今日明日の2日間だけ公開となる、村上隆『黒田清輝へのオマージュ。「智・感・情」』に行ってきました。
会場はご存知、カイカイキキギャラリー。
↑のような案内が会場の入り口に。
1899 2010という表記。
これは「智・感・情」が描かれた1899年。
それに今回の作品が描かれた2010年。
黒田清輝「智・感・情」。
これは以前に見た展覧会で購入した絵葉書。
女性の裸体、3点。右「智」、中「感」、左「情」。
「智」は理想、「感」は印象、「情」は写実と言われています。
この「智・感・情」を現代の3人の絵師に描かせたのが今回の展示。
詳細はこちら↓
カイカイキキギャラリー告知ページ
http://gallery-kaikaikiki.com/category/urgent-notice/
ということでこのチャンスに見ておかなくては後悔することになるなあと。
KEI、大槍葦人、Tonyの3人プラス、カイカイキキ工房の描いた3種9枚の「智・感・情」。
それにカイカイキキ工房によるカイカイキキ工房の「智・感・情」の模写。
KEIの「智・感・情」はプラチナ箔と金箔による市松バック。
とにかく目が大きい。髪の色に顕著なのは虹のようなカラフルがいやらしくないくらいな感じで潜んでる。
で、よおく見てみるとボディのアウトラインがオリジナルの赤と異なり、このさりげなく虹色になっているのがわかる。
大槍葦人「智・感・情」はプラチナ箔がバック。
これ、女性器の形が一番露わになっているもののまるで欲情と切り離されてしまっている。
関節のつけね、つまり脇と又から四肢へと伸びるラインのふくらみさ加減のバランスが妙なのです。
だからどことなく実際の人と違ういびつさが目立つのです。
Tony「智・感・情」は金箔がバック。
こちらは以前に村上隆特集の美術手帖に画像が掲載されていたことももちろん原因なのだが、なんというか今回の3人の中では一番ベーシックなアニメ絵という感じ。
アニメのトレスのラインのようなボディのアウトライン。
セルの中の色に近い肌色。
そして、模写の「智・感・情」。
カイカイキキ工房、頑張りました。人数と工数で行った模写。
なるほど、現代においてこの工房スタイルを動かす力があるのが村上隆の、カイカイキキの強みですね。
このあと、これがとんでもないプロセスで作られていることを知ることになろうとは。
さて、今回いずれの作品もそうなのだけどもキャプションにおけるクレジットがすごいことに。
カイカイキキ工房のメンバーとパートが書かれていて相当な労力をかけられていることが判る。
さて、作品はこれだけではないのですが、他は制作過程のテストパターンが尋常ではありませんでした。
奥の畳の部屋にはたくさんのクリアファイル。
これ、必見です!
テストショット、指示書、引継ぎ書。
ここまでプロセスをさらしてしまっていいの?ってくらい。
でも、おそらくこれを知ったところで真似してビジネスベースで回転させていけるところは他にないだろうという自信に裏打ちされているのは間違いないだろう。
当時の技法の再現ということではなくいろいろと手法を複合させて実験を行うことで一番それらしく見えるものを採用して作品が完成されているのが見てとれる。
なかなかここまで見せてくれる展示はないのでは?
明日6/10(金)11:00~19:00。
お見逃しなきよう!!
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