ブラックフェイス手帳

中央線201系 最後の軌跡

ストラスブールのLRT ~第2回~

2010-02-11 | 路面電車・LRT
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 第2回 F線工事現場を歩く
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2-1.F線概要
 ストラスブールでは現在、6路線目となるF線が、2011年の開業を目指して建設工事が進められており、ストラスブール市内では、2009年2月から新規路面区間として下記の2区間で工事が実施されている

(1)Place de la Gare(SNCFのストラスブール駅前)からFaubourg de Saverneを経て
   B線・C線に接続する850m。
(2)C線・E線のObservatoireから分岐し、東に向かい、Vaubanに至る640m。


 さて、F線の最大の目玉は、トラムトレインが採用されることであり、市内区間を走行したトラムがストラスブール駅からSNCFに直通することとなることであろう。
 上記(1)の区間は、現在の路線とSNCFを接続する区間となる。

 F線は開業後、SNCF区間は、ストラスブールからEntzheim空港(ストラスブール空港)を経由し、Molsheimに至る。
 ここで二方面に分岐し、西方はGresswiller、南方はBarrまで運行される路線となる。

 一方、ストラスブール市内は、ストラスブール駅前からストラスブール中心部のHomme de Ferを経由し、Republiqueに至る。
 ここで二方面に分岐し、E線と同様La Robertsau Boecklinに至る路線と、ObservatoireまでC線・E線と共用し、上記(2)の新規区間のVaubanに至る路線となる。


 以下、それぞれの区間の工事状況を紹介する。


2-2.ストラスブール駅前からHomme de Ferまで
 こちらの区間は1月2日に歩いてみた。
 実際にはHomme de Ferからストラスブール駅に向かって歩いたが、ここでは、ストラスブール駅から順に紹介する。

 SNCFと接続するストラスブール駅前は、駅前広場の北東の片隅の目立たないところで工事が進められている。

 
△ストラスブール駅前広場


△これがPlace de la Gare電停か?

 将来のPlace de la Gare電停と思われるホーム形状のものが設置されていたが、相対式の頭端駅のような状況であった。
 SNCFと直通させるためには、奥の建物の壁を突き破ることとなるものと思われるが、どのようになるのか、これからのお楽しみである。

 すでにレールが敷設されているが、F線の工事区間の中でレールが敷設されているのはこの100mにも満たない区間のみである。


△Place de la Gare電停(?)からPresident Wilson通りへ

 駅前広場を出ると、北東方向に伸びるPresident Wilson通りの中央部で道路が掘り起こされており、中央走行方式が採用されるようである。


△President Wilson通り

 このあたりは、商業地や住宅地ではなく、オフィス街のようであるが、空室も目立ち、やや寂れた感じのするエリアである。


△President Wilson通り(ストラスブール駅方面を望む)


△工事の案内看板

 Faubourg de Saverne通りとの交差点で右折し、Faubourg de Saverne通りに入る。


△この交差点で右折

 現地で買った鉄道雑誌(Connaissance du RAIL, Dec2009-Jan2010)に掲載されているストラスブールのトラムの将来路線図には、「Faubourg de Saverne」という電停名が記載されているが、おそらくこの付近に電停が設置されるものと思われる。

 Faubourg de Saverne通りは、道路の片側(西側)で工事が行われており、これは軌道敷設前の準備工事なのか、軌道敷設工事なのかわからないが、後者とすると、片側集約方式が採用されるものと思われる。


△Faubourg de Saverne通り(ストラスブール駅方面を望む)

 F線は、地下区間を走行するA線・D線と交差し、イル川を渡る。
 ストラスブールでは初めてトラム同士の立体交差が生まれることとなる。


△Gare Centraleに向かうA線
 地上のトラムと交差している道路がF線が通るFaubourg de Saverne通り


△B線・C線合流部
 イル川の橋を渡るとB線・C線と合流する。
 Faubourg de Saverne通りがB線・C線のHomme de Ferに擦り付けられるような角度で交差しているので交差点の線形確保は比較的容易と思われる。


2-3.ObservatoireからVaubanまで
 こちらの区間は1月1日に歩いてみた。
 現在、C線・E線は、Republique電停からObservatoire電停まで東に進み、直後の交差点で進路を南に変えるが、新規区間は、まっすぐ東に延伸される形で建設される。


