うちらのひとりごと。

酒と映画をこよなく愛する、多趣味な男(ことら)ときまぐれ女(こじか)のブログです。

クワイエットルームにようこそ

2007-10-29 23:13:58 | 映画
※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。



舞妓Haaaan!!!」に次ぐバカ映画第2弾と思って観に行きました「クワイエットルームにようこそ」。
実はこれがものすごいカンチガイで、思った以上にヘビーな映画だったんです。
「BACK TO THE FUTUREか?!」ってツッコミ入りそうだけど…
…って、分かりにくいネタやな~

この作品はこじかが見付けた映画だったんです。
監督:松尾スズキ
脚本:宮藤官九郎(←ココをことらがカンチガイ)
主演:内田有紀
助演:蒼井優
と聞いたら、即「面白そうやな~」となる訳で。
この時点では内田有紀に若干の不安はあったんだけど、観てみたら、とてもいい女優さんになってましたよ。


それにしても、ホンッとにひっさしぶりの映画鑑賞でした。
オーシャンズ13」以来なんだよねぇ~。
観に行かなかったというより、観たいと思う作品が無かったんです。
結局「魔法少年の学校の話 第5話」は第4話があまりにアレだったから観る気無くしたし、「ものすごい死に方 4.0」(と思ってた。実は「殺しても死なないヤツ 4.0」だそうで)は「予告でいいシーン全て流してねぇ??」と思うと足が遠のいてしまって…。

で、いつものMOVIX堺に行ってきたんだけど…またもや、経営が心配になるくらいガラガラ…。
まぁ、今は話題の超大作もないし、休み期間じゃないから子供映画もないし。
これがいつもの様子なんだろうなと。
温泉のおかげで、あいかわらず駐車場は一杯だったけども。

それよりショックなことが。
「俺の好きなヒッポコブラザーズはいずこへー??!!」
変にリデザインされた、カバっぽい生物のアニメに変わってました…。
しかも、前のようなマナー喚起ではなく「映画って楽しいねー」と延々歌ってるだけの変なアニメに…。
これじゃノラビッツやってるのと変わらんじゃないか。
早急に元に戻してくれ~!!
あのカバ観て和んでたんだよ~!!!


さて、まくらはこれくらいにして、
前述したとおり「脚本:宮藤官九郎」はカンチガイです。
「脚本:松尾スズキ」が正解です。
でも、前半のバカらしさや、楽屋ネタ、下ネタのオンパレードはまさにクドカン脚本で…というか、ひょっとすると、クドカンが松尾脚本に影響受けてるのか??
ただ、後半「クドカン脚本にしては、あまりに重くね?」と思って、スタッフロールしっかり観てると”カンチガイ”と判明しました…。

監督:松尾スズキの見せ方は面白いと感じました。
唐突に画面が変わり、しかも、決してその場で全てを説明しない。
ある程度過ぎてから、時間軸を戻して説明が行われる。
ただ、過去に戻ってる時間が結構長い時があるので、ボーッと観てると分からなくなるかもしれないです。

ストーリーは、無意識に薬中になってしまった明日香(内田有紀)の没落と再生を面白おかしく描いてます。
一言で言えばそれだけ。
でも、~ちょっと言い方悪いけど~心病みかけの人が観れば、かなり心に響くんじゃないかな?
あ、薬中と言っても、睡眠薬ね。アヤシイクスリじゃないです。
その内田有紀、かなり身体張ってます。
正直、ここまでするのは結構勇気必要だったんじゃないかな?
上半身裸になったりするしね。
元アイドルが身体張るという意味では「歌姫」の斉藤由貴もか??(←ちょっと違う)

身体張ってると言えば、明日香の彼氏:鉄ちゃん役の宮藤官九郎も。
明日香「お尻触っていい?」
鉄  「うん」(ここで生尻!)
明日香「落ち着く~」
とか。
某電波少年的番組の放送作家で、番組内でも色々ヒドイ目に遭ってるようでした。

蒼井優は言わずもがな。
ちょっとキテる人の役を、きっちり演じてました。
正直、そんなに出番は多くないけど、ものすごく印象深い役です。
なんでも出来るね~。改めてスゴイと再認識。

それにしても、医師役で庵野秀明が出てたのは吹き出しそうになったな~。
あの人俳優やってたっけ??
胡散臭いお医者って役をきっちり演じてましたよ。
ここで北村一輝が、例のカマっぽいお医者で出てたら、うちらとしては最高だったんだけどね~。


楽屋ネタ的笑いがかなりあるんだけど、そういうのは、決して狙った訳ではないそうです。
真面目に作って、副産物としてそういうシーンが出来たと。
確かに、全編通して結構重いです。
なにしろ精神病棟だから、傍目にはかなり奇異な人ばかり。
自分はまともというミキ(蒼井優)でさえ、やっぱ奇異な人な訳で。
ただ、そういう人達全員が何か背負ってて、何か病んでて、そういうところが丁寧に描かれてる。
普段はバカに明るい看護士(平岩紙)が、担当の拒食症の患者が食事を完食するの見て、こっそり涙するとかね。
明日香なんてもう、ホントの転落人生ですよ。
離婚・中絶・元夫自殺・アル中・薬中・無意識の自殺願望etc..
でも、これって一歩間違えれば誰にでも起こりうることなんでしょうね。
映画の世界だけど、決してそんなに現実離れしてない。
そこがリアルで、それ故「重い」と思ってしまったのかもしれません。
でも、そんな明日香を、内田有紀が明るく前向きに演じてるから、作品に悲壮感はないです。
バカ映画ではないけど、楽しい雰囲気がどこかにある。
そして鉄ちゃんはホントにバカ。笑
この辺が松尾スズキの巧さなんだろな~。

ラスト、退院した明日香は、みんなから退院祝いに送られた寄せ書きの色紙を捨てます。
それは過去からの決別の意味。
その横で、入院中よくしてくれた人が、再び救急車で運び込まれます。
しばし呆然とする明日香。
…色んな事を考えさせられるシーンでした。

そしてエンドロールなんだけど、このままだと重い映画で終わってしまう。
そんなことはなくて、最後の一笑いがありマス。
途中で席立たないように。
たぶんあれは、出演者にとってもサプライズだったと思われる…。

久々に観るには最適の、イイ映画でした。
でも、この作品は松尾スズキ・宮藤官九郎・平岩紙…この辺りの人の名前を聞いて「ピン」と来る人が、より楽しめる作品かもしれません。
「一見さんお断り~」じゃないけど、映画好きな人向けの作品かな~?
そんな印象でした。
…なにしろね、2、30人くらい居たお客さんの中で、バカ笑いしてたのはうちら2人だけだったんですよ…。

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