あお!ひー

叫べ!いななけ!そして泣け!雑多なことを書いてみる。

山下裕二先生講演会「日本画家たちにとっての歴史観」@山種美術館

2011-01-15 23:09:55 | アート系

ついに山下裕二先生の講演会を拝聴することが出来ました!

現在開催中の「歴史を描く ―松園・古径・靫彦・青邨―」についての講演会。

実は山下先生の講演会は今回が初だったのです。うれしー!

山下先生とは熟女クラブ~日本美術を生で見る会(無人島プロダクション)で初めてお会いして、その次はSNACグランドオープン!(無人島プロダクション+吾妻橋ダンスクロッシング)
で。そして、前回は昨年の5月のあおひー 個展「すくいとる」 に恐れ多くもご来場いただきました。

そして、ついに今回の講演会です。待ちに待ったって感じですね~。

スタート前に山下先生を発見!お引止めしてあおひー名刺をお渡ししました。

定刻17:15きっかりに講演会がスタート!

山下先生が最初に取り上げたのは聞きなじみのない言葉でした。

「蔵が深い」

???

これはどういうことかというと、山下先生は山種美術館の顧問に就任される以前からずっと見ているはずなのに、未だに見たこともない作品に出会ってびっくりしたと。

文字どおり、蔵が深くてまだまだ未見の作品がいっぱいって意味だったのです。

山種美術館は近代日本画についての蔵の深さは日本の美術館で随一だろうとのこと。

まさか、先生でもそんなに見たことのない作品があるなんて。

以下、作品ごとに。

・「大和武尊像」橋本雅邦

元は狩野派で江戸時代は公務員だった雅邦が明治になってからは東京美術学校(現:東京藝術大学)の教授となったわけです。

明治になって初めて、西洋画に対して日本画という概念が確立するわけですが、この雅邦の「大和武尊像」を見ると判りますが日本画というのは和+漢の絵画なのだと。

大和武尊は和で描かれているのに、背景の松は漢で描かれている。

モノクロと彩色の調和。

うーむ、そうだったのか~。


・「瘤取之巻」速水御舟(※後半1/28~2/17で展示)

なんと御舟17歳の時の作品だそう。

面白かったのは過去の絵巻からの引用を比較すると一目瞭然!

これを見に後期も行かねば!


・「山科の宿 雨宿り」松岡映丘

今回、山下先生の一押し!!

これは実物を見ておったまげました。

巻物だというのに本当にでっかい!通常の巻物のほぼ倍くらいの太さがあるのです。

これは見ごたえありました。

そして、映丘の話は思わぬ方向へ。

ちょうど記者発表の日に映丘の雨宿りを見て意気揚々となった山下先生は16時からの記者発表で映丘について厚く語ろうと思ったそうです。

そして、その16時1分に驚くべきメールが入ったのだそう。

先生の教え子で佐倉市美術館の学芸員の本橋さんからだったそう。

なんでも7月から展示がスタートする平田郷陽という人形作家について調べていたところ、映丘が郷陽に依頼して作らせた自身の生き人形の写真が発見されたとのこと!

山下先生は以前に映丘の展示意をやられていたのでご遺族の連絡先をご存知ありませんかというメールだったそうなのです。

山下先生いわく、「映丘に呼ばれている」なと。

この人形、アクションフィギュアみたくちゃんと可動式でポーズがとれる構造で写真ではあぐらも組めてました。

是非とも、実物が発見されますよーに!

ちなみに映丘は民族学者・柳田國男の弟だったそう。ほえー、初めて知りました!


・「宇治川競走」森村宜稲

なんと、山下先生も今回初めて見たとのこと。

これは相当にいい!

金地に描かれた水墨なのだけども、でかい余白のバランスが秀逸。

さらに驚くべきは波の描写。

墨で描かれた黒の線はもちろんなのですが、青い線が乗ってる!!

金地に青い波。これはちょっと他に見たことがありません。

ちょっとこれは興奮しましたね。


・「那須宗隆射扇図」小堀鞆音

今回のチラシやポスタービジュアルになっている絵。

「歴史を描く ―松園・古径・靫彦・青邨―」というタイトルだっていうのにこのビジュアル。

でも、ばっちりですよ、この絵。よくぞ選んだなあと。

で、ここからびっくりな展開。

この描写は何かっていうと、、、、なんと講談社の絵本の桃太郎の表紙の絵!

まさか、こんな引用を持ってくるとは。

さらに少年マガジンの横尾忠則デザインの桃太郎。

この表紙を山下先生はリアルタイムで見てものすごく影響を受けたそうです。

すごいなー、こういう展開をみせるとは思いもよらず。


そしてスライドを用いての講演の後は会場でのギャラリートーク。

実はほとんど語らなかった上村松園のみで構成された2室の展示はかなり素敵でした。

あと、後半は大河ドラマの影響ってのも面白かったです。

そうなんですよね、そういうのでイメージが作られるってのはありますよね~

ということで大満足の内容でした。

山下先生、お疲れ様でした!


「歴史を描く ―松園・古径・靫彦・青邨―」
1/8(土)~2/17(木)
前期展示:1/8~1/27
後期展示:1/28~2/17

次回のボストン美術館 浮世絵名品展も必見です!

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2 コメント

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早いですね!(笑) (noel)
2011-01-17 21:03:27
素早い&詳しいレポート、素晴らしいです~~私はいつになるやら?!
ほんと楽しい雰囲気でしたね。映丘のエピソードも面白かったし作品も見応えありました♪
2位入選もおめでとうございました!ソロ展楽しみです!!
いえいえ (あおひー)
2011-01-18 22:05:22
こういう記事を早く書けたのは兎にも角にも楽しかったからです。

また、山下先生の講演会には伺いたいものですね。映丘は絶対に来ますね!

>2位入選もおめでとうございました!ソロ展楽しみです!!
ありがとうございます。初の受賞で素直に嬉しかったです。
個展もお楽しみに!

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