陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

全国知事会での鳩山首相発言と知事たちの反応(5/27):普天間問題

2010-05-28 15:51:30 | 国内政治:内閣
 普天間飛行場移転に関する日米共同声明は、岡田外務相と北沢防衛相名で行われたが(5/28)、それについての閣議決定がなされていない。社民党の福島少子化担当相が署名を拒否しているからだ。姑息にも、閣議決定の代替で首相談話を出すことになっていたが、それさえ延期になった。鳩山<団塊>内閣は、重要な国事になるとごちゃごちゃになって何も決められないのだ。

 昨日召集された全国知事会で、鳩山首相は米軍の訓練移転先を県知事たちに要請したが、まともな議論にもならなかった。その内容について、新聞の取上げ方がかなり異なっている。まず、毎日新聞は、


普天間移設:首相に知事冷ややか 負担分散理解は大阪のみ

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡り開かれた27日の全国知事会議。18人の知事が欠席する中、「沖縄の負担を分かち合う」ために鳩山由紀夫首相が訓練移転を呼びかけたものの、知事らは冷ややかな対応に終始した。首相は「すぐに理解いただけると思わないが、これから具体的に提案したい」と締めくくったが、「5月末決着」の期限4日前の要請は遅すぎた。【笈田直樹】

 「なぜ、今、この時に全国の知事を招集したのか」

 森田健作千葉県知事の単刀直入な質問に、首相は「『将来的に訓練なら引き受けるぞ』との気持ちを示していただくことで(沖縄県名護市)辺野古(付近への普天間移設)を少しでも実施することに役立つのではないか、と思った」と返答。政府方針の円滑な実施に知事会を利用する意図をあけすけに語った。

 会議では仲井真弘多沖縄県知事が「国民として負うべき応分の負担をはるかに超えている」と訴え、「分散が必要だ」(松沢成文神奈川県知事)と理解を示す声が相次いだ。

 しかし、首相が「皆様方のふるさとで『ここなら可能だぞ』という話をいただければ誠にありがたい」と「立候補」を求めたことに知事らはあきれ顔。高橋はるみ北海道知事は「各県から手を挙げるのは無理。個別具体的に国が提案するのが大前提だ」とたしなめた。

 既に米軍施設や訓練を負担する県も「責任を果たし終えた中で新たな移転は地元に説明できない」(谷本正憲石川県知事)、「現状を超える基地機能強化は容認できない」(三村申吾青森県知事)と否定的な見解が続き、発言した11知事で首相に理解を示したのは「基地を負担してないので真っ先に汗をかかないといけない。できる限りのことはしたい」と語った橋下徹大阪府知事のみだった。全国民に責任の共有を訴えようとした首相の意図は不発に終わった。

 欠席した知事からも「情に訴えるだけでは解決できない。知事会に諮っても前進は見込めない」(福田富一栃木県知事)と厳しい評価があり、昨年7月に民主党の支援で初当選した川勝平太静岡県知事は27日、「何か決められる状況ではない」と突き放す一方、「(出席して)非常につらい立場にいる鳩山首相の姿を見るのも忍びない」と気遣った。
http://mainichi.jp/select/seiji/futenma/news/20100528k0000m010097000c.html



 このように、多少同情を込めて各知事から多様な発言があったことを述べている。だが、欠席した知事からも厳しい発言が続いた。要は、知事たちは鳩山首相を信頼していないのだ。

 一方、産経新聞は辛らつな調子で、鳩山首相が我が国の安全保障問題の具体面について全くの無知を曝け出したと述べている。


尖閣は「未解決問題」? 首相また落第答弁
2010.5.28 00:39

 27日の全国知事会議では、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題で協力を求める鳩山由紀夫首相と知事らの議論がまったくかみ合わない場面が目立った。特に首相は、尖閣諸島の領有権問題をはじめ沖縄県が置かれた安全保障環境やその歴史に関する“落第答弁”を連発。安保政策に関する首相の不勉強が、普天間問題迷走の主因といえそうだ。

 尖閣諸島をめぐり日中間で衝突が起こった際、日米安全保障条約が発動されるかどうか-。知事会議の席上、東京都の石原慎太郎知事がこんな質問をすると、首相は次のように答えた。

