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Scientific Boxing

国内、海外のボクシング界の状況や試合の観戦記などを絶対的主観で書き綴るブログ

観戦記~アンヘル・アヤラ vs 矢吹正道~

2025年03月30日 | BOXING
IBFフライ級タイトルマッチ
王者:アンヘル・アヤラ vs 挑戦者:矢吹正道
結果:矢吹12RTKO勝ち

■分析~アヤラの場合~
ホセ・アントニオ・アギーレ、ジョン・マイケル・ジョンソンのような細身の好戦的パンチャー。
そのスタイルからディフェンスにおける粗さは予想されたが
ジャブを上下に打ち込まれ、相手のクイックステップ、ピボットについて行けず、高速クロスレンジでのガード位置など
粗さというより現代ボクシングに対応できてない。
鼻血も止められず傷を直接タオルで拭ったり、セコンドやトレーナーなどは25年前の感覚なのでは。
何度もスイッチしていたのは苦し紛れのように見えた。

■分析~矢吹の場合~
配信記事などで試合後のコメントは
『切ってからずっと視界が見えなくて』
『弱気になった部分があったので俺弱えなと』
『効いてるそぶりも見せずに打ち合ってきたな』
『ジャブが当たらなかった、簡単に打たせてくれなかった』

管理人が見た印象では
カットは目の下で中盤は奇跡的に止まっていたし。
自信もって戦っていた。
スイッチしたり慌てているようだった。
ジャブはスピードあり上下に散らしていた。

観戦の印象と試合中の当人の気持ちの違いが興味深い。

●PS
弟の人差し指のお芸に管理人もヘラっと。
喋りながらでなく、スバッと上げて佇むような芸風のほうがよいな。
今後もどこかでやってほしい。
あのメロディも流して。
コメント

Classic~ジョージ・フォアマン vs ジョー・フレージャー~

2025年03月23日 | BOXING
1973年1月22日
世界ヘビー級タイトルマッチ
王者;ジョー・フレージャー vs 挑戦者:ジョージ・フォアマン
結果:フォアマン2RKO勝ち

■分析~フォアマンの場合~
トレーニングの映像は意外と少ないがサンドバッグに右フックを連続で打ち込むものは
バックが ” く ” の字に曲がり、 まるでバッグを破壊するために行われているようだ。
それはパフォーマンスなのか、実際のトレーニングなのか。
試合でもフックをブン回し、一点にパワーを集中させるものではなく、軌道のどこで当たっても効かせるパンチ。
テレフォンで距離感もディフェンスもあったものではない。
何故あたるのだ?
それは当時まで残るヘビー級シーンでの強者イズムの風習によるものだろう。
アリはスピード、リズム、フットワークで革命を起こした。
そして80年代はコンビネーションが台頭した。

ボクシングシーンに多大な印象を残した偉大なボクサーだった。

■分析~フレージャーの場合~
左フック、ボビング、アリのライバル、スモーキン、その言葉だけでこの名が浮かぶ。
Firstnameも日本人が大好きなジョー。
エネルギッシュな上下動からの左フックは効果的に打ち込む伏線として理に適っている。
小柄な体と自身の体の特性を踏まえてこのスタイルを構築したのだろう。
しかし本当に左フックだけ。
右パンチの印象が何もない。
試合中、左拳痛めた場合の第2手は持っていたのだろうか。
結局その手は見られなかったと言うことは左拳は岩石級の耐性だったのか。
タイソンも同様だったがパワーパンチで押し返されると利点を発揮できない。

試合場所はジャマイカはキングストン
フォアマン 37戦全勝(34KO)
フレージャー29戦全勝(25KO)
共に希少価値のオリンピック金メダリスト

信じられないようなビッグイベントだった。

●PS
ボクシングはやはり進化しているか。
コメント

Classic~ナナ・コナドゥ vs アブラハム・トーレス~

2025年03月23日 | BOXING
1998年2月21日
WBAバンタム級タイトルマッチ
王者;ナナ・コナドゥ vs 挑戦者:アブラハム・トーレス
結果:コナドゥ2RTKO勝ち

■分析~コナドゥの場合~
Wジャブからの強烈な右。
それだけで世界をKOした。
前に出ながらのWジャブは2発目に威力がつき、体に勢いがついているので続く右はウェイトが乗る。
速筋の塊のような体躯によりWジャブは踏み込み、ステップイン、ハンドスピードとどれもあり、そのうえ肩が入っているので重く強い。
続く右の繋ぎのクイックでナチュラルで体の捻りが利いているのでハード&ソリッドパンチ。
KOシーンの1発目の右はハンマーを打ち付けるようで
2発目は右を打ち込む位置への瞬間的なシフトウェイトは動物的勘のようで相手のアゴを刈るようなフック。
まさにガーナの超特急。

ボクシングは進化していると言われるが本当か?
堤、拓真、西田、那須川、中谷、どれをしてもこれに勝てるのか?

