今回も、フィニアス・ニューボーンJrで、ロイ・へインズがリーダーのアルバムにフィニアスが参加した”ウィ・スリー”の紹介です。このアルバムは、最初に紹介したピアノ・ポートレイツ・バイ・フィニアスとドラマーが同じロイ・へインズですので、やはりリラックス系ですが、1曲目からのけぞる程の感動のアルバムです。
■1)アバウト、ロイ・へインズ 以下、ウィッキペディアより抜粋
ロイ・ヘインズ(Roy Haynes, 1925年3月13日 - )は、アメリカのジャズミュージシャン、ドラマー。アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン生まれ。
1940年代半ばからルイス・ラッセル、レスター・ヤングらと活動したのち、1949年から1953年にビバップの最重要人物、チャーリー・パーカーのグループで活躍した。その後もマイルス・デイヴィスやサラ・ヴォーン、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク、エリック・ドルフィー、チック・コリア、パット・メセニーなどの重要レコーディングに参加するなど、90歳を超えた現在でもジャズシーンの先端を行く貴重なミュージシャンである。
以下は、このアルバムに関係する部分のみを抜書きします。
1952年からはエラ・フィッツジェラルドのバックを務め、エラの伴奏という経験を生かし1953年からサラ・ヴォーンの専属伴奏者となる。サラのバンドには1958年まで在籍、その後ヘインズは再びニューヨークのジャズ・シーンにカムバックを果たす。
この年の彼はそれまでにないほど精力的にクラブ・ギグをこなしている。まずはフィニアス・ニューボーン・ジュニアを迎えて自己のトリオ(ベースはポール・チェンバース)を結成したヘインズは、4月「ファイブ・スポット」にレギュラー出演し、それは秋になって毎週月曜の「バードランド」でのギグに継続されていく。そして11月にはこのトリオで初のリーダー・アルバム「ウィ・スリー」(プレスティッジ)を残している。また夏には伝説的なセロニアス・モンク・カルテット(ジョン・コルトレーンが参加)の一員として「ファイブ・スポット」で演奏。その他にもマイルス・デイビスやリー・コニッツのグループに入って積極的に一線への復帰を果たしたのだった。
■2)ウィ・スリー
ロイ・ヘインズのリーダー作といえば、『アウト・オブ・ジ・アフタヌーン』が筆頭格ですが、それに続くのがピアノ・トリオの人気盤『ウィ・スリー』です。ロイには申し訳ないのですが、『ウィ・スリー』といわれて思い浮かぶのは、やっぱりフィニアス・ニューボーン Jr. のきらびやかなピアノです。また、メンバーは、バップからフリージャズまでこなす伝説のドラマー”ロイ”と、超絶テクニックを持つ”フィニアス”と神童”チェンバース”のトリオですので、名盤の予感がします。聴いていると、3人のパワーが合体して、何倍ものエネルギーとなって放射されるかのようなユニットとしての力強さを感じる。しかし、この3人はこれ以降2度と顔を合わせなかったということは残念です。又、一番若いチェンバースが真っ先にこの世から去ってしまうのも悲しい。
パーソネル
フィニアス・ニューボーンJr(1931~89)(p)
ポール・チェンバース(1935~69)(b)
ロイ・ヘインズ(1925~)(ds)
ジャケットは、下記。神童チェンバースが頭一つ大きいですし、長い右手でフィニアスとロイを鷲掴みにしています。
■3)ウィ・スリーの各曲
”ワールド・オブ・ピアノ”などのハードなものとは違って、ちょっと引いた感じでゴリゴリ感が少ないのが今は好きです。この中では、やはり1曲目のReflectionが、思わずのけぞります。また、2曲目のSugar Ray も良いです。この2曲は、ジャズピアニストの松本茜さんも好きだとのこと。6曲目のOur Delight の冒頭部の切れ込みとウキウキムードのアドリブがカッコいい。その他の曲も勿論このメンバーで外れは無いです。
01. Reflection (music: Ray Bryant)
アフリカンリズムを思わせるアーシーなドラムのイントロでスタート。”ソー・ファット”の最初のようなフレーズのベースでリードされたピアノがテーマを流す。アドリブに入ると、緊張感に溢れた物悲しいアドリブを次々に繰り出す。あまりのカッコ良さに、のけぞります。せつないメロディー、抜群のアドリブ・センス、そして、次第に、マシンガンのような指さばきが炸裂 時に豪快に、時に小気味よくスイングする。後半のマックス・ローチばりのメロディアスなドラムスもロイ特有のアーシーさも加わって聴き所。
ジャズ・ピアニストの松本茜さんは、高校生の時にMDにこの曲を入れてこれを聴きつつ登校したとか。
この曲は、レイ・ブライアントの曲ですが、彼が初めて日本でレコーディングした”オールマイン・アンドユアーズ”というアルバムでのみ、Reflectionを演奏していると思うのですが、もし他のアルバムで彼がこの曲をプレイしているのをご存知なら教えてください。
