陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

早大で再び研究費不正使用

2007-03-10 00:01:09 | 教育と研究
 少し時間が経過したが、3月2日、早稲田大学教授による文科省所管科学・技術振興補助金の不正使用が新聞記事になった。

---------(引用始め)

研究費不正で早大教授停職

 早稲田大学は2日、研究費の不正使用に絡んで理工学術院の森康晃教授を、同日付で停職30日と「けん責」の懲戒処分にしたと発表した。教授本人による研究費の着服は確認できなかったが「監督責任者として重大な過失があった」と認定した。

 同大の調査委員会は昨年12月、森教授が担当した知的財産関連の公開講座に関する研究費をめぐり、業者に架空請求させるなどして約150万円の不正使用があったとの調査結果を公表。講座参加者に返すべき参加料の剰余金約300万円を、研究室の口座に残していたことも明らかにした。森教授は「自分は悪いことはしていない」と関与を否定しているという。〔共同〕(21:37)

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070302STXKF060402032007.html

----------(引用終り)

 この事案は、昨年12月初め、早稲田大学が既に発表していた。上記は、同大の調査委員会の報告に基づく処分で、3月9日に発表された文科省の精査によると不正請求額は47万5934円と認定。その金額を早稲田大学に対し返還を求めた。森康晃教授は、経産省出身で、53才。これから10年間(文科省に対しては4年間)、公的資金の応募を禁じられたと言うから、研究室運営は大変になる。白井克彦早大総長は、責任を取って昨年12月から役職手当て3割3ヵ月の減俸処分を自らに科している。

 昨年4月には、同じ早稲田大学理工学術院で松本和子元教授の公的資金流用事件が発覚した。そちらはどうなったのかと言うと、

----------(引用始め)

早大、2億円返納
 研究費不正請求問題 松本教授が辞職

 早稲田大学理工学術院の松本和子教授が国の研究費を不正に請求していた問題で、文部科学省と経済産業省 は22日、不正額と適正使用を確認できない額が計2億1240万円に及ぶと早大に通知。早大は即日、全額を関係機関に返納した。文科省は今後5年間、松本教授の公的研究費の応募・参加資格を停止する処分も発表。
また早大は同日、松本教授の辞表を受理した。

 両省によると、不正があったとされる研究費は1億2692万円、適正使用と断定できない研究費が8547万 円。文科省関連で調査中の研究費があり、不正の額はさらに膨らむ可能性もある。

 松本教授は6月27日に辞表を提出していた。早大は辞表をいったん預かり10月6日、松本教授を停職1年 の懲戒処分とした上で、大学への研究費返還額について交渉を続けていた。松本教授は最終的に、退職金全額と 架空アルバイト費など数千万円を大学に返納することで、早大側と合意に至り、辞表が受理された。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061223-00000023-san-soci

----------(引用終り)

 なお、この件に関する捏造問題は、

----------(引用始め)

<松本元教授疑惑>「ねつ造はない」 分析化学会最終報告

 松本和子・元早稲田大理工学部教授=11月30日付で辞職=が発表した論文の不正疑惑について調査して いた日本分析化学会(小泉英明会長)は27日、7月の中間発表と同様、「ねつ造にはあたらない」とする最終 報告を発表した。一方、論文中の一部の値について、「科学的に十分に信頼の置ける値とは言えない」と指摘。 松本元教授も指摘を認めているという。
 専門家11人で作る調査委員会は、松本元教授や論文の共著者の中国人研究者、松本研究室関係者、論文を掲載 した米化学会誌関係者らへの聞き取り調査を実施した。
 その結果、「実験の記録は十分に残っており、聞き取り調査でも故意に実験結果を曲げたり、記録のねつ造は ない」と判断した。一方、調査委が一部の値について「測定値の妥当性や実験誤差に関する十分な考察がなされていない」と指摘したのに対し、松本元教授と中国人研究者は指摘内容をほぼ認め、中国人研究者は「再実験をしたい」と表明したという。論文の疑惑は早大も調査している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061228-00000008-mai-soci

----------(引用終り)

 とのことで、一応決着が付いている。この一件が日本人化学者の信用を貶めた事は間違い無い。公的な研究補助金を教育職にある者が不正使用するのは、納税者への迷惑のみならず、学生へ多大な影響を与えるから、厳に戒めねばならぬ。

 立命館大学では、別な事件が起きた。

----------(引用開始)

<立命館大>研究費2100万円不正使用、教授ら処分へ
3月3日0時47分配信 毎日新聞

 立命館大は2日、理工学部都市システム工学科の江頭進治教授(60)と伊藤隆郭講師(34)が、01~06年度に「文部科学省21世紀COEプログラム」などの名目で交付された公的研究費のうち、計約2100万円を目的外や不正使用していたと発表した。立命大はプログラムを辞退し全額返還、2人を懲戒処分する方針。

最終更新:3月3日0時47分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070303-00000004-mai-soci

----------(引用終り)

 COEは、Center of Excellence (優先的科学拠点)の略。多くの大学が独自申請を行い、テーマ別に採択されてこの公的補助金を受けている。1プログラムに対する交付金額は数億単位であるから、大学としてプログラム辞退をすることは相当に辛い話だ。

 更に今日は、このような記事が出た。

----------(引用始め)

国の科研費210万円詐取容疑、厚労省技官ら逮捕
3月9日23時45分配信 読売新聞

 厚生労働省の技官と北朝鮮の支援活動を行う民間活動団体(NGO)のメンバーが、同省から大学教授の研究班に交付された補助金約210万円をだまし取った疑いが強まり、警視庁捜査2課は9日、同省から埼玉県保健医療部長に出向中の中村健二容疑者(49)(東京都世田谷区南烏山)と、中央区のNGO「レインボーブリッヂ」代表代行の小坂博幸容疑者(54)(西東京市南町)ら3人を詐欺の疑いで逮捕した。

 中村、小坂両容疑者は十数年来の友人で、同課では、2人がほかにも補助金を詐取した疑いがあるとみて追及する。

 調べによると、中村容疑者は、鹿児島県保健福祉部長として出向中の2001年度と02年度にわたり、同省の科学研究費補助金の対象で、部下の県職員がかかわった研究を巡り、レインボーブリッヂの関連会社で、小坂容疑者が経営する中央区(当時)の医療品販売会社から、プリンターなどを購入して研究費を使い切ったように装った収支報告書を作成し、余剰金として同省に返還すべき約210万円をだまし取った疑い。

最終更新:3月9日23時45分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070309-00000214-yom-soci

-----------(引用終り)

 こちらは、厚生労働省の交付する科学研究費。何れにしても税金から出ている事に変わりは無い。科学・技術担当者は、金銭感覚がおかしくなってしまったのだろうか。NGO「レインボーブリッジ」は北朝鮮支援組織であり、この点からも厳しく問われる必要がある。

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