たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

北朝鮮の資金源 <北朝鮮 巧妙な錬金術 不正取引、サイバー攻撃…>を読んで

2017-06-08 | 安全保障

170608 北朝鮮の資金源 <北朝鮮 巧妙な錬金術 不正取引、サイバー攻撃…>を読んで

 

今朝も早い目覚めで、昨日の続き「この国のすがたと歴史」を読みながら、外が明るくなってくるように、日本の縄文期やアイヌや東北など各地の文化・生活への見方の中に、少しずつ薄もやが晴れるのを感じてきます。

 

外は雨。美しい雨脚です。遠くの稲穂が細身の列をなした中に落ちてわずかにはねる様子もとてもきれいです。小さな谷の向こうは靄で隠れていて、この一帯が幾分か桃源郷のように感じるは身勝手な見方でしょうか。農家にとっては恵みの雨。灌漑用水の水入れ作業も休みでしょう。とはいえ農家は昔からの身についた性分でしょうか、雨が降れば家の中での作業が待っています。兼業農家が増えているので、そういったことも少なくなったでしょうが、専業だと終日作業をしているのが普通でしょうね。雨模様に隠れた人の誠実な営みを感じてしまいます。

 

さて本日の話題はと、別の件を2件ほど調べていたのですが、なんとなく以前から気になっていた見出しのテーマについて、今朝の毎日朝刊が<北朝鮮巧妙な錬金術 不正取引、サイバー攻撃…世界が標的>と紙面1pをさいて取り上げていたのと、別の面では、その関連記事でしょうか<北朝鮮租税回避地で取引 中国人女性の企業次々 口座、制裁の隠れみの>と同様に大きく掲載していたので、少し勉強の意味で取り上げようかと思います。

 

今朝のNHKニュース、FMクラシックをゆったりとして聞いていたら、またもや北朝鮮が発射したとの臨時ニュース。たしかきわめて低い高度で距離も200kmとかで日本海に着弾したとか。昨夜でしたか、安倍首相の北朝鮮に対する制裁強化の演説に治して、金正恩第3代最高指導者が、いままでアメリカ攻撃を強調していたのが一転、日本を攻撃対象とするといった報道が流れていましたね。

 

これでますます安倍政権は、国防予算を増大し、対抗手段を前倒しに強化する方針になるのでしょうね。国民も不安な声が高まってくるかもしれませんので、そうなると対抗手段に先鋭化する可能性はあるのでしょう。

 

私の場合は、命が先行きそんなに長いとは思いませんし、元々北朝鮮のブラフ的な発言はあまり気にしませんが、幼子を抱えていたり、若い世代の人たちは北朝鮮の挑発的な言動に忍耐を維持できるか気になります。

 

私の狭量な判断では、これらの挑発行動は、軍需関連産業やブラックマーケットでの戦略的な意図・計算で行っているのではないかと愚考しています。とはいえ緊張が高まり、ちょっとした暴発が拡大するおそれはまったくないとはいえませんので、その点の厳格な配慮は必要でしょうね。

 

さて、北朝鮮の状況については、金正日総書記の時代は、経済的貧困の状態がよく報道されていたように思います。たしかに食料・日用品もなかったですし、経済的な苦境があったかもしれませんが、情報としては限定的で一面的であったかもしれません。

 

そのため、北朝鮮が中国に経済的に依存していて、中国が指導すれば核開発など問題が解消するかのような雰囲気というか、ドグマというか、日本国民の中にできあがっていたかもしれません。

 

さて、上記毎日記事は、<北朝鮮の錬金術 暴かれる実態:サイバー攻撃で他国中央銀から巨額資金奪取 フロント企業駆使し不正な国際金融取引>を要約したもののように思えます。

 

いずれにしても北朝鮮が核開発・実験やミサイル発射などに必要な資金源は、裏の資金ルートを世界的に構築していて、これによって潤沢な資金を金正恩氏が独占的に支配して自由に活用しているのではないかと思われるのです。

 

国連制裁決議がなんども行われていても、参加国の不遵守や履行懈怠もあるでしょうし、独自のサイバー攻撃やマネーロンダリングなど多様な資金収集システムができあがっているのでしょう。

 

おおよそはこれまでもニュースで取り上げられてきたかと思いますが、今回は割合よくまとまっていると思いますので、勉強のつもりで一つ一つ、見ていきたいと思います。

 

金融機関へのサイバー攻撃

上記を含め多様な資金集めに使われるマネーロンダリング(資金洗浄)

