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マンガ・アニメの発信力:BLEACH―ブリーチ―(1)

2010年12月25日 | マンガ・アニメの発信力の理由
日本のアニメ・マンガやポップカルチャーの発信力の理由、五項目の①と⑤の表現を変更し、その結果次のようなものになった。今後も、より適切なものに変更できるところは変更していきた。

①生命と無生命、人間と他の生き物を明確に区別しない文化、あの世や異界と自由に交流するアニミズム的、多神教的な文化が現代になお息づき、それが作品に反映する。
②小さくかわいいもの、子どもらしい純粋無垢さに高い価値を置く「かわいい」文化の魅力。
③子ども文化と大人文化の明確な区別がなく、連続的ないし融合している。
④宗教やイデオロギーによる制約がない自由な発想と表現と相対主義的な価値観。
⑤知的エリートにコントロールされない巨大な庶民階層の価値観が反映される。いかにもヒーローという主人公は少なく、ごく平凡な主人公が、悩んだりり努力したりしながら強く成長していくストーリが多い。

昨日、いくつかの作品を例としげ挙げたなかで、『BLEACH―ブリーチ― 』については、「日本的なイメージも強調されるが、その異界観は独特である。いずれにせよ、この世と異界との間に厳密な区別がなく、その自由な交流のなかでストーリーが展開するのが特徴だ」と書いておいた。

そのあとで『ブリーチ』の最初の方を少し見直したり、いくつかのサイトで確認したりした。そして縄文以来の日本人のあの世観を扱った本として、梅原猛の『あの世と日本人 (NHKライブラリー (43))』をざっと読みなおしてみた。

それで改めて思ったことは、『ブリーチ』にも縄文時代以来の日本人の「あの世」観が、かなり色濃く反映されているのではないか、ということであった。具体的な習俗やイメージの描き方としてよりは、基本的な「あの世」観としてということであるが。もちろんそこに『ブリーチ』独特の「あの世」観が重ね合わされてはいるが。

『ブリーチ』では、死神は大切な役割を担っている。この世の何かに強い未練を持ち、それに因果の鎖を絡めとられ、憑き霊や地縛霊となっているの迷える霊を、この作品では整(プラス)と呼ぶ。これらの霊は、この世に迷っているだけで基本的には無害だが、彼らを尸魂界(しこんかい:ソウル・ソサイアティ)に送るのが、死神の役割の一つだ。

死神のもう一つの大切な役割は、虚(ホロウ)の浄化だ。死神によって成仏させられなかった霊は、ある一定期間が経つと虚(ホロウ)になってしまう。虚は、現世を荒らす悪霊となり、人間の魂魄(たましい)を主食とするので、生きた人間を襲っては命を奪う。

この作品の主人公の一人は、朽木(くちき)ルキアという死神だ。虚(ホロウ)と戦っているさなかに、主人公の高校生・黒崎一護と出会う。ルキアは、霊が見え優れた霊力を持っていた一護に、死神になるきっかけを与える。出だしのストーリーである「死神代行篇」では、彼ら二人が協力しながら、さまざまな虚(ホロウ)たちと壮絶な戦いを繰り広げる展開が中心だ。

『ブリーチ』の「あの世」観は、きわめて精緻に構築されており、そこに分け入っていったら切りがない感じだ。ここでは基本の一部を押さえただけだが、これを日本人にもともと伝わってきた「あの世」観と比較してみよう。その過程で必要に応じて『ブリーチ』の、もう少し突っ込んだ「あの世」観にも触れるかもしれない。

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