02. Sugar Ray (music: Phineas Newborn, Jr.)
ゆっくりとしたテンポのコミカルな自然に体が揺れてくるイントロでテーマを滑らせる。ブルージーなテーマをスインギーにプレイする。あくまでリラックスしたムード、泉のように湧き出る上品なアドリブ、お約束の低音が利いた遅乗り気味のウォーキングベースソロもフィニアスの寄り添いよろしく途中入って、ドラムとの楽しい会話風の掛け合いもあり、スネアのアクセントを利かせつつ楽しいエンディング。
ジャズ・ピアニストの松本茜さんは、ご自分のアルバム”フィニアスに恋して”でこの曲を5曲目にプレイしています。
03. Solitaire (music: Guion, Borek, Nutter)
スローテンポのイントロから。テーマに入ってセンチメンタルなアドリブをつむぐ。ゴージャスでブリリアントなフレーズも聴いてから、チェンバースのたたみ掛けるようなソロ、これも素晴らしい、又テーマに戻って、クライマックスの盛り上がりを音を重ねて見せてから、さりげなくシンバルのジャーンでエンディング。
04. After Hours (music: Avery Parish / words: Robert Bruce, Buddy Fayne)
ゆっくりとしたリズムセクションに伴奏されコロコロしたイントロをしていく内に、力強いトーンのテーマに変わる。所々に速いパッセージも交えつつ、ベースとの会話もして、ブルースフィーリングタップリの鍵盤を玉のように転がすアドリブがどっからでも出てくる。フィニアスも乗っている。安定感抜群のチェンバースのソロの後、最後は、ベースとのユニゾンで絡みつつかなり粘った形でドラムと共にエンディング。
この頃は、本当の天才を見ますね、フィニアスには。
05. Sneakin' Around (music: Ray Bryant)
ロイのドラムから練り歩きのムードのリズムのイントロより、ミディアムテンポのテーマでアドリブに移る。そこからは、多彩な色とりどりのアドリブになる。直ぐに、チェンバースの速いテンポのベースソロになる。その後、ピアノに戻って、ロイとの軽妙な4バースになるが、ここでのフィニアスとロイは乗っている。1つ1つ違うアレンジでの4バース。ベースとのテーマに戻って、ピアノからドラムに移って珍しくフェードアウト。
06. Our Delight (aka. Tadd's Delight) (music: Tadd Dameron)
イントロは、フィニアスがダイナミックに切り込み、カッコいい!シンバルも隠し味。ミディアムファーストのテーマは、軽快なスピードで疾走。心がウキウキするような弾む感じのアドリブ。直ぐに4バースになりロイのドラムは早打ちタッチで変化に富みスリリング。お次は、ベースとの4バース。ロイも乗りに乗っている。フィリージョー並みの切れ切れのドラミングを披露。これを、620A+2405Hの爆音で聴く。至福のひとときが現れます。Reflectionと共にお気に入りです。
単なるリラックス系とは一線を画す。これは、4曲目のようなブルース色の強い曲があると思えば、6曲目のように疾走感のある曲も織り交ぜているからで、名盤です。
■4)YouYube
フル・アルバムは無いようですが、単曲では、全曲上がっています。
■1)アバウト、ロイ・へインズ 以下、ウィッキペディアより抜粋
ロイ・ヘインズ(Roy Haynes, 1925年3月13日 - )は、アメリカのジャズミュージシャン、ドラマー。アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン生まれ。
1940年代半ばからルイス・ラッセル、レスター・ヤングらと活動したのち、1949年から1953年にビバップの最重要人物、チャーリー・パーカーのグループで活躍した。その後もマイルス・デイヴィスやサラ・ヴォーン、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク、エリック・ドルフィー、チック・コリア、パット・メセニーなどの重要レコーディングに参加するなど、90歳を超えた現在でもジャズシーンの先端を行く貴重なミュージシャンである。
