日々のてづくり 

暮らしの中の
手づくりを
大切に…。

年頭にあたり…。

2019-01-13 | 日記



昨年の夏、若い頃大変お世話になった 言い尽くせぬご恩のある方と再会した。
再会といってもほんの数分、もうすっかり年老いてしまったその方の手を握り、目を見つめてうなづきあっただけだった。
もう一度ゆっくりとその方とお会いしたい…と名残惜しく その場はお別れした。
…と年末、その方が天に召されたとの報。
胸打たれ、残念でたまらなかったが、その方の素晴らしい生涯を思い 少しく接して頂いたことに心から感謝しました。

自分自身が年を重ねたせいか、最近 時の移り変わりを切ないほどに実感する。
季節は毎年巡ってくるが、今年の冬はもうその方はこの世にはいない、去年のそれとは違う。
やがてくる春も、今までとは全く違う新しい季節だ。
こうして流れる 限られた歳月の中で、私は何をしていくのだろう。
年頭にあたり、ずっとこんな事を考えている。


一昨年 出版して頂いた絵本「野のはなとちいさなとり」。
時々 ポツリポツリとではあるが、嬉しい感想を頂く。
つい先日も、クリスマスプレゼントとして友人に贈ったという方から、どうしても伝えたいとお話し頂いた。
その友人は、10年前不慮の事故で まだ小学生だった息子さんを亡くし、本当に苦しまれていたとの事。
何とか慰められないかとずっと思っていたところ、絵本を贈ることを思いついた。そして送ったところ
友人の心に触れ、毎晩のように開き、癒されていると喜んで連絡があったとの事。
心傷ついた方が 少しでも喜んで下さった事をお聞きして、私こそ心が温まる思いだった。
この方の心に触れることが出来ただけでも本当に良かったと思う。

制作中は何度も行き詰まり、神様に祈りながら作った絵本。
そして作るならば自分の表現でなく、天の思いを地に表すような作品に…と願いました。
嬉しいご感想を頂くたびに「これは自分で作った本ではないなあ」というのが実感です。
小さな鳥たちがあっちこっちに飛んでいって、慰めの存在になっている、私がいうのもおかしいですが、本当に不思議な本です。

私の手仕事は喜んでくださる方がいる限り続けていこう。
刺しゅうの仕事は時間との戦い。
けれども今年は、今まで以上に覚悟を決めて、取り組んでいきたい。
実際、今年も乗り越えねばならない山々が目の前にそびえ立っているのですが(ありがたいことに)
一つ一つ丁寧に心を込めて乗り越えていきたいと今思っています。
そして少しでも 皆さまの楽しみや慰めになりましたら…こんな嬉しい事はありません。

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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