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あみの3ブログ

百間堤@滋賀県大津市大物

ひゃっけんづつみ
大物の山手、四ツ子川が谷間を抜けた所に、直進する流れを南に流すよう石積の堤が築かれている。洪水ごとに何度も決壊した場所で、現在の石積は、嘉永5年(1852)の洪水後、6年近い歳月を費やして完成したと伝えられる。堤の上巾15m、長さ200mの堤。、、、大津市歴史博物館

四ツ子川の堤は、古くは天和元年(1681)頃から築造の記録があります。その後、江戸時代後期まで修復増築を重ね、石堤部分(約420m)と砂堤部分(約1200m)からなる巨大な堤でした。
 この堤は、江戸時代を通じて、豪雨の度に破損したため、領主(幕府や藩)と地元住民による労役によって何度も修復されました。特に嘉永5年(1852)7月22日(現在の9月6日)に起こった暴風雨を伴う山崩れの激流は、堤に甚大な損害をもたらし、大きな決壊が四カ所発生したという記録が残っています。この決壊により、家屋は流れ、田畑も荒れました。地元の住民は、領主である宮川藩(藩主・堀田正誠)に請願し、宮川藩の主導の下地元や近郷の労働力で大修復が行われ、工期5年8ヶ月をかけ、現在の姿の石堤「百間堤」が完成しました。その工事に関わった人は延べ10344人を数えます。この修復工事には女性も参加しており、女性が運べる石を用いたとされる「女堤」が百間堤の下流左岸部に作られています。
 「百間堤」は、現在に至るまで、約200年の間集落を守り続け、地域の生活用水と30町歩を潤す農業用水を供給する調整機能も有し、まさに防災だけでなく、地域に水の恵みをもたらす貴重な歴史遺産といえるでしょう。、、、現地案内板より

場所は滋賀県大津市大物(だいもつ)
国道161号志賀IC下車、湖西道路志賀バイパスの下をくぐり、平行する側道をを高島市方向に進み、大物集落方向へ左折します。四ツ子川の左岸(上流から下流に向かって)を山に向かう林道に入ります。ダートな林道をしばらく登ると左手に巨大な石積みが見えてきます。


四ツ子川
橋を渡って別荘地のような住宅街へ進むと「歓喜寺城・観喜寺山城」ヘ行く
ヤマップ3D
百間堤と歓喜寺城・観喜寺山城との位置関係





写真右側の林道から上流へ登っていく


林や砂の堤防の脇を抜けて進むと突然石積みが現れる





しばらくすると「百間堤」の現地案内板があります。


まるでお城の鏡石のような巨石


背後は北の方向にある、堂満岳でしょうか?



細い水路も石垣で区画されていました。








さらに四ツ子川を上流に遡ります


現代に築かれた砂防ダムも見えます






上流の堤防端は土と石が混ざった状態




日本各地に伝統的な水防対策があるそうで、百間堤もその一つです。
土を盛った堤であったり、松を植えて切り倒すことで水圧を減じたり、石積みの堤であったり。
急峻な山から流れ出た水が谷川を氾濫させるという、日本の地形の特徴ですね。

それにしてもお城の石垣にも匹敵するような本格的構造に感動しました。


【百間堤】
概要;長さ/百間(約180m)、幅/十間(約18m)、高さ/川面五間(約9m)
   大修復工事棟梁/若狭国石積み名人佐吉
   出役人夫賃/一日 男米一升、女米五合
   石積み工法/穴太積み
住所;滋賀県大津市大物(だいもつ)
地図;

コメント一覧

aminosan111
正直言って、こんな小さな藩にこれだけ大がかりな土木工事を成し遂げる財政力や技術があったとは、驚きでしか有りません。
しかし、地域住民の熱意と要望があったればこその、まさに希望の結晶だったんだなと思いました。

hakusiyuさん、ことしもよろしくおねがいします。
hakusiyu
百間堤、懐かしいです。
北国海道西近江路歩きの時に志賀駅の観光案内板で知って立ち寄りました。
素晴らしい遺構に感動し、石垣の上を跳ね回ってました。あまり知られてない埋もれた貴重な史跡です。長浜の小さな宮川藩の藩政にも感服。ま、年貢徴収のために土木はどうしても必要に迫られたのでしょう。

歓喜山城には後に改めて探索したが、こちらも見事な遺構が残ってました。

麓の集落付近にもシシ垣が張り巡らされていて獣と水害対策の両方を兼ねた石垣だと思いました

馬《●▲●》助ヒヒーン♪
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