教団「二次元愛」

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トランプ「韓国は中国の属国」発言の裏側

2017-04-21 23:58:22 | 経済/経済/社会
昨今の北朝鮮問題によりほとんど陰に隠れてしまった笑韓ネタ。
そのなかでひさびさに登場した↓これを拾ってみたい。



トランプ大統領、習近平国家主席と会談後、「韓国は実際に中国の一部だったそうだ」
http://japan.hani.co.kr/arti/international/27122.html



これはどういうことなのか?

ネット界隈では
「トランプって実は賢いのか」
「トランプ正論すぎワロタwww」
といった世評ではなかろうか。

だが、それは違う。たぶん。

では何なのか?

これはトランプ流の外交プロトコルの1種だと思われる。



ビジネスの世界では
「初頭要求は大きく」
という格言がある。

さいしょにムチャクチャな要求を突き付けておいて、そのあとでネゴすれば、初めから穏便にネゴした場合より少しだけ良い条件で合意できる。
たぶんそんなところから来ているものだろう。

だが、わたしはこれはあまり使わない。

なぜか?

過大な初頭要求をすると、
「あっ、こいつドシロウトかよ…」
と思われる。
その結果、相手はマトモにこちらの要求を満たせるかどうかを持ち帰って検討する気を失うからだ。

例えば我輩が最近やったのでいえば、
「このエアコンを3割引きにしろ」
とは言わず、
「このエアコンの同一メーカー品がコジマで買うと工賃込みでも4000円安いんだから、おまえんところもあと4000円まけろ」
と交渉するというわけだ。

前者なら
「そんなん無理です」
としか返ってこないはずだが、後者なら
「4000円は無理です。特別お値引きで2000円でいかがでしょう?」
と返ってきた。

わたしはこれが交渉だと思っている。

だがトランプは違う。

トランプは
「初頭要求は大きく」
そのままだ。

ではなぜそれで交渉が成り立つのか?

それは、トランプの側が圧倒的に有意にあるから、相手は交渉のテーブルにつかざるを得ないというリクツだ。

たとえば日本には
「防衛費全額負担しないと米軍は撤退する」
と言いだし、
たとえば中国には
「台湾は中国とは別の国」
と言いだし、
たとえばドイツには
「NATOのみかじめ料として3000億ドルよこせ」
と言いだした。

この要求は、トランプの相手にとっては絶対のめない条件である。

それはトランプも良く知ったうえでの発言である。たぶん。

で、どうなったか?



結果は大きく分けて2種類ある。

1つは、ドイツのメルケル、オーストラリアのターンブルがとった結果。

ようは
「はあ? おまえアタマ悪いだろ? 俺と交渉したいんなら事前にちゃんとこれ読んで来いよ。これにはこう書いてあんだよ!」
と説教しはじめるヤツ。

いわゆるポリティカルコレクト(政治的に正しい発言)しか言わないカタブツで、反骨気質というよりエスタブリッシュメント(体制派)気質で、弁護士タイプである。

こういうヤツはトランプは大嫌いのようで、必ずケンカになる。
トランプとオバマはガチバトルしたことはないが、オバマもこれタイプなので、ガチバトルしたら険悪になるのは絶対確実とわたしは見ている。



実はもう1つのほうが重要である。

トランプが無意味にデカいうえにトンチンカンな初頭要求をしていることを見抜き、本当にトランプが要求していることを行間から察し、トランプの呼吸で交渉できるヤツ。

これはもちろんトランプと皮膚感覚が合っている必要がある。
ようは、失言が多く朝日新聞やニューヨークタイムズのような左翼系新聞には叩かれまくり、ときにエスタブリッシュメントの助言をあえて無視して独断専行に走る、弁護士タイプとは正反対のいわば山師タイプである。

ようは、防衛費負担問題について正面からじっくり時間をかけて説得にあたるわけではなく、1つの中国という原則が中国にとって何を意味するかを長々と説明あたるわけではなく、いわば酒飲みながらその場の雰囲気でエイヤで決めてしまう町工場のオヤジみたいなヤツらのことだ。

安倍、トルコのエルドアン、イタリアのベルルスコーニがこのタイプである。
習近平やプーチンがこれにあたるかどうかはわからないが、メルケルやオバマよりは近いだろう。

結果、習近平は空気を読めた。
習近平はトランプとの会談後、北朝鮮への原油供給をストップし、北朝鮮からの石炭購入もストップさせた。

これはトランプが
「台湾は中国とは別の国」
と言いだした過大な初頭要求を覆すために習近平が支払った対価である。

実際にはこんな単純な駆け引きだけではないかもしれない。
習近平はトランプが晩餐会中にシリアにミサイル撃ち込んだのを見てビビったからという説もあり、そこらへんはまあいろいろだろう。

トランプにとっては、相手に譲歩を引き出せた完勝ディール。
習近平にとっては、実質的ダメージは大したことない現実的な落としどころの防衛成功ディール。
まあ悪くないでしょう。

恐らく安倍トランプもそうなっている。
トランプは日本に対し突然厳しいこと言わなくなった。
たぶん安倍は何か重大なことを国民にナイショで売り渡した(または約束して帰った)のではなかろうかと思われるが、それは明らかになっていない。
トランプに気に入られたヨイショの手腕は大変評価するが、この点については少々恐ろしくもある。



ようやく韓国の話にもどる。

「韓国は実際に中国の一部だった」

このニュースを見た一部の韓国メディアや日本の左翼系メディアは
「トランプは無知すぎる」
「トランプは習近平にウソを吹き込まれた」
などと騒いでいる。

だがそうではない。

日本人には理解できないが、これは韓国人にとっては絶対のめない条件である。
つまりこれはトランプ流の外交プロトコルの1種であり、トランプの最も得意とするディールのやりかたなのだ。

では韓国はどうする?

韓国世論は大変感情的になっている。
これは韓国ウォッチャーならだれでも予測できるとおり。

だが国のトップがいない。
マトモな交渉担当者がいない。

交渉担当者がいない以上、対ターンブル戦のようなハチャメチャな結果にはならない。
だが次の大統領が出てくるまではディールは全く進まない。



次の大統領はどう出るだろう?

メルケルのように正論ブチかまして怒らせて疎遠になるかもしれない。
これがいちばんの見ものである。

だがそれは地頭がよく上品な人間のすることであって、いまの民族主義に狂った韓国で選ばれるような人間のすることではないかもしれない。
いままでのように粘着質にしつこくしつこく自分の言い分だけを連呼しつづけて相手をうんざりさせるのがお似合いだろう。

つまり、韓国の場合、見た目の良しあしに異常にこだわるため、ほかの重要案件をすべて後回しにしてこの属国問題にだけ勢力をつぎ込み続けるかもしれないということだ。
これは先例があり、安倍のアメリカ議会演説阻止に異常にこだわったことなどがそれである。

だが、そうではなく、来月か再来月にでもトランプが前言撤回したとしたら…。
それは韓国が何らかの譲歩をしたというシグナルとして見ていいだろう。
そのとき見ものになっているかどうかはしばらくしないとわからない。


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