山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

<二上山夢験-ふたかみやま-ゆめのあらわれ> -Ⅱ-

2019-02-10 16:29:39 | 文化・芸術

  ――語り・舞ひ・奏で――  折口信夫「死者の書」より

こう こう こう ――

耳面刀自。おれが見たのは、唯一眼 ―― 唯一度だ

だが、

お前のことを聞きわたった年月は、久しかった

おれに寄って来い、耳面刀自 ――

 

こう こう こう ――  こう こう こう ――

おれは、このおれは、何処に居るのだ

…… それから、ここは何処なのだ

其よりも第一、此おれは誰なのだ

其をすっかり、おれは忘れた ――

だが、待てよ。おれは覚えて居る

あの時だ。鴨が声を聞いたのだっけ ……

そうだ、訳語田の家を引き出されて、磐余の池に行った

堤の上には、遠捲きに人が一ぱい

あしこの萱原、そこの矮叢から、首がつき出て居た

皆が、大きな喚び声を、挙げて居たっけ

あの声は残らず、おれを愛しがって居る、

半泣きの喚き声だったのだ ――

其でもおれの心は、澄みきって居た

まるで、池の水だった

あれは、秋だったものな ――

はっきり聞いたのが、

水の上に浮いている鴨鳥の声だった

――  待てよ、其は何だか、

一眼惚れの女の哭き声だった気がする ――

おお、あれが耳面刀自だ ――――

 

-今月の購入本-2017年06月

◇高松宮宣仁「高松宮日記〈第1巻〉」 中央公論社

◇高松宮宣仁「高松宮日記〈第2巻〉」 中央公論社

◇元少年A「絶歌」太田出版

◇杉山正明.他「世界の歴史 <9> 大モンゴルの時代」 中央公論社

◇長谷川輝夫.他「世界の歴史 <17> ヨーロッパ近世の開花」 中央公論社

◇永田雄三.他「世界の歴史 <15> 成熟のイスラーム社会」 中央公論社

◇砺波 護.他「世界の歴史 <6> 隋唐帝国と古代朝鮮」中央公論社

◇大貫良夫.他「世界の歴史 <1> 人類の起原と古代オリエント」 中公文庫

◇桜井万里子.他「世界の歴史 <5> ギリシアとローマ」 中央公論社

◇佐藤彰一.他「世界の歴史 <10> 西ヨーロッパ世界の形成」 中央公論社

◇尾形 勇.他「世界の歴史 <2> 中華文明の誕生」中央公論社

◇山崎元一.他「世界の歴史 <3> 古代インドの文明と社会」中央公論社

◇小川英雄.他「世界の歴史 <4> オリエント世界の発展」中央公論社


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