教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

インフレとは? デフレとは?

2015-01-06 21:07:22 | 経済/経済/社会
質問が来たので当記事にて回答したい。



Q:

『インフレとはお金の価値が下がることで、デフレとはお金の価値が上がることっていうのでいいんですよね。
自民党がインフレ政策、民主党がデフレ政策ってことでいいんですよね。
でも、だからどうなのかがよくわかりません。
それと消費税増税との関係は?』



A:

インフレとはお金の価値が下がることで、デフレとはお金の価値が上がること。
これは正しい。

しかしそれだけの理解では、だから実体経済がどうなのかということがよくわからない。
もう少し踏み込んで解説する。



デフレとは、モノの値段が下がることである。
デフレになれば、スーパーに行くと同じお金でモノがたくさん買えるようになる。
この現象を『お金の価値が上がること』と言い換えてもOK。

それはいいことじゃん!
…と思うかもしれないが、実は話はそう簡単なものではない。

デフレになれば、スーパーの側は同じモノを売っても売り上げが落ちる。
それだけスーパーの経営が苦しくなるので、ということは従業員の給料にしわ寄せがくる。
つまりデフレとは『モノの値段が下がり、かつ労働者の給料も下がること』という理解が正しい。

両方おなじだけ下がるんならプラマイゼロで得も損もしないんじゃね?
…と思うかもしれないが、実は話はそう簡単なものではない。

デフレになれば、借金してるヤツがいちばん痛い目を見る。

たとえば年収400万円のサラリーマンがいたとする。
限界まで住宅ローンを組もうとすればだいたい年収の5倍まで貸してくれるので、頭金がなくても2000万円の住宅を買うことができる。
ところがどっこいデフレになると、年収は300万円に下がる。
同時に住宅の価値も1500万円しかなくなる。
しかしローン残高2000万円は変わらない。
相対的には借金が増えたような感じになる。

つまりデフレになれば、住宅ローンがガッツリ残ってるヤツがいちばん損する。
そういうヤツは生活が苦しくなるのでますますモノを買わなくなり、ますます景気が悪化する。
それがデフレであり、民主党の政策はそういうものを指す。



つぎ。
インフレとは、モノの値段が上がることである。
インフレになれば、スーパーに行くと同じお金で買えるモノが減る。
この現象を『お金の価値が下がること』と言い換えてもOK。

それはダメじゃん!
…と思うかもしれないが、実は話はそう簡単なものではない。

インフレになれば、スーパーの側は同じモノを売っても売り上げが増える。
これはさっきと逆のリクツで従業員の給料が増える方向に作用する。
つまりインフレとは『モノの値段が上がり、かつ労働者の給料も上がりこと』という理解が正しい。

両方おなじだけ上がるんならプラマイゼロで得も損もしないんじゃね?
…と思うかもしれないが、実は話はそう簡単なものではない。

インフレになれば、現金ばっかりしこたま貯め込んでるヤツがいちばん痛い目を見る。

今1500万円ほど持っていて、今それで1500万円の家を買えるとしよう。
インフレになると、しばらくしたら同じ家は2000万円で売られるようになる。
今1500万円あっても、その価値は未来では実質的には減っているのだ。

つまりインフレになれば現金で貯め込んでいてもあまり意味がなくなるので、貯金するよりモノに変えたほうがよくなる。
いまロシアで高級車や都市部の不動産がバンバン売れているらしいが、それはこのリクツである。
ようは、来年になったらもっと値段が高くなるのはほぼ確実だから今のうちに買ってしまえ!とというやつだ。
それがインフレであり、自民党の政策はそういうものを指す。



では、自民党がインフレ政策、民主党がデフレ政策、それはなぜなのか?

自民党は一般市民に直接お金をくばるというやりかたは好まない。
自民党は、企業がもっと儲かるような政策を好み、それによって間接的に労働者の給料が上がり失業率が下がるのが望ましいと考えている。

ところがここで問題がある。
企業がもっと儲かるようにするにはどうすればいいのか?…ということだ。

いちばんカンタンな方法は円安にすることである。
円安になれば、円で払う人件費はいつもどおりだとしても、ドルで見た場合の人件費は下がるので、ドルで見た場合の生産コストが下がる。
ほかの国でも作れるものを日本国内で作って輸出しようとしている企業は特に儲かる。
しかし円安になれば原油や食料が円換算で値上がりするので、物価が上がる。
ここで『物価が上がっても景気が良くなってそのぶん給料が増えればそれでいいじゃん!』というのが自民党のインフレ政策である。

