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持続可能な社会への移行の手始めは「ビジョン」をつくることです。ジグゾーパズルにたとえるならば、持続可能な社会は「完成図」です。出来上がりがある程度わかっていれば、パズルのピースをつくり、それを上手に並べて、ビジョンを実現しようとするわけです。
ところが、日本の場合には、「持続可能な社会」の全体像(完成図)がわからないままに、みんなが一生懸命ピースをつくっているようなものです。ですから、出来上がったピースひとつひとつは完成度が高く、パーツとしては有効なのですが、お互いに整合性がとれていない可能性が高いのです。つまり、システム的に整合性が悪く、うまく機能しないのです。
環境問題の重要性に気がついても、企業や市民が十分な「環境問題に対する共通認識」がないままに出来ること(ところ)から始めますと、「整合性のない技術」やせっかく努力しているのにその努力が報われない「実効性のない行動」が生まれる可能性が高まります。
つぎの図は、スウェーデン政府の数ある環境・エネルギー分野の政策の中から、緑の福祉国家に転換するために、私の環境論の視点から私が重要だと思うものを、私が選び出したものです。かならずしも、スウェーデン政府の見解を反映しているものではありません。すでに紹介した「環境の質に関する16の政策目標」に達するための中・長期的な転換政策として位置づけられる、 と私自身が判断したものです。
ここに掲げた8つの転換政策は、すでに、80年代後半から90年代にかけてスウェーデンが実行していることですが、「環境に関する16の政策目標」が設定されたことにより、それらの政策が明確化し、いっそう具体化されています。
日本でも、このような類似の政策はそれなりに行われています。たとえば、不十分ではありますが、「家電リサイクル法」では、「製造者責任」が追求されていると言われています。しかし、いずれにしても、日本は「持続的な経済成長(経済の持続的拡大)」がすべての国家目標の前提となっているために、スウェーデンの判断基準で検証すれば、十分な対応がなされていないのが現状だと思います。
それでは、明日から「緑の福祉国家」の実現に向けて策定された「環境の質に関する16の政策目標」を達成するための「8つの主な転換政策」を一つずつ検証していくことにしょう。
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