A面1曲目の「ホーリーランド」がいい。
シダー・ウォルトン(p)作のこの曲は、日本人好みの哀愁漂う名曲だと思いますが、作曲者自身がクリフ・ジョーダン(ts)を加えたカルテットの演奏(「ナイト・アット・ザ・ブーマーズ」)を期待して聴いてみたところ、ピンと来ませんでした。
このアルバムの演奏は、この曲はこう演奏すべきという良い手本だと思います。
「HOLLY Land(聖地)」というタイトル通り、荘厳で力強い、緊張感のある演奏です。
アル・ヘイグというとパーカーの共演者として知られていますが、このアルバムにはパーカーゆかりの曲はありません。
「ホーリーランド」、タイトルにもなっている2曲目の「インビテーション」、オリジナルのブルースとバラード、スタンダード「If you could see me now」など録音時点でのコンテンポラリーな選曲です。
どの曲でも、硬質で男性的なタッチで繊細なフレーズを紡いでいます。
70年代以降のピアノトリオアルバムとしては10肢に入る傑作だと思います。