 「(米国に)確かめる必要がある」

 だが、この問題は麻生前政権時代にすでに決着済みの話だ。麻生太郎首相や河村建夫官房長官が国会答弁や記者会見で、「安保条約は適用される」との米公式見解を確認したことを明らかにしている。

 首相はこうも述べた。「(米国は尖閣諸島の)帰属問題に関しては、日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して、結論を見いだしてもらいたいということだと理解している」

 未解決の問題として、これから中国と話し合うかのような発言だが、政府見解は「解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」というもの。首相自ら中国側につけいるすきを見せた格好だ。

 また、昭和47年の日本復帰から今年5月15日で38年がたった沖縄県について、首相は「復帰後27年」と述べた。単純な言い間違いであってほしいが…。

 このほか、神奈川県の松沢成文知事から「首相の(防衛)方針が全く見えない」と指摘されると、首相は「米軍のプレゼンス(存在)を今大きく減らすことが許される状況ではない」と述べ、最近になって「学べば学ぶにつれ」分かってきたという「抑止力」論を展開。

 ただ、首相は26日夜、平時は米軍は日本に駐留せず有事に駆けつければいいとする持論「常時駐留なき安保」について記者団に問われ、「封印している」と述べ、撤回はしない考えを改めて強調している。首相の「抑止力」に関する本当の認識は不明だ。

 知事会の麻生渡会長は会議終了後の記者会見で「(首相は)途中、何を言っているのかと思った。そもそも、どんな種類の訓練がどういう事情で必要か分からない」と困惑の表情を浮かべた。
(酒井充、小田博士)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100528/plc1005280044001-n2.htm


 国家行政の最高責任者であり、陸・海・空自衛隊の最高指揮官である首相がこのレベルでは、国家安全保障の遂行が困難である。思い付きで全国の知事を招集して、彼等に訓練地を提供させようとしても、殆ど相手にされないだろう。石原東京都知事は、途中で退席した。

 この議論の結果、知事会がまとめた合意文書を橋下大阪府知事が強く批判している。


橋下知事も「幼稚園児レベルの結論だ」 知事会での普天間協議
2010.5.28 08:46

 鳩山由紀夫首相の要請で、米軍普天間飛行場など沖縄の基地機能や訓練の分散移転について協議された27日の全国知事会。出席した大阪府の橋下徹知事は「全然だめ。沖縄の基地負担の軽減が必要なのは小学生低学年、幼稚園の子供でも言える」と知事会がまとめた合意文書を痛烈に非難した。

 知事会終了後、報道陣に感想を問われた橋下知事は「結局、誰でも言えることだけ言って、責任を伴うようなことを何ひとつ言わない。(知事会が出した結論は)うちの小学生の息子でも言ってる」と憮然(ぶぜん)とした表情で答えた。

 また、「今は本州で基地を受け入れることができませんよと、沖縄県民に対して申し訳ないという意思を表示することが重要」と指摘。そのうえで合意文書について「知事が顔をそろえて話をすることではなかった。国民から相手にされない結論だ」とばっさり切り捨てた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100528/lcl1005280847000-n1.htm


 何度もこのブログで指摘したが、政権交代をするなら

○国家安全保障方針(領土・領海保全と国防大綱)
○外交方針
○財政方針
○教育方針

が定まっていなければ、行政は必ず行き詰るのである。国家観がが欠落している民主党には、それらに関連した党綱領が無く、選挙目当てのマニフェストだけでは国家を経営することが不可能だ。

 「一度民主党に政権を取らせたい」として、先の総選挙で民主党に票を投じた人たちは、このような事態をどう考えているのであろうか。有権者がマスコミと愚劣な評論家どもに踊らされるのは、一度限りにして欲しいと願わざるを得ない。
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1 コメント

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鳩山総理の頭の中 (BB)
2010-05-28 17:45:10
貴方様の考えに全く同感です。
鳩山総理は普天間基地問題について何を考えて発言されているか全くわかりません。
一部の評論家の考えに乗ったのか総理のひとり相撲でこのようになったことをどのように思っているのか。
国民の安全に関わる防衛に対する認識がわかりません。
せめて過去の経緯を官僚なり当時の関係者の話を聞けばあのような発言が出来るわけがありません。
現に岡田外相、北沢防衛相は県外国外と話していません。
総理自身駐留なき安保を望んでおられるのであれば選挙の前に公約として述べなければいけません。
総理になってはいけない人が総理になってしまった事ですね。
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