■分析~トーレスの場合~
両足の爪先立ちから額まで全身を胸元あたり1点に絞り込んだようなフォーム。
解説者が 「 体が開いている開いてない 」 と言うのはこの事だ。(トーレスは当然後者)
サイドステップしながらの ” ノーモーションの左ジャブ ”
現代でこそこのフレーズは誰もが理解して使われるようになったが90年代初頭まではなかった。
vs辰吉から知られた。
テイクダウンはまさにノーモーションからの左ジャブのカウンターで芸術のようだ。
ノックダウン後のカウント中、両膝をキャンバスにつきながら両手を開いて何か訴える表情はボクシングシーンに印象を残した。
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Classic~チャコフ・ユーリのデビュー戦~

2025年03月15日 | BOXING
1990年2月1日
ジュニア・バンタム級6回戦
チャコフ・ユーリ vs アラン田中
結果:ユーリ3RTKO勝ち

■分析~ユーリの場合~
ソ連
ペレストロイカ
その風貌から
まるで地球外の惑星から来た生命体の様相。
1発目の右ストレートで宇宙に飛んだ。
2発目の右ストレートで銀河に飛んだ。
3発目の右ストレートでブラックホールに落ちた。
右カウンターの鋭さ、タイミングはいったい何なのか。
眉間にセンサーが付いていて相手が射程位置に入った時、コンマゼロ何秒以内に右が放たれるシーケンスが作動しているようだ。
前足のつま先にもセンサーがあり相手の距離に応じてステップバック、右カウンターを的確にヒットさせる距離が自動計測されるようだ。
右肘のジョイントは全方向へのアングル可能で伸縮自在であるかのようだ。

これが35年前のボクシング?
ボクシングは進化していると言われるが本当か?
寺地、阿久井、京口、坪井、フライ級時の中谷、どれをしてもこれに勝てるのか?
35年先のボクシングを見るような錯覚に陥る。
コメント

観戦記~寺地拳四朗 vs ユーリ阿久井政悟~

2025年03月15日 | BOXING
WBA・WBCフライ級タイトルマッチ
WBC王者:寺地拳四朗 vs WBA王者:ユーリ阿久井政悟
結果:寺地12RTKO勝ち

■分析~寺地の場合~
広いスタンスで前後左右に動けるのは膝下の筋力(脹脛、アキレス腱、爪先等)にある。
3年前あたり防衛戦から脹脛の筋肉が目立つようになった。
動いた位置で角度を付けてジャブを打ち込む。
それを12R通して出来るのは持続筋のスタミナ。
意外に相手の右を多く食った。
相対すると左ガードに隙がある。
スナッピーなジャブはガードが下がるから。
劣勢から一気に攻勢を取れる能力はvsオラスクアガ、vs京口で培ったキャリアにもよるだろう。

■分析~阿久井の場合~
上体で角度を付けてジャブを打ち込む。
右ストレートはオンガードからナチュラルに放たれる。
まさにユーリだ。
右にパンチングパワーがあるからプレッシャーをかけられる。
まさにユーリだ。
髪型、切れ長の眼光、鼻筋。
まさにユーリだ。

序盤は左アッパーなど混ぜたコンビを放っていたが
11Rあたりからダメージなのかスタミナなのかワンツーだけとなった。
均衡した試合の終盤の戦い方にキャリアの差がでたか。
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観戦記~アンソニー・オラスクアガ vs 京口紘人~

2025年03月15日 | BOXING
WBOフライ級タイトルマッチ
王者:アンソニー・オラスクアガ vs 挑戦者:京口紘人
結果:オラスクアガ判定勝ち

■分析~オラスクアガの場合~
強者感を全面に出したストロングスタイルは頗るカッコよいが
余裕だしている瞬間は
相手が技巧派ならばパシパシ打たれたり
強打者ならばダメージングブロー受けたり
危険が伴う。
それでもガードの上からなぎ倒すような右フックはそれだけで十分て感じ。

ファミリーネームのカタカナ6文字はどれがどこなのか時々判らなくなる。
日本を主戦場にするなら日本人に馴染みやすいリングネームにした方がよいのでは。
アンソニー・オスカー
アンス・オラーガ
アンソニー浜田
とか。

■分析~京口の場合~
両ガードを顔の横に置いたままスリップ、ダック、ウィービングするのが特徴的。
直後にパンチが多彩でなくなるが顔面にヒットさせないのはよい。
足を固定して上体を前に出してジャブを打つのは古 ( いにしえ ) のブロー。
かつて輪島氏が 「 俺はリーチ短く胴が長いからこの打ち方は当たる 」 とか
ズッコケるような話だが京口のそれを見ると効果を感じさせる。
前半の動きはキレキレだった。
相手の左ボディフックを体の半回転して空振りさせる。
相手が余裕出している瞬間に思い切って打ち込む。
どれも事前の相手の研究とそれに対する対応練習の成果。
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観戦記~坪井智也のデビュー戦~

