原作が素晴らしいと大変~
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以前ここのReviewにも書いたのだけれど、原作は私の中で"最高"ランクに位置づけられている作品の1つ
映画公開を機に、再読したのだけれど、やっぱり私の中のランクは変わることは無かった
それどころか、以前は読み流してしまったセリフに改めて心を打たれたり、話の行き先がわかっていてもハラハラしたり・・・・新たな発見や感動もあり、やっぱり(以前読んだ時と同じように)読み出したら止まらなくなって1日半ほどで読了してしまった
で、その作品の映画化
過度の期待は禁物、と思いつつもどきどきわくわくしながら再読直後の初日に鑑賞
個人的には嫌いじゃない
特に、新聞社内の描写とか豪華な俳優陣の演技にはかなり惹きこまれた
地元での大事件にローカル新聞社内が大きく揺れる様子が、文字で読んだ以上の迫力で迫ってきたような気がする
ただ・・・・
緊迫感を演出しようとしたのか、昨今の流行なのか・・・1カットが短くブレ気味のカメラには、ちょっと辟易
前のシーンの余韻に浸りたい気分の時に、バシッと画面が変わってしまったり、前のめりになるほどに何も見落とすものかと画面に集中している時に、ぐらぐらと揺れる画面は私にとってはマイナスの効果しかなかった
そして、もう1つ
原作に忠実に、とはいえ、何度も挿入される現代のシーン(安西の息子との登山)は、それまでの雰囲気や流れをブチ切りにしてしまっていて、正直言ってちょっと邪魔にすら感じられた
それは、ラストシーンも同じ
悠木と息子の関係について、何らかの結論を出したかったのだろうけれど、別に無理にあのシーンを加える必要も無かったと思う
登山中の、安西の息子とのやり取りで、悠木とその息子のお互いに対する気持ちはちゃんと伝わっていたと思うから
(原作を読んでいたから無意識に脳内補完していたかもしれないけど・・・・)
それ以外にも、神沢が虫けらのようにあっさり死んでしまったり、悠木が離婚していたり・・とちょっと首をかしげる設定があるかと思えば、悠木が遊軍にいる理由、トラウマとなっている過去、などが省かれてしまっていたのもちょっと疑問
とはいっても、(原作に対する思い入れが強いこともあり)かなり好き
監督も俳優もスタッフも含めて、この作品全体が"クライマーズハイ"状態で、ぐわーっっと作り上げられたようにすら思え、また私もその"熱さ"に飲み込まれてしまったようだった
★おまけ1
数々の略語(大久保連赤とか中福戦争とか・・・)や山岳用語(アンザイレンとか・・・)は原作を読んでいない人にはわかったのだろうか
★おまけ2
一気に堺雅人が大好きになった
今までなんともいえない表情で笑う不思議な雰囲気をもった俳優
というイメージしかなかったのだけれど、本作品でのあまりの男臭さにびっくり
墜落直後の現場取材から戻ってきた時の表情
被害者の遺書を淡々と読むときの口調
すごいよ、かっこいいよ
★おまけ3
上にも書いたけど、神沢が死んでしまったのはまったく余分だと思う
その葬式で"大きな死と小さな死"がある、と玉置がつぶやいたことから
原作の望月→神沢に置き換えて悠木の苦悩を描くのかと思いきや、そういうわけでもなかったし・・・・
あれじゃ神沢は無駄死にじゃないかーーー
★おまけ4
ドラマ版(佐藤浩市主演)も是非観てみたい
(でもレンタルいつも借りられてるのよねー)
(映画館)