為替政策で通貨安にして輸出品目の競争力を上げるこの方法のことを外的減価という。

では民主党はどうかというとだな。
民主党は、かわいそうな人にどんどんお金をくばってあげましょう!という、とってもポピュリズムな政策を好む。
景気を良くするどうかには関心がなさそうだと言わざるを得ない。
民主党はデフレ政策というが、わざとデフレにしようとする政策をとったのではなく、実情としては経済のことがよくわからんのでほっといたらデフレになったというのが正しい。

この場合、景気が悪くなるので給料が下がり、そのことで輸出品目の競争力を上げることになる。
これを内的減価という。



では、デフレとインフレとどっちがいいのかというとだな。

本来これはモノの値段と給料が、両方とも下がるか、両方とも上がるか、ただそれだけのことでしかない。

自民党は、いままでのやりかたではダメだと言い、おもいっきりインフレにすることでイチかバチかで急回復させようとしている。
これをアベノミクスという。

民主党は、アベノミクスに大反対だが対案なし、つまりちょっとずつ経済が悪化しているデフレの現状維持にしようとしていることになる。

アベノミクスがホントにうまくいくかどうかはわからない。
逆に、おもいっきりデフレにして経済を再生する方法もとりうるかもしれない。
ちょっとわたしには思いつかないけどさ。
だからデフレとインフレのどっちがいいというものでもないのがホントのところ。



ここまできてようやく消費税増税の話になる。

税金を語る上では累進課税の話からしないといけない。
累進課税とは、所得の低いひとからはちょっぴり課税し、所得の高いひとからはがっつり課税しようという方法のことである。
年収100万円のひとは所得税率1%で1万円の課税、年収1億円のひとは所得税率50%で5000万円の課税、みたいなやりかただ。

比率の問題はさておき、基本コンセプトとしてこの考え方は正しい。
金持ちのほうが生活に余裕があるので、よけいに取り立てられても生活へのダメージが少ないからだ。

しかしこの方法には穴がある。
所得税を払ってないヤツがいちばん得するということだ。
年金生活のジジイや生ポ野郎、こいつらは人が払った所得税で行政サービスを受ける立場にあるわけだ。

じゃあこいつらから取り立てるにはどうすればいいかというとだな。
それが消費税なわけ。

年収が少なければ可処分所得はほとんどないが、年収が高ければ可処分所得はかなりの割合になる。
だから全員同じ税率になる消費税は『逆』累進性を持つ。
年金生活のジジイや生ポ野郎から税金取り立てるには消費税がいちばんいいのだ。

自民党は、アベノミクスで予算たくさん使って企業むけに景気対策し、それで景気が良くなって給料増えればちょっとくらい税金増えてもいいよね?…というのをめざしている。
ところが自民党の思った以上に8%への増税のダメージが来たので10%への増税を延期した。

多くの場合、民主党のような左翼のヤツらは「かわいそうな人にどんどんお金をくばってあげましょう!」なので、逆累進性を持つ消費税の増税には反対する意見のほうが強い傾向がある。
民主党よりさらに赤い共産や社民は消費税そのものに反対、民主党でも比較的ニュートラルに近かった野田政権のときに消費税の増税を決定した、その背景は上記のようなリクツからくる。



自民党はGDPの名目成長率2%を目標として公言しているが、たぶん実質成長率は1%くらいを狙っているんじゃないかとわたしは思っている。
でもそれを公表すれば「単にインフレになってるだけじゃん!」と批判が来るはわかりきっているので黙ってるだけなんじゃないかと。
対して民主党のやりかただと、GDPの名目成長率マイナス1%、実質成長率マイナス0.5%みたいなことになるんじゃないかろうかと。

どっちがいいかってぇと、必ずしもデフレよりインフレのほうがいいとは言わんが、民主党には任せたくない、わたしはそう言いたい。


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2 コメント

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インフレのメリット (x)
2015-01-07 00:00:58
価格や賃金の下方硬直性を考慮すると、弱インフレには調整機能という面もありますね。
インフレでは経営側は、
 1.名目賃金を変化させない=実質賃金を引下げ
 2.名目賃金を少し上げる=実質賃金を維持
 3.名目賃金をかなり上げる=実質賃金を引き上げ
の3つの手が選択が可能なのに、デフレでは軋轢覚悟で名目賃金の引き下げを断行する必要があり、それが出来ないと実質人件費が肥大して会社自体が終焉に向かったりするという。

ところで、逆進性の説明に可処分所得の大小を持ってくるのは初めて見る気がします。
低所得者は、可処分所得に占める(投資や貯蓄でない)消費の割合が高いため…という意味でしょうか?
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意図 (教団「二次元愛」教祖)
2015-01-07 00:35:06
> 下方硬直性

当記事でそこまで書くと盛りすぎかと思いまして、そこらへんの話はあえて省略しました。
当blogでもどっかでこの話を書いたことがある気がします。



> 可処分所得

意図するところはお察しのとおりです。
銀行預金を積み増しても消費税とられませんし。
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