飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

どんな形の飛行機でも飛ぶんです! その15

2017-06-07 18:37:19 | 自作飛行機(homebuild airplane )
皆さんは、「だれが一番最初に飛行機で飛んだか?」と、質問されたら、おそらく「ライト兄弟」と答えるでしょう。

実は、まったく同じ質問をフランス人にすると、なんと、ほぼ全員が「クレマンアデール」と答えるのです!

クレマンアデールは、ライト兄弟が飛ぶよりも10年ほども前(どれが初飛行にあたるかはっきりしない)に飛んだという記録もあるのですが…。正直はっきりしないのです…。

しかし、フランス人はみんな、最初に飛行機で飛んだのはクレマンアデールと信じて疑いません。

それでは、そのクレマンアデールとはどういう人物だったのか。また、彼が作った飛行機が本当に飛んだのか…。今回はその辺を考えてみたいと思います。


クレマンアデールは電気、機械に精通した技術者でした。

いろいろな装置を作っているようですが、調べてみると、離れた場所でオペラの音声を聞くために、世界で初めてステレオでの有線放送などを発明しているようです。

彼は空を飛ぶことも研究し、何機かの飛行機を作っています。

その中でも、空を飛んだのではないか?と言われているのが下のアヴィオン Ⅲです。



コウモリのような機体には、30馬力の蒸気機関が2基積まれていたそうです。

さて、これが本当に空を飛んだのか…。

まず、エンジンの出力は30馬力が2基で合計60馬力。

パワーは十分といえます。

普通のガソリンエンジンではなく、「蒸気機関」ですが、おそらく、アルコールを燃料としたパワーウエイトレシオの小さい、高性能型だったと思います。

皆さんは蒸気機関というと、蒸気機関車を思い出し、石炭を焚きながら蒸気を出して走る、重々しいものを連想するかの知れませんが、19世紀終わりくらいには、アルコールを燃料とする軽量、高性能蒸気機関が登場しています。

クレマンアデールの使った蒸気機関はかなり軽量だったようで、パワーウエイトレシオはガソリンエンジンに匹敵程のものだったようです。

つまり、このアヴィオンⅢも軽量に仕上がっていたことが考えられ、ますますその飛行に信憑性が出てくるのですが…。

実は、私の意見なのですが、このアヴィオンⅢは致命的な欠陥があります。

それは…。

ピッチの安定が保てないのです!

以前、私は飛行機のピッチの安定を保つためには、主翼と尾翼の取り付け角に



上記の関係が無ければいけない!っと、ご説明しました。

で、クレマンアデールのアヴィオンⅢを見てみると、そのような翼の角度の関係が確認できないのです…。

つまり、申し訳ないのですが、クレマンアデールのアヴィオンⅢは、ピッチの安定を保ったままの連続的な飛行は不可能だったと思います。

ただ、何人かの目撃者の方がいるようなのですが、一瞬のジャンプ飛行に限ってはあり得ると思います。


最初に飛行機で空を飛んだのは一体だれか?

この答えは、空を飛ぶということの定義で変わってしまうと私は思います。

ただ空を飛んだだけならば、クレマンアデールと言っても良いかもしれません。

しかし、空を飛ぶことの定義を、

安定した連続的な飛行で、尚且つ、ピッチ、ロール、ヨーの3軸の制御が出来ている飛行というのであれば、ライト兄弟になると思います。










コメント
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