雨の日にはJAZZを聴きながら

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Chick Corea 『 Super Trio 』

2006年04月02日 12時05分17秒 | JAZZ

チック・コリアがスティーブ・ガット,クリスチャン・マクブライトと組んだピアノトリオ,Super Trio です。一昨日仕事帰りに買って,車の中で聴いてきたのですが,率直な感想としては<緊張感のない凡庸な作品>といったところでしょうか。

スティーブ・ガットはもちろん素晴らしいドラマーであることなど百も承知ですが,
70年代のVerveの一連の作品群(「妖精」「The Mad Hatter etc)でのチックとガッドの相性は抜群でしたが,果たしてアコースティック・トリオとしてはどうかな~とちょと不安でしたが,その不安が的中してしまったようです。ガットも65才ぐらいなのかな。パワー落ちるのも仕方ないかという気持ちもあります。

チックのピアノトリオというと,僕は
1984年の『 Trio Music Live in Europe 』(ECM )が最高傑作だと思っているので,どうしてもそれと比較してしまうわけです。とにかく『 Trio Music Live in Europe 』は凄かった。ミロスラフ・ヴィトウス,ロイ・ヘインズのトリオで,非常に自由度の高く,高次元で繰り広げられるインタープレイ。伸縮自在のタイム感。チックの煌きのある美旋律。1983年に発売されたキース・ジャレットの『 Standards Vol.1 』と共に,強く心に残っているアルバムです。

チックのアコースティック・トリオには,デイブ・ホランド,バリー・アルトシュルと組んだ
ARCトリオ。これはフリー・ジャズ路線の作品で僕の守備範囲外。それからジョン・パティトウチ,デイヴ・ウェッケルと組んだアコースティック・トリオ。これはメンバーは非の打ち所がないのですが,どうもパティツウチの動きすぎるベース音が鼻に付き,僕としてはパス。ちなみにこのトリオのアルバム2枚は既にユニオン逝きです。意外に好きなのがアヴィシャイ・コーエン,ジェフ・バラードと演ったNew Trioです。綿密に書かれた譜面が用意されていたと想像されるカッコイイ楽曲で構成された超個人的名盤『 Past, Present & Future 』。こうしてみるとチックって,多作のわりにトリオでのアルバムが少ないですね。

本作の一番不満なのは,最後の<spain>が盛り上がりに欠ける上にフェイド・アウトで終わること。なんだこれ?といった感じです。これじゃ本国での発売は無いな。というかそんなの日本だけで発売するな~。

【愛聴度 ★★★】


 



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6 コメント

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こんにちは (nary)
2006-04-02 14:51:52
やっぱりガッドのヘタさ加減と最後のフェードアウトが気になったようですね。



こちらからもTBさせてもらいます。
初めまして! (テツ)
2006-04-03 00:52:26
クリスさんはじめまして!ヒョンな事でクリスさんのブログを知ってから大ファンです!

的を得た批評は共感できる部分が多々あり、読んでてとても楽しいです。ものすごい量を

聴いているんですね!僕はまだまだクリスさんの足元にも及ばないほどなのでこれから頑張っていろいろ聞き込んでいきたいと思います。



このアルバム僕も買いましたけど同窓会的な

雰囲気と最後のフェードアウトでかなり萎えましたね。僕はチックのトリオだとヴィニーカリウタをドラムに迎えたブルーノート東京でのライブ盤がお気に入りです!これからも

よろしくお願いします。

参考になりました (sweetjam)
2006-04-05 17:08:04
メンツがメンツだけに

ちょっと買ってみようかなぁ~と思っていましたが

クリスさんの評を読んで、購入とりやめにしました。

スイング・ジャーナル誌によると

スペインで大爆発するって書いてあるけど

ま逆のフェードアウトとはなにごとか!

ちなみにアマゾンを見たら星一つ。

フェードアウトって録音機材が途中で故障でもしたのかしらん?

録音の不具合だった部分はフェードアウトにしちゃうから

売っちゃえ、売っちゃえ・・と・・日本のレコード会社かな。



ライブのDVDを見たけれど、ジェフ・バラードって

素手でドラムを叩いていて、それもすごく上手。

ちょっと感激したなぁ...



テツさん,はじめまして。 (クリス)
2006-04-05 17:36:32
こんなつまらない僕のブログを読んでいただき感謝いたします。元々理系人間で文書を書くのは大の苦手ですので,あまり説得料のない陳腐な文章になってしまうのですが,どうにかこうにか10ヶ月程続けられています。



テツさんのブログも拝見させていただき,マイルスの1969やカルデラッツォを取り上げているあたり僕と同じだな~なんて感心しておりました。



なかなかジャズのCDネタだけでブログを続けていくのは大変だと思いますが,これからも無理せず頑張ってください。



カリウタ入りのブルーノートのライブもありましたね。なかなかよかったですよね。買ったはずなのに整理が悪くて探し出せませんでした。無性に聴いたくなっていた~。
sweetjamさん,こんにちは。 (クリス)
2006-04-05 18:00:45
>ジェフ・バラードって

素手でドラムを叩いていて、それもすごく上手。



結構最近,素手で叩く人多いですよね。ジェフハミルトンやルイムタンなんかもうまいです。



>売っちゃえ、売っちゃえ・・と・・日本のレコード会社かな。



本国では恥ずかしくて商品にならないようなものを「日本だけの発売」とか言って,馬鹿な日本人に買わせようとするレコード会社にはちょっと腹が立ちますね。
こんにちは (テツ)
2006-04-06 16:31:47
マイブログへ来ていただき本当にありがとうございました。今度は是非コメントを残して頂けますと嬉しい限りです!クリスさんの書く文章は大変解りやすく端的で的をえているので新譜を買うときなどはクリスさんの意見も参考にさせて頂いております。結構前のジャズ構造改革の所でプロ評論家について書いてらっしゃった時などは共感する部分が多くて画面を見ながら何回もうなずいていました。(笑)僕もクリスさんみたいな知識人になれるように地道に頑張りたいとおもいます。