は「安全性」を強調するが、国は「合理的でない」と疑問を投げかける。旧公団時代の高コスト体質が民営化後も抜け切れていないとの指摘もある。

 神戸市街地と同市北部を結ぶ新神戸トンネルは、北行きが全長約7キロ、南行きが同8.1キロで、道路のトンネルとしては関西で最も長い。通行料金は600円だが、北側で接続する阪神高速北神戸線に乗り継いだ場合、最短のインターチェンジまででも計1100円かかる。一体運用できれば料金が安くなり、利便性が高まるとして、国土交通省などが移管を検討していた。

 試算は、08年度の移管を想定し、阪神高速会社が管理する神戸長田トンネル(神戸市長田区、全長約2キロ)での実績を新神戸トンネルに置き換える形ではじき出した。結果、管理費は年間で約38億円となり、公社の16億円を大幅に上回った。

 内訳は、交通管制やパトロールなどに絡む人件費が公社の約3倍にあたる7.9億円▽電気料が約5倍の6.4億円▽設備が古くなった際に交換する更新費が約3倍の14.6億円▽点検・補修費が約2倍の8.6億円。特に更新費には、公社にない渋滞調査用の車両検知器や道路情報案内板が含まれており、換気装置の数も公社の2.5倍に上る。これに伴って電気料も膨れ上がる計算だ。

 同トンネルの交通量は1日平均約1万5千台で、年間通行料は約31億円。管理費が倍増することで収支は一転、赤字となる。同社は、阪神高速との一体運営で交通量が増えると予想しているが、同トンネル建設にかかった建設費約970億円(04年度末現在)の残債を返済するのは困難として、市公社に補填分270億円の支払いを求めた。

 計画では移管に伴ってトンネルの所有権も阪神高速に移るが、同社は買収費を支払わない方針。一方、市側はトンネルの資産額を約817億円としており、担当者は「こちらは買い上げてもらう立場。パトロール態勢や換気設備などに差はあると思うが、市税を投入して補填するなど納得できない」と憤る。

 阪神高速会社は民営化にあたって、管理コストの3割削減を打ち出した。担当者は「事故の防止や事故が起きた場合の対応などを考慮すれば、従来通りの人件費や設備費がかかる。安全性を重視して、こういう試算結果になった」と話す。両者の主張は大きく隔たっており、今後の交渉では国がどこに妥協点を見いだすかが焦点となる。

 通行料の設定も課題だ。同社は08年度に現行の一律料金をやめ、距離によって料金が異なる「対距離料金制」を導入する予定。その場合、同トンネルだけを通れば550円で、50円安くなるが、北神戸線を利用すれば最高1110円となり、移管による割安感はあまり得られない。

 国交省近畿地方整備局地域道路課は「公社がうまく管理しているのか、阪神高速が安全性を優先しているのかは議論が分かれるが、この試算では移管は到底できず、阪神高速に管理コスト削減を検討してもらうしかない」としている。



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