以下は、このアルバムに関係する部分のみを抜書きします。
1952年からはエラ・フィッツジェラルドのバックを務め、エラの伴奏という経験を生かし1953年からサラ・ヴォーンの専属伴奏者となる。サラのバンドには1958年まで在籍、その後ヘインズは再びニューヨークのジャズ・シーンにカムバックを果たす。
この年の彼はそれまでにないほど精力的にクラブ・ギグをこなしている。まずはフィニアス・ニューボーン・ジュニアを迎えて自己のトリオ(ベースはポール・チェンバース)を結成したヘインズは、4月「ファイブ・スポット」にレギュラー出演し、それは秋になって毎週月曜の「バードランド」でのギグに継続されていく。そして11月にはこのトリオで初のリーダー・アルバム「ウィ・スリー」(プレスティッジ)を残している。また夏には伝説的なセロニアス・モンク・カルテット(ジョン・コルトレーンが参加)の一員として「ファイブ・スポット」で演奏。その他にもマイルス・デイビスやリー・コニッツのグループに入って積極的に一線への復帰を果たしたのだった。
■2)ウィ・スリー
ロイ・ヘインズのリーダー作といえば、『アウト・オブ・ジ・アフタヌーン』が筆頭格ですが、それに続くのがピアノ・トリオの人気盤『ウィ・スリー』です。ロイには申し訳ないのですが、『ウィ・スリー』といわれて思い浮かぶのは、やっぱりフィニアス・ニューボーン Jr. のきらびやかなピアノです。また、メンバーは、バップからフリージャズまでこなす伝説のドラマー”ロイ”と、超絶テクニックを持つ”フィニアス”と神童”チェンバース”のトリオですので、名盤の予感がします。聴いていると、3人のパワーが合体して、何倍ものエネルギーとなって放射されるかのようなユニットとしての力強さを感じる。しかし、この3人はこれ以降2度と顔を合わせなかったということは残念です。又、一番若いチェンバースが真っ先にこの世から去ってしまうのも悲しい。
パーソネル
フィニアス・ニューボーンJr(1931~89)(p)
ポール・チェンバース(1935~69)(b)
ロイ・ヘインズ(1925~)(ds)
ジャケットは、下記。神童チェンバースが頭一つ大きいですし、長い右手でフィニアスとロイを鷲掴みにしています。
■3)ウィ・スリーの各曲
”ワールド・オブ・ピアノ”などのハードなものとは違って、ちょっと引いた感じでゴリゴリ感が少ないのが今は好きです。この中では、やはり1曲目のReflectionが、思わずのけぞります。また、2曲目のSugar Ray も良いです。この2曲は、ジャズピアニストの松本茜さんも好きだとのこと。6曲目のOur Delight の冒頭部の切れ込みとウキウキムードのアドリブがカッコいい。その他の曲も勿論このメンバーで外れは無いです。
01. Reflection (music: Ray Bryant)
アフリカンリズムを思わせるアーシーなドラムのイントロでスタート。”ソー・ファット”の最初のようなフレーズのベースでリードされたピアノがテーマを流す。アドリブに入ると、緊張感に溢れた物悲しいアドリブを次々に繰り出す。あまりのカッコ良さに、のけぞります。せつないメロディー、抜群のアドリブ・センス、そして、次第に、マシンガンのような指さばきが炸裂 時に豪快に、時に小気味よくスイングする。後半のマックス・ローチばりのメロディアスなドラムスもロイ特有のアーシーさも加わって聴き所。
ジャズ・ピアニストの松本茜さんは、高校生の時にMDにこの曲を入れてこれを聴きつつ登校したとか。
この曲は、レイ・ブライアントの曲ですが、彼が初めて日本でレコーディングした”オールマイン・アンドユアーズ”というアルバムでのみ、Reflectionを演奏していると思うのですが、もし他のアルバムで彼がこの曲をプレイしているのをご存知なら教えてください。
