仕事を定時で終えた金曜日。
こういう時にはやっぱり美術館です。
というわけで「アンドリュー・ワイエス-創造への道程」に行ってきました。
いや~、よかったです。
ハンマースホイといい今年は名前すら知らなかった実力派画家の作品に強く惹かれました。
冒頭のチラシの画像のは「火打ち石」。
もちろん本物の火打ち石ではなくって、でっかい石がそれっぽく見えたのでこういうタイトルになったそう。
習作ではカモメがいるのですが、本番ではカモメという生物が居なくなっています。
この石にかかる鳥のフンがかろうじてその存在を伺わせています。
荒涼とした景色なのに見とれてしまいました。
「幻影」
幻影である人物の輪郭の白く浮かび上がる様が美しい。
部屋の白い壁の破れてる感じが嫌みではなく趣きのあるものとして感じられるのです。
テンペラの作品は丁寧に描かれたのが多いなあと思いました。
「松ぼっくり男爵」
これもそうですが総じてタイトルの付け方が上手いなあと思います。
低い位置から捉えた松の居並ぶ様が迫力です。
その手前にヘルメットいっぱいの松ぼっくり。
ワイエスに墨で松を描いてもらったらどんな風になるんでしょうね~。
「ガニング・ロックス」
この横顔、深みがあります。
あと、ワイエスはこういった暗いトーンの背景がいいなあと思いました。
なんていうんでしょうね、単一の色でないことでいろいろな想像の余地を深めてくれるような感じなのです。
こういうところはちょっと靉光に通じてるような気がしました。
「三日月」
なんだかアメリカではなく日本の景色みたい。
クリスマスツリー越しの三日月。
なんとなく禅な佇まいを感じました。
今回、習作が多かったのですが、見応えのあるものが多かったように思います。
習作といいつつもほぼ完成と同じクオリティのものもちらほら。
会期が残り少ないですが行って損はないと思います。
「松ぼっくり男爵」の
制作までのいきさつ試行錯誤が
とっても見ごたえありました。
複数の習作と完成した作品をみることで、ワイエスが何を落とし、何を残したのかが分かって面白かったです。
「オルソン家の終焉」での試行錯誤の経緯も、気持ちが揺れました。
経緯がわかる今回の展示は、作品製作をする人にとって宝ものですね。
今回のはほんと習作が見られたのがよかったです。習作によってはもはやこれは完成品ていうのまであるのが驚きました。
>経緯がわかる今回の展示は、作品製作をする人にとって宝ものですね。
ほんと、最近はそういうことが気にかかります。