飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

男のセーフティーノーツ その3

2008-11-28 19:35:09 | ハング(hangglider)

翼の中にある、リブ。これは片面は縫製されていますが、もう一方はファスナーによって取り付けられています。

皆さん! このファスナーがちゃんと全て正常にとめられているかチェックしていますか?

これがはずれると、実はダイブに入りやすくなるのです。知っていました?

翼内のリブの目的は、下面のアンダーサーフェースが飛行中に生じた負圧により、下にふくらむことを防止するものです。

前回でも述べましたが、下面がふくらむとメインセールが引き寄せられ、ネジり下げがなくなり、ダイブに入ってしまいます。リブはこの危険な現象を防止しているものなのです。

ですから、リブを止めているファスナーが開いていると、まったくリブとしての働きができないため、とても危険なことになってしまうのです。

更に悪いことに、このファスナーは、ちょっとしたきっかけで簡単にはずれてしまいます。

ファスナーですから、日頃の取扱いの中で、知らないうちに一箇所何かに引っ掛けてはずれてしまうと、ちょっと引張ればスーっと簡単に全部はずれてしまいます。

私も長くグライダーのオーバーホールをやっていますが、結構このファスナーが開いたままの機体を目にする事があります。

キングポストレスグライダーが登場して10年以上。いくつかの技術革新を経て、リブを多くつけることにより下面のふくらみを押さえてピッチの安定性を向上させ、その分ネジリ下げを少なくして現在のハンググライダーは飛躍的な性能向上を見ることができました。

しかし、このリブがはずれていると、一気にピッチ安定が無くなってしまう事を、十分に理解して下さい。

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男のセーフティーノーツ その2

2008-11-25 20:57:56 | ハング(hangglider)

グライダーの翼の下面、真ん中にあるセンターファスナー。

これが閉め忘れていたら、何が起こるか皆さんは知っていますか?

実は何度か飛行中に、私は実際に実験したのですが、ファスナーを開き始めたとたん、ノーズを下げて速度が速くなり始めるのです。

これは何故でしょうか?

センターファスナーが飛行中開いていると、そこから大量の空気が翼の中に入ってきます。

この結果、ハンググライダーはパラグライダーと同じ様に翼内の圧力が増し、最も剛性の弱い下面がふくらみます。この下面の膨らみの結果、上部のメインセールが下に引き寄せられてしまい、ウォッシュアウト、つまり、ネジりさげがなくなる動きが出てきます。

こうなるとどういうことになるでしょう。

ネジりさげがなくなるのですから、グライダーは増速します。

グライダーの増速は、更なる翼内への空気の流入へとつながり、更にネジリ下げは減少。つまりインフレーションを起こし、グライダーは一瞬の内にダイブへと入る可能性があるのです。

怖いのはこれだけではありません。

仮にこのインフレーションが途中で運良く止まり、そのまま飛行が可能であったとしても、その状態で、もし、旋回に入ってしまうと、空気にも慣性力は働きますから、翼内の空気はまるでカップのコーヒーをかき混ぜているように、外側に移動し、外側の翼内の圧力を上げます。

この結果、外側のネジリさげだけが著しくなくなり、バンクが戻らずにそのままスパイラル降下に入ってしまうことが、理論的には十分に起こり得ます。

安易に開閉できるセンターファスナー。しかし、これの閉め忘れは意外なほど怖いものなのです。

これからは、皆さんがハングで飛ぶ前は、このセンターファスナーがちゃんとしまっているか、しっかりチェックするようにしてください。

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男のセーフティーノーツ その1

2008-11-20 19:46:00 | ハング(hangglider)