02. Sugar Ray (music: Phineas Newborn, Jr.)
ゆっくりとしたテンポのコミカルな自然に体が揺れてくるイントロでテーマを滑らせる。ブルージーなテーマをスインギーにプレイする。あくまでリラックスしたムード、泉のように湧き出る上品なアドリブ、お約束の低音が利いた遅乗り気味のウォーキングベースソロもフィニアスの寄り添いよろしく途中入って、ドラムとの楽しい会話風の掛け合いもあり、スネアのアクセントを利かせつつ楽しいエンディング。
ジャズ・ピアニストの松本茜さんは、ご自分のアルバム”フィニアスに恋して”でこの曲を5曲目にプレイしています。
03. Solitaire (music: Guion, Borek, Nutter)
スローテンポのイントロから。テーマに入ってセンチメンタルなアドリブをつむぐ。ゴージャスでブリリアントなフレーズも聴いてから、チェンバースのたたみ掛けるようなソロ、これも素晴らしい、又テーマに戻って、クライマックスの盛り上がりを音を重ねて見せてから、さりげなくシンバルのジャーンでエンディング。
04. After Hours (music: Avery Parish / words: Robert Bruce, Buddy Fayne)
ゆっくりとしたリズムセクションに伴奏されコロコロしたイントロをしていく内に、力強いトーンのテーマに変わる。所々に速いパッセージも交えつつ、ベースとの会話もして、ブルースフィーリングタップリの鍵盤を玉のように転がすアドリブがどっからでも出てくる。フィニアスも乗っている。安定感抜群のチェンバースのソロの後、最後は、ベースとのユニゾンで絡みつつかなり粘った形でドラムと共にエンディング。
この頃は、本当の天才を見ますね、フィニアスには。
05. Sneakin' Around (music: Ray Bryant)
ロイのドラムから練り歩きのムードのリズムのイントロより、ミディアムテンポのテーマでアドリブに移る。そこからは、多彩な色とりどりのアドリブになる。直ぐに、チェンバースの速いテンポのベースソロになる。その後、ピアノに戻って、ロイとの軽妙な4バースになるが、ここでのフィニアスとロイは乗っている。1つ1つ違うアレンジでの4バース。ベースとのテーマに戻って、ピアノからドラムに移って珍しくフェードアウト。
06. Our Delight (aka. Tadd's Delight) (music: Tadd Dameron)
イントロは、フィニアスがダイナミックに切り込み、カッコいい!シンバルも隠し味。ミディアムファーストのテーマは、軽快なスピードで疾走。心がウキウキするような弾む感じのアドリブ。直ぐに4バースになりロイのドラムは早打ちタッチで変化に富みスリリング。お次は、ベースとの4バース。ロイも乗りに乗っている。フィリージョー並みの切れ切れのドラミングを披露。これを、620A+2405Hの爆音で聴く。至福のひとときが現れます。Reflectionと共にお気に入りです。
単なるリラックス系とは一線を画す。これは、4曲目のようなブルース色の強い曲があると思えば、6曲目のように疾走感のある曲も織り交ぜているからで、名盤です。
■4)YouYube
フル・アルバムは無いようですが、単曲では、全曲上がっています。