たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

青空と資源、値段と環境 <電力共同購入 お安く オランダ企業が提案>と<中国 天然ガス輸入急増>などを読みながら

2018-02-16 | 原子力・エネルギー・地球環境

180216 青空と資源、値段と環境 <電力共同購入 お安く オランダ企業が提案>と<中国 天然ガス輸入急増>などを読みながら

 

ウェブニュースでは、羽生結弦選手がSP首位になったことを大きく取りあげています。大きな怪我から試合に出ないままオリンピック競技に登場するわけですから、いくら才能豊かで実力があっても、外野の私には不安でした。画面は達成感に満たされた爽やかな表情の羽生選手が映っています。素晴らしいですね、大喝采です。政治色がにじみ出てあまり関心を持てなかった冬季オリンピックですが、ときおり個々の選手の練習に精進する様子を見たりして、次第に関心が高まってきたところでした。

 

帰ったらTV番組で特集されるでしょうから、彼の勇姿はぜひみたいものです。まだフリーがありますが、彼ならなんなく高得点をたたき出すのでしょう。

 

夕方になると今日のテーマを何にしようかと考えるのですが、あまりぴんとくるものがなく、新聞を斜め読みしていたら、上記の二つの記事が一緒に並んでいて、なにか気になってしまい、脈略は取って付けた感じになりますが、ま、二つの記事にはいろいろな意味合いがありそうで、書きながら考えてみよかと思います。

 

最初の記事<電力共同購入お安く オランダ企業が提案>によると、

<住民グループによる電力・ガスの共同購入を支援するオランダの企業が今夏、日本に本格参入する。>

 

共同購入方式自体は以前からあると思いますが、たしかに住民グループが提案するのはそう多くないでしょうね。ではその特徴を見てみたいと思います。

 

自治体などが一定規模の需要者を集める方式と、入札で購入先を決めるのが特徴のようです。その結果、<電力・ガス会社の広告費などが不要になる分、料金が安くなりやすいという。>

 

その実施主体である企業は<オランダの共同購入支援会社「アイチューザー」。自治体や消費者団体が住民に呼びかけ、共同購入グループを結成。同社は再生可能エネルギーの割合などグループの希望条件を電力・ガス会社に提示し、入札で購入先を決める一連の作業を代行する。契約が成立すると、同社は購入先の電力・ガス会社から手数料を受け取る。>

 

消費者団体が呼びかけるのはわかりますが、自治体まで呼びかけるというのはEUらしさでしょうか。再生可能エネルギーの割合などを条件化する点は、一定の消費者の賛同を受けやすいし、参加者を集める適切な条件提示の一つでしょう。

 

実績は<同社はオランダやベルギーなど4カ国でサービスを展開。英ロンドンでは1万1000世帯が参加し、1世帯平均で年間約3万7000円の節約につながったという。>この規模をどうみるかですが、再生可能エネルギーへの転換に向けた一定の勢力になりうることが期待できそうです。東北で始めるようですが、今後注目したいです。

 

これは消費者サイドからの電力構成のあり方や価格設定の低減を目指す新たな手法の一つとして評価されて良いのではと思うのです。より強調すれば、電力の民主主義化の一態様かもしれません。

 

他方で、もう一つの<中国天然ガス輸入急増 価格、半年で倍に 「青空作戦」石炭使用を制限>は、まさに民主主義とは対抗する中央統治であらゆる政策を実現する中国らしい電力政策を如実に示しています。

 

北京の空と言えば真っ黒とはいえなくても青空は見えませんでした。といってもわが国も公害国会といわれた年の東京は北京に負けないくらいひどかったですね。わたしなんかも、明治通りを駅からアパートまで歩いていましたが、あるとき心臓が苦しくなったことがありました。車排ガス汚染に工場公害がひどかったのです。しかも清掃工場がまったく公害規制を守っていなかったのですから、官民ひどい状態でした。これは当時の東京都大気局の責任者だった方から後日うかがったことがあります。当時の職員で仲間がいるのでその情報もありますが。それから青空を取り戻す訴訟など長い闘いを経てようやく東京の空も澄んできたのですね。

 

でも私がカナダ滞在から帰ってきたとき、その青空の下でも気分が悪くなるくらいでしたから、健康に多少自身のない人にとっては決して清浄な大気とはいえないと思うのです。ここ10年近く東京に行っていませんので、排ガス規制も定着して、かなりよくなったのでしょうかね。

 

ところで中国も<北京など中国北部では毎年、冬になると「暖気」と呼ばれる石炭などを燃料とした集中暖房が始まるため大気汚染が一気に深刻化する。健康被害も広がっており、市民の不満が高まっていた。>

