秋吉さんのディスコメイト・レコードでの最後のリーダー作は、ピアノ・トリオにフルート・カルテットを加えたアルバムです。
トシコ=タバキン・ビッグ・バンドでは、リードセクションは皆フルート持ち替えでフルートアンサンブルを用いた曲も多いので、そこからの発想か、あるいは一人娘の満ちる嬢が当時フルートを学んでいたからなのか、いずれにしても珍しい編成です。
トリオは、気心の知れたバンド・メンバーのボブ・ボウマン(b)とジョーイ・バロン(drms)で、フルートの4人は当時17歳の満ちる嬢の他、いずれもクラシック畑で実績を積んでいる方たちです。
フルートはアンサンブル主体で、ソロもありますがおそらく譜面に書かれたものだと思います。
曲は、タバキン作の「フォーリング・ペタル」、ボサノバの「カーニバルの朝」の他は、秋吉さん作の4曲です。
タイトル曲の「トウッティ・フルーティ」は、のちにビッグバンド用にアレンジされて「ハッピー・ホッファー」と改題されて「テンガロン・シャッフル」に収録されます。
また、「青い夢(ブルー・ドリーム)」も同アルバムに、「シック・レディ」は1991年録音の同名アルバムで再演されます。
残りの1曲「ラスト・ミニット・ブルース」は、多分スタジオで即興的に作ったブルースナンバーです。
通常のピアノ・トリオではないですが、秋吉さんのソロはたっぷり聴けます。
ウエストコースト時代のトリオやコンボ作品を聴くことができるのは、ディスコメイト・レコードのおかげです。
ニューヨークに戻ってからは、日本クラウンの「ナインティ・ワン」レーベルが、バラエティーに富んだ作品を制作してくれました。
ディスコメイトとナインティ・ワンには感謝しなければなりません。