2025年03月15日 | BOXING
スーパーフライ級8回戦
坪井智也 vs ブーンルエン・ファヨン
結果:坪井2RTKO勝ち

■分析~坪井の場合~
静岡県のボクシングレベルはかなり低い。
出身者で世界挑戦したのは5人もいないだろう。
挑戦者はどれも技術レベルでの惨敗。
理由はジムの環境と指導者の質。
管理人は2人だけ優秀な指導者を知っているが、おそらく坪井はその1人に指導を受けたことがあるようだ。

如何にもなアマスタイル。
詰めて連打、間をおき、詰めてコンビ、間をおく。
右ボディパンチがフックであることが特徴的。
詰めた時、頭は至近距離にあるが連打が頗る速いので相手は守るか食うかのみ。
相手に事前研究され易いスタイルではある。

■分析~ブーンルエンの場合~
KOシーンは一瞬宙に浮いてから大の字とは助演男優賞ものだ。
タイは経済発展著しいが現代もこのようなボクサーはいるのか。

●PS
村田氏はプロテストで元日本王者をボコボコにし、デビュー戦で元東洋王者を圧倒的KO。
いかに驚愕であったかを改めて知る。
コメント

観戦記~那須川天心 vs ジェイソン・モロニー~

2025年03月01日 | BOXING
バンタム級10回戦
那須川天心 vs vs ジェイソン・モロニー
結果:那須川判定勝ち

■分析~那須川の場合~
このカッコつけたボクシングをこの相手にこの展開で10R貫けるのは感心する。
攻防の高いスキルがベースにあり、イメージング豊かで、高い心肺および循環機能。
そして強固なナルシシズム。
ジムで練習してるとカッコつけてばかりいる奴は必ずいるのだわ。
見学者   「 あの人カッケー 」
トレーナー 「 お前何やってんだ 」
他のボクサー「 あいつバッカじゃねーの 」

管理人もそんなボクサーだったな。


■分析~モロニーの場合~
サウスポー苦手なボクサーと言ったら?
ジュリアン・ジャクソンですね。(残念すぎた)
意外にホリフィールドも。

突然の右、いいですね~。
6Rのシルエットは左右逆ではあるが、ダニエル・サラゴサvs辰吉Ⅰの1Rをデジャブに見るようだった。

■PS
判定結果については様々な見解があるようだがどれも的を得ている。
どうにも見て取れる試合だった。
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観戦記~中谷潤人 vs ダビド・クエジャル~

2025年02月25日 | BOXING
WBCバンタム級タイトルマッチ
王者:中谷潤人 vs 挑戦者:ダビド・クエジャル
結果:中谷3RKO勝ち

■分析~中谷の場合~
ボクシングファンはへナロを形容に出すようだがスタイル全然違うよ。
共通点は痩せぎすの体型とルディとの関わりだけ。

最初のテイクダウンの追いながらのボディストレートは最良なヒットポイントを作るシフトウェイトが素晴らしい。
一流選手でさえイケイケでパンチだけ先行しがちになるが
瞬間的に腰を落としてグ~とシフトウェイトし後ろ足の蹴りを活かして打ち込んだ。
2回目のテイクダウン前も適切な位置取りをした上で有効なパンチを打ち込む。
体幹をブレずに常に態勢とれる能力はボクシングのみならず他の競技、
例えば卓球やバドミントンでも世界王者になれる。

■分析~クエジャルの場合~
戦前は強者感あったが1R1分もすると弱者感。
踏み込んで打ち込む時、上体と顔が前にでてガードもスカスカ。
このボクシングでどうやってこの戦績築いたのか。
顔はハンサムだね。
周囲はスターにすべく意図したが実力を見てとれなかった。
日本でも多くの事例があるよね。
コメント

観戦記~井上尚弥 vs キム・イジョン~

2025年01月25日 | BOXING
WBA・WBC・IBF・WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ
王者:井上尚弥 vs 挑戦者:キム・イジョン
結果:井上4RKO勝ち

■分析~井上の場合~
オーソがサウスを攻略する戦法は意外に80年代と変わらないのだな。
2R2:00 ロングレンジから体を完全半身にし、内側にシフトしながら足から拳まで筋力をビンビンに利かせたジャブ。
2R2:15 ミドルレンジで見合った状態から右ストをポンポンとダブルで打つ。
トレーナーが 「 サウスはこう構えてこう動くからこのパンチが当たる 」 と身振り手振りで指導するのが目に浮かぶ。

■分析~キムの場合~
日本選手7人斬りてのも何気に凄いな。
柳斎斗の22人は驚異的、張正九、柳明佑も10人くらいか。
逆は何人が最多なのか。

サウスはコーナーから逃れる時、右に移動するのは80年代と変わらない。
構えの相対から見て当然だが。
「 来い来い 」 のジェスチュアが挑発と揶揄されているが単にカウンター打ちたかったのだろう。
戦いぷりも負けぷりも勇者だった。
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