雨の日にはJAZZを聴きながら

FC2 に引越しました。http://jazzlab.blog67.fc2.com/

Diederik Wisseles 『 From This Day Forward 』

2007年12月01日 23時53分54秒 | JAZZ

ブログもご覧ください。

≪ Belgian Jazz Vol.4 ≫

静かなバイオリンの音色で始まり、それをストリングス・アンサンブルが包み込み、やがて恐ろしく澄んだ音色でメロディーが奏でられる。ただただゆっくりと、夢幻的な世界に聴き手を誘う幽玄なサウンドがディーデリク・ワイセルズの持ち味です。他の誰にも到達できない彼独自の孤高の音世界。それは幻想世界に鳴り響く鐘の音かもしれません。

ベルギーを代表するジャズ・シンガーであるデヴィッド・リンクスとの共同作品も多く制作しているディーデリク・ワイセルズの97年の代表作『 From This Day Forward 』を今、聴いています。D・ワイセルズは1960年にロッテルダムに生まれ、68年にブリュッセルに移住。その後渡米し、バークリー音楽院でケニー・ドリューやジョン・ルイスに師事し、,80年代以降は常にブリュッセルのジャズ・シーンの第一線でピアニストおよびコンポーザーとして活躍してきました。

彼の音楽は、ヨーロッパの叙情的サウンドというよりは、徹底的にクールネスとダークネスに貫かれた彼独自の音世界であり、他の欧州圏のピアニストを聴き慣れた耳には多少の違和感を感じるかもしれません。光りを求め、魑魅魍魎が蠢く霧深き森を彷徨う迷い人、そんなヴィジュアル・イメージを想起させる本作ですが、しかし、その幻想的で立体的、そしてドラマティックな音世界に一度嵌ると病みつきになること必至です。そして、D・リンクスの透明感溢れるクレヴァーなヴォーカルが絡んだ作品では、その世界観は更に深度を増し、他の何処にも存在しない極めて特異なサウンドを放散します。彼のジャズには、4ビートを基調としたスウィンギーな伝統芸能としてのジャズの要素など微塵も感じられないのです。これぞコンテンポラリー・アート。そんな音です。

「ヴォーカルはちょっとね~」とおっしゃる方には、近年の作品では2004年の『 Song of You 』がお薦めです。90年代のイヴァン・パドゥアの一連の作品を彷彿させるハーモニカ入りの哀愁味溢れる好盤です。

2006年にはDjango d’Or Award(ジャンゴ賞)を受賞しており、まさに今が旬の彼の活動に今後も注目です。

Diederik Wisseles 『 From This Day Forward 』 1996 Igloo IGL128
Diederik Wisseles (p)
Kurt Van Herck (sax)
Gwenael Micault (bandoneon)
Cecile Broche (violin)
Frans Vander Hoeven (b)
Hans Van Oosterhout (ds)
Michel Seba (perc)
Ilona Chale (vo)
David Linx (vo)

1. Ourim
2. Water, Water...
3. Evidence
4. Thorns In Plenty
5. From This Day Forward
6. Out Of The Mirrored Garden
7. Time And Again
8. A Shadow Sought
9. We Still Dance
10. Toumim


最新の画像もっと見る