実家の庭に柿の木があります。その枝に実がなって重くなり、隣のアパートの二階通路を塞いでしまっていたので、馴染の植木屋さんに枝を切ってもらいました。
そこから、自分でもバカじゃないの?!と思いつつ、柿の実を粗末にするのに耐えられなくて、実を枝から回収してしまいました。
たぶん60個くらいを、半分は干し柿に、残りを渋抜きにしました。(そういえば「東北の柿は、ほぼ渋柿ばかり」という話を前にしましたね)
枝を良い感じの長さにハサミで切って、皮をピューラーでむいて、熱湯に浸して消毒し、紐にくくりつける作業をしながら、私が小学生だった頃を懐かしく思い出していました。
実家の縁側で、柿の木から実を獲るのは父と兄と私。皮をむくのは祖母と母。紐につるすのは祖父。家族総出の秋の終わりの行事でした。
当時は素手で包丁で柿の皮をむいていたので、祖母の手も包丁も渋で黒くなっていたのを覚えています。指も手も痛くなったでしょうにね、祖母も母も当然と思っていたんでしょうか、新聞紙をひいたうえに座って、むいた柿の皮に囲まれていました。
渋抜きは、ヘタ付近まで短く切った枝?の切り口を、お椀に入れた焼酎に浸けて、新聞紙をひいたビニール袋に2・30個づつ入れて口を縛り、数日置いておくと出来上がります。
祖父母が亡くなり、両親も歳をとったのに、私が嫁いで子どもたちが生まれてからも、しばらくはこの渋抜きした柿を送ってくれていました。
台所で一人、柿の皮をむきながら、秋の終わり、家族の終わりを、想いました。