「この時期に青空が見えることはとっても珍しいことなんですよ」
そう言いながら、能登で地域起こし協力隊をしている志野くんは懐かしい人好きのする笑顔を見せてくれました。
寺田本家の原料米も作ってくれている「あいよ農場」の一員として、千葉の有機農家の旗振り役でもあった志野くんは、急に能登に移り住むといって皆を驚かせました。
でも、まだ能登に来て4カ月ばかりなのに、地域の方にたくさん繋がりを作って、地元出身の方が驚くほどの能登の話をいろいろときかせてくれました。
能登島は能登半島の真ん中あたりにある周囲72キロの島です。
自分は正直に言うと、今まで能登半島の真ん中にそんな大きな離島があることを知りませんでした。
昔はフェリーで能登島に降り立つと匂いがしてくるほどたくさんの松茸がとれて、周りの海は鰤や蟹やカキなど豊饒の恵みが溢れています。
まさに里山・里海の地で田畑も広く、ミカンとリンゴと両方収穫することができ、オリーブ栽培にも挑戦する方がいるそうです。
湾の中にあるから日本海なのに海が鏡のように穏やかで、イルカも住みついていてシーカヤックなどで回っているとよく目撃されるそうです。
ちょうど道路の一周が50キロくらいなので、3月にはマラソン大会も開催されていて、でもなんでそんな寒い時にやるのかを地元の人に尋ねてみると、だってその時が旨いものがたくさんあるからよと答えるそうです。
能登の方たちは人が優しくて挨拶だけでとどまらないで会話が拡がり、少しでも来た人の心を掴んでしまうことを
「能登はやさしや土までも」
と言いならわしたそうです。
出会った方が口々に「能登はやさしや土までも」と話しのどこかしらで仰っていたのが印象的でした。
七尾市の造り醤油屋「鳥居醤油店」さんもお尋ねしました。志野くんがお母さんと慕うおかみさんのお人柄や、センスがあふれる店構えの素敵さ、国産大豆にこだわった本物の醤油造りにかける姿など、とても魅力にあふれたお醤油屋さんでした。
能登はおどろくほど魅力にあふれる土地でした。