しばらく、ハング以外の方向にいってしまいましたが、今回から再び戻ります。

さて、男のセーフティーノーツその1はハングチェックに関して。

皆さんはハングチェックはもちろんしていますよね。

テイクオフ前は、誰かに手伝ってもらってハングチェックすることはもはや常識。基本中の基本です。

しかし、このハングチェックもやり方を間違えてしまっては何にもなりません。

ハングチェックはただぶら下がるだけでなく、ちゃんとやり方があるのです。

まずハングチェックは、本人とそれをサポートするもの必ず二人でやることが基本です。

なぜならば、本人が気づかなかったミスをサポートの人に見つけてもらう目的があるからです。

ですから、サポートをしている人は、必ず声をだし、「カラビナ、ロックOK! ライン絡まりなし!」とチェックして下さい。

本人がぶら下がっているから大丈夫!などと絶対に安心しないで下さい。

私の知人だけでも、スプレッターバーにカラビナをかける、スイングラインに巻いたビニールテープにカラビナをかける。などで二人も命を落としています。

サポートする人は、しっかりカラビナの状態を確認しなければ、意味がありません。

そして、チェックを受ける本人も、ぶら下がりながら必ずレッグストラップのかけ忘れがないか、触って確認することが必要です。

ハングチェックだけでは、レッグストラップのかけ忘れをチェックできないからです。

ハングチェックで大事なことは、とにかくお互いに声を出してチェックしていくこと。

これを習慣化してしまえば、フックアウトという基本的、且つ、重大なミスを大幅に少なくすることができるはずです。

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雪迎えの撮影に成功 

2008-11-14 20:02:34 | ロマン飛行(romance of flying )

「081113.jpg」をダウンロード 実は昨日11月13日、私は山形まで「雪迎え」を見に行ってきました。

雪迎えとは、小さなクモがいっせいに飛び立つ現象で、日本では山形県南陽市を中心にしておこるものだけと言われています。

山形県南陽市。そう、皆さんが良く知っている十分一エリアです。

雪迎えは、十分一エリアの白竜湖を中心にごくまれに起こります。実は私はこの6~7年、この雪迎えを毎年追っかけていました。

私が「雪迎え」を追っかけ始めた理由は、一冊の本との出会いからです。

その本は錦三郎著、「空を飛ぶクモ」という本です。

私はこの本を読み、たちまち「雪迎え」の虜になり、毎年ひたすらこの季節になると天気図とにらめっこしていました。

その会あって、とうとう昨日、雪迎えを目撃できました。その写真を添付します。

雪迎えがあった場所は、南陽市ではなく、実は米沢の近く小野川温泉。この温泉の川上側1キロくらいの区間にだけ、2時~3時くらいにかけ発生しました。

実際はもっと多くのクモの糸が見えていましたが、いかんせん、通常のデジカメではそれを映し出せず、くやしい限りです。

学術的にも貴重なものと思います。

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星の王子様 その8

2008-11-14 19:35:05 | ロマン飛行(romance of flying )

「かんじんなことは目に見えない」

まったくその通りなのであるが、しかし、そのことが理解できていない人が今の世の中多すぎると思う。

人を愛する気持ち、夢を持つことなど、目に見えていないことは、実は、生きる原動力と言ってよい。

これがあるからこそ、人は頑張れ、明日を夢見て生きていける。

愛する人がいるからこそ、その人にために頑張る事ができ、夢を持っているからこそ、今を頑張る事ができるのである。

実は、かんじんなことは目に見えていないことの方なのである。

まだ、ピンと来ない方は、分かりやすいようにお金を例にして、このような言い方も出来る。

いま、目の前に1000万円あるとする。このお金を大金と思うだろうか?それともたいした金額ではないと考えるだろうか?

1000万円に頼り、仕事をしなくなってしまった場合、おそらく節約しても3~4年でこのお金を使ってしまうであろう。計算してみれば分かることである。

しかし、自分に守るものがある、つまり愛を持っていたり、また、かなえたい夢がある場合、人はその目的に向かって、一生頑張る事ができる。つまり、一生人のために働き、結果、生活に困ることがなくなるのである。

さて、このとき、この人はいったい一生の間にいくらのお金を稼ぐだろうか?

例としてお金で説明したが、人を癒してくれる愛、元気をくれる夢や希望と言ったものは、その人にとって何にも勝るエネルギーとなり、明日への活力となってくれるはずである。

このことが一番大事なのである。

おそらく、サンテックはレオンに自分の妻コンスエロのことについて悩みを打ち明けていたのだろう。

そんなサンテックに対し、レオンはいろいろと親身になってこたえてあげ、その中でサンテックは「かんじんなことは目に見えない」と悟ったのだろう。

そして、その思いをレオンにどうしても伝えたかったため、「星の王子様」を書いたに違いないとわたしは考えている。

この童話ははっきり言ってかなり手強い。

うわべに目をとらわれず、自分の心を純粋にして、自分を高めてから読まないとなかなか理解できない童話である。

更に、このときの歴史背景も加わってくるからなおさらである。

もしあなたの本棚の片隅にこの本があったら、もう一度読み返して欲しい。

また、違った解釈が生まれていたら、嬉しい限りである。

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