軍事用通信機器メーカーによる武器輸出・軍事施設建設への関与など

ヨーロッパへの北朝鮮労働者の派遣労働

タックスヘイブンに実態を隠したフロント企業を通じて金融決済

 

金融機関へのサイバー攻撃は、<手口は「フィッシングメール」。偽メールを中銀の行員に送りつけ、それとは知らずにメールを開いた行員から、ユーザーネームや暗証番号を盗み出して銀行内のシステムに侵入。行員を装いバングラ中銀がドル資金を預けてある米ニューヨーク連銀の口座からフィリピンの銀行への送金を指示して奪い取る手口だ。北朝鮮は同様に東南アジアやインド、中南米諸国の金融機関にも攻撃を仕掛け、毎回、数百万ドル(数億円)規模の資金を盗み出した。>

 

<フィリピンの銀行に振り込まれた8100万ドル(約90億円)は、いったん偽名口座に振り込まれた後、仲介人を通してカジノの経営者など賭博施設関係者に渡った。賭博会社を経営する中国籍実業家が約1500万ドルを返還したものの、残りの6600万ドル(約73億円)の行方は不明だ。>

 

この件は、<4時間にわたり計35件の送金指示が届いたが、その多くは送金を経由する米銀行が「マネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがある」と送金を拒んだため不首尾に終わる。すべて成功なら被害総額は約10億ドル(約1100億円)に達していた。>というのですから、しっかりした管理がなされていれば防ぐことができるものの、下手をすると1100億円も、いわば奪い取るわけですから、北朝鮮にとっては濡れ手に粟ですね。

 

軍事用通信機器メーカーによる途上国への進出は、<北朝鮮軍人が大統領警護隊にマーシャルアーツ(東洋の武術)を教えているとの情報>は当のアンゴラ政府が調査に協力していないため、はっきりしないものの怪しいですね。要は、国連パネルの調査報告では、<ザンビークへの戦車など武器輸出▽コンゴ民主共和国への拳銃や軍事訓練の提供▽ナミビアでの軍事施設建設への関与>が問題にされています。なお、この報告自体はなかなかウェブ上で見つからず、毎日新聞は入手しているとしても、これはウェブ上では公開されていないのでしょうかね。

 

また、派遣労働については、<ポーランド北部の港町グダニスク。2006年、かつて「レーニン造船所」として知られた造船所に北朝鮮の造船技師が働くと聞き、訪ねた。北朝鮮の28人はポーランドの派遣業者が借り上げた一軒家に居住する。中には卓球台などの娯楽施設もあるという。毎日、リーダー役がマイクロバスを運転して通勤、食事は自炊だ。

 欧米で北朝鮮労働者は「奴隷労働者」と呼ばれる。派遣業者によると月給は円換算で16万円。うち5万円が労働者に渡され、残りは北朝鮮企業に振り込まれる。>とのこと。この手法は以前から女性楽団などを含め中露や東南アジアに相当の人が派遣されて、重要な資金源となっていることは確かでしょう。

 

ただ、<元米国務省のルッジェーロ氏は「派遣労働による本国送金は少なくとも年5億ドル(約550億円)」。これが北朝鮮の核・ミサイル開発に使われていると指摘する。>のですが、そんなに稼げるのかなと多少疑問に感じますが、資料がないのでなんともいえません。

 

私自身は、サイバー攻撃や軍事輸出が信じられないほどの規模ではないかと思っています。北朝鮮の発射実験は、ま、いえば無料の軍事技術の公開演出で、それが全世界に、ある種宣伝してくれるわけですから、各地で軍事力強化を図ろうとしている、政権・組織にとっては、またとない展示会場となるわけでしょうね。ブラックマーケットで商売しているメンバーも、公開で展示されるわけですから、商売しやすくなりますね。ブラックマーケットはなくならないのが人間世界の運命なのでしょうか。

 

国連決議が履行を担保している制裁措置も、大銀行など大企業には有効であっても、いくらでもタックスヘイブンが企業取引として許容されている世界経済の基では、中小のペーパーカンパニーなど、重畳的にいくらでも作れるでしょうし、いたちごっこは改善する見込みは今のところ見えてきません。

 

そんな悲観的な話ばかりしていても楽しくないですが、他方で、軍事力による解決を基本とする以上は、ブラックマーケットは人類が生存する限り増殖するように思うのです。むろん軍事的な解決を回避し平和的解決を目指す試みは、成功してきたとはいえません。とはいえ、国際連盟、国際連合と続いた長い歴史を通じて、少しずつ人類は破滅を回避する手法を学んでいると期待したいところです。

 

もうそろそろ業務時間の終了です。この辺でブログを終え、今日は早めに帰ることにします。