※当ブログは基本的にネタバレありで書いてるので注意してください。
名作「
時をかける少女」から3年、細田守監督以下、同一スタッフで製作された作品「サマーウォーズ」です。
正直なところ、こじかに言われるまでまーったく存在を知りませんでした。
言われてもピンと来ず。
予告見てよーやく「これは観なきゃならん!」となったのでした。
予告や宣伝イラストから受ける印象は「アナログな世界を描いた映画」なんだけど、期待に反して?中身はデジタル世界のお話です。
デジタル vs アナログというか。
バーチャルネットワーク vs 家族ネットワークというか。
実際は、AI vs 人間なんだけども。
なにしろまーったく前知識無しで観たんで、冒頭は何の映画か分からずじまいでした。
「”ぼくの夏休み”か?」みたいな。
それが、一通のメールから一気に作品のスイッチが入り…
作品の舞台は、時代的には現代なんだろうけど、「OZ」と呼ばれるネットワーク…-というよりもバーチャルワールド-…に依存している世界。
インターネットプロバイダが一社独占と考えれば分かりやすいかも。
ただ、OZはプロバイダどころじゃなくて、携帯電話やメールに始まり、ショッピングや官公庁の手続き、更には信号や交通機関の管理、果ては原発や人工衛星に核ミサイルまで、という、およそ「ネットワーク」と呼ばれるモノ全てを支配?する一大ネットワーク。
そんな世界に、知識欲旺盛なハッキングAIが解き放たれ、世界は大混乱。
それに挑むは、数学の天才だけど、それ以外は平均以下?な少年・健二と、アナログな田舎の大家族である陣内家。
このデジタルとアナログの対比が非常におもしろいんです。
陣内家の人達は個性派揃いで、愉快な人達。
その一家を束ねるは、90歳の誕生日を迎えるおばあちゃん。
その誕生日を祝うために、親戚一同勢揃いするっていうのが、物語の始まり。
ことらも両親が大家族だったんで、お盆や正月には似たような光景が繰り広げられていました。
そういう意味で懐かしかったですね~。
そんな話はおいといて
おばあちゃんの誕生日を祝うため親戚一同集うはずが、OZの混乱により「いつ着くか分からない。」との連絡が次々と。
異常事態を察したおばあちゃんは、「あんたなら大丈夫。あんたがやらなきゃ誰がやるんだいっ。」と、あらゆる人に激励の電話を掛けます。
その中には国を動かしてる人たちも。
みんなが為す術無く呆然としてる中、何の迷いもなく、自分の出来る最大限のことを行うその姿に感動。
当然、健二や陣内家の人達も心動かされ、冗談じゃなく地球を滅ぼそうとするAI・ラブマシーンに戦いを挑みます。
(「モー娘。か?」のセリフにゃ笑った
)
物語の最初から最後まで、常に中心にはおばあちゃんが居ました。
昔気質と言えばそれまでだけど、ホントに芯の強さを感じさせる、魅力ある人物でしたね。
こんな人に励まされたら、がんばらなきゃ仕方ないよな~。
この作品のアナログ面を象徴するお方です。
そして、この映画はデジタルの恐ろしさと良さの両面を、とてもうまく描いてます。
恐ろしさの象徴はラブマシーン。
デジタルに依存してる世界に強力無比なウィルスが入り込んだら…というのを、分かりやすく描いてます。
ネットワークがOZひとつだけなのも、作品をシンプルにするための工夫だろね。
ラブマシーンのやりたい放題により、世界中が大混乱。
OZマーシャルアーツでの世界チャンピオン:キング・カズマ(彼も陣内家)でさえも歯が立たない中、次に挑むのがヒロインの夏希。
勝負は花札で。(当然、OZの中で)
初めは有利に勝負を進めるも、ちょっとした油断で、一転、危機に陥ります。
そんな中、助けに入るのが、見ず知らずのドイツの少年。
この少年の行動を皮切りに、事態の推移を見守ってた世界中の人達が、一斉に助けに入ります。
この辺りの展開はかなり感動的。
ネットって悪いことばかりじゃないんだぞ。世界中の人と繋がってるってのはステキなことなんだぞ、と感じさせられるシーンです。
おかげで勝利し、人工衛星を原発に落とすという、ラブマシーンの陰謀は阻止されます。
が、ラブマシーンは最後のあがきをし…
最後の最後に、やられっぱなしだったカズマはリベンジ果たし、裏方に回ってた健二は一躍、陣内一家の命運を背負い…と、最後までハラハラさせられっぱなしでした。
よく練られた作品だなぁ~と、ホントに感心。「トキカケ」もそうだったけど、ツボをよく分かっていらっしゃる。
観なきゃ損な作品ですよー。
公開初日に観に行ったんだけど、その日は映画の日で、しかも土曜日。
…の割には堺浜はあまり混んでなかったんだけど、ほとんど宣伝してないにも関わらず、客席は半分は埋まってました。
トキカケ効果かなぁ?なんてこじかと話してたんだけども。
これから口コミで、どんどん動員伸ばしていくことでしょー。
…ひとつ気になったのは、ネットに全く無縁であろう初老の男性が、途中で席立ったこと。
インターネットがどういうモノか分かってない人には「サマーウォーズ」の世界は理解できないかもしれませぬ。
トキカケと違って、観客を選ぶ作品かもしれませんねぇ…。
…で、一週間空けて、2回目の鑑賞に行ってきました。
内容分かってるはずなのに「泣いた。笑った。感動した。」
間違いなく名作ですねぇ~。
レイトショーにも関わらず、席は半分は埋まってたし。
2回目となると、ちょっと冷静に観れるんで、色々な細かい点に気付くことが出来ました。なかなかよく考えられてますよ。ホント。
今回も入道雲での演出がされてたしね。
実は1回目観た時は、山下達郎の主題歌にちょっと違和感感じてたんですよ。
「奥華子の方が合うんでない??」って。
ところが2回目の時は達郎ソングが妙にしっくりきてて。
「あれ?合ってるやん。」って。
先入観の問題かねぇ…?