 

それで<「青い空を守る戦いに勝利する」。昨年10月の中国共産党大会で習近平国家主席は宣言し、経済成長を多少犠牲にしてでも環境改善を実現する決意を示した。>その結果、<深刻な大気汚染の対策を進める中国が、環境に優しい天然ガスの輸入を急増させている。>すると<発電などに使われる液化天然ガス(LNG)の価格は半年で2倍に高騰しており、世界最大のLNG輸入国である日本も打撃を受ける可能性がある。>と風が吹けば桶屋が儲かる式に、いろいろエネルギー資源事情・価格に影響しているようです。

 

中国が方針を変えれば、世界への荒波?がどっと押し寄せてくるのがわかります。

<中国の2017年のLNG輸入量は3813万トン。前年に比べ5割近く増え、韓国を抜いて一気に世界2位の輸入国に躍り出た。日本の17年輸入量は8363万トンでまだ倍以上の開きがあるが、中国の需要急増は今後も続くとみられ、「年内にも輸入量で日本に迫る」(エネルギー関係者)との見方も出ている。>

 

中国もLNGは輸入に依存するようで、わが国ほどではないとしても、世界各国からどんどん輸入の食指を広めているようです。

<中国政府はこれまで中央アジアやミャンマーからパイプラインを引き天然ガスを仕入れてきたが、世界有数の産出国であるロシアと結ぶ新しいパイプラインの建設も始まった。昨年11月の米中首脳会談でもアラスカ地区の天然ガス共同開発など複数の「ガス案件」をまとめるなど世界のガス資源を買いあさりはじめた。>

 

ところで、アメリカのシェール革命の恩恵がようやく日本にも及ぶことになったことで、昨年1月の週刊ダイヤモンド記事では<米国産LNG輸入開始、日本のエネルギー調達に大きなメリット>と日本のエネルギー構造に新たな光がさしたような解説がなされていました。

 

<今や石炭を抜き、石油に次ぐ1次エネルギーとして重要度が増しているLNG(液化天然ガス)。その輸入において、日本のエネルギー史に残る第一歩が先日、静かに踏み出された。>

 

それが<16日、新潟県上越市の中部電力上越火力発電所に、日本で初めて米国産のシェールガス由来のLNG(液化天然ガス)が到着した。>ということを指しているようです。

 

このアメリカからの輸入によって、2つの大きな意味があると、片田江康男記者が指摘しています。

<一つはエネルギー安全保障上のメリットだ。日本ではLNGは主に発電用の燃料と、家庭などで使うガスの原料として消費されているが、全量を輸入に頼っている。そんな日本にとって、調達先を拡充し多様化することは、エネルギー確保の観点から極めて重要だ。

もう一つは、日本が輸入するLNGの調達価格が多様化されることで、こちらの方が大きい。>

 

実際、原発停止後、電力とガスの各社間での価格競争が激しくなっていましたので、<そんな価格競争では、発電の燃料やガスの原料となるLNGの調達力がものをいう。安定的に、安く調達できれば、電力やガス生産のコストを抑えられ、電気とガスの料金の値下げができるからだ。>というのです。

 

たしかに今まで調達先でなかったアメリカからの大量輸入は大きな価格競争力をもつことになるでしょう。期待十分ですね。

 

ところが、先日の毎日記事<LNG米企業、中国に輸出 初の長期契約>では、<米液化天然ガス(LNG)大手シェニエール・エナジーは9日、中国国有エネルギー企業、中国石油天然気集団(CNPC)とLNG輸出の長期契約を結んだと発表した。>この米企業は日本へ同じ場所から輸出しているのです。トランプ大統領を通じて中国に圧力をかけたのかどうか知りませんが、中国にとっても渡りに船だったかもしれません。

 

<シェニエールによると、契約は2043年までで、今年から年120万トンを輸出する。これを受け、米南部で輸出基地増設の検討を進める。シェニエールは「中国は世界で最も速く成長中の市場であり、契約をうれしく思う」との声明を出した。両社は昨年11月、トランプ大統領の訪中時に覚書を交わしていた。>

 

日本だけが価格競争力を持つわけではないようで、今後、新たな競争状態が生まれることは確かでしょう。

 

では青空は中国にも広がるのでしょうか、たぶん、その可能性は大だと思いますが、はたして地球温暖化対策にとってより有効な策と言えるかとなると疑問です。青空は戻ったけれども、温暖化の進行は低減しないおそれがありますね。

 

ちょうど一時間となりました。きりの良いところでおしまいです。また明日。