△Observatoire電停から見た新規工事区間


△手前に向かって延伸される

 新規区間のVauban通りは、現在道路の中央に街路樹があり、その両側に車道が設けられているが、この街路樹の左右外側で道路が掘り起こされている。
 C線・E線のGallia~Observatoire間と同様に、街路樹の左右外側に軌道が設置されるのだろうか。
 

△工事の案内看板  

 
△Vauban通り工事状況


 終点のVaubanでは、電停にしては広い範囲で工事が行われていた。
 留置スペースでも確保するのか、それとも、バスターミナルや駐車場になるのだろうか。

 
△終点Vauban付近


△この先の道路標識にはKehl、Offenburgと言ったドイツの地名が書かれている



2-4.F線という路線名について
 現在、F線という名前で工事が行われているが、おそらく開業時にはF線、G線・・・と名称が増えるのではないかと思っている。

 と言うのは、B線・C線として運行されている路線について、まだ工事が始まる前の1997年3月に住民に対するアンケートのお知らせの野外看板を見たことがあり、この看板には路線名として「lignB」と書かれていたが、B線・C線として開業した。

 F線もB線・C線と同様に枝分かれがあるため、同じように複数の路線名が与えられるのではないかと、予想している。

 ただ、だんだん路線名が増えてきてややこしくなりそうであるが・・・。

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 次回に続く




<過去記事と今後の連載予定>

第1回 2008年に開業したB線Elsau以西乗車記【2月11日up
第2回 F線工事現場を歩く
第3回 KrimmeriとDuc d’AlsaceのP+R駐車場
第4回 ユーロトラム(1000系)とシタディス(2000系)の車両運用
第5回 将来延伸計画のあるHautepierre付近の現在
第6回 トラムを選択して20年
第7回 中心部のゾーンシステム
第8回 まとめ(?)

ストラスブールのLRT ~第1回~

2010-02-11 | 路面電車・LRT
 年末年始に、ストラスブールのライトレールを見に行ったが、これから何回かに分けて散策メモをご紹介する。

 現在のところ、下記のメニューを予定しており、2月中に完結する予定だが、遅延する可能性もある。

第1回 2008年に開業したB線Elsau以西乗車記
第2回 F線工事現場を歩く
第3回 KrimmeriとDuc d’AlsaceのP+R駐車場
第4回 ユーロトラム(1000系)とシタディス(2000系)の車両運用
第5回 将来延伸計画のあるHautepierre付近の現在
第6回 トラムを選択して20年
第7回 中心部のゾーンシステム
第8回 まとめ(?)


【ご注意・お願い】
①地名・用語などに特段注釈はつけませんが、ご了承ください。
②フランス語のトラム雑誌を、辞書を参照しながら、解読したところがあります。
 フランス語はまったく知らないため、誤りがあるかもしれませんが、ご容赦下さい。
③現地の治安等については、ご自身でお調べください。
④誤記があった場合、適宜修正しますが、特にお知らせはいたしません。




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 第1回 2008年に開業したB線Elsau以西乗車記
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1-1.はじめに
 ストラスブールのトラムは、最初の路線(A線)が1994年11月に開業し、その後順次路線を拡大し、5線目となるE線が2007年8月25日に開業した。
 また、同日、C線・D線が延伸された。

※路線名について、A線あるいはA系統という訳し方があるが、ここではA線と訳す。

 2007年末にC・D・E線の新規区間を乗りに行ったが、この際にB線のElsau以西で延伸工事が行われているのを見た。


△工事中のMartin Schongauer電停(2007年12月29日)
 軌道工事はほぼ完了し、電停は残すところ券売機と屋根の設置のみという状態だった。


△Martin Schongauer電停の先も芝生軌道が姿を現していた(2007年12月29日)


 このB線Elsau以西は2008年1月30日に、Ostwald Hotel de Villeまで、同5月23日に(現在の終点である)Lingolsheimまで開業した。

 そこで、今年1月1日に、この未乗区間に行ってみた。

 
1-2.沿線風景
 Elsauから先は、B・C線開業時に設置された車両基地までの入出区線が延びていたが、B線の延伸区間はその途中から分岐している。
 次のMartin Schongauer電停まではやや殺風景な印象を受ける高層団地であるが、Cranach通りからイル川を渡るまでの間は、荒地となっている。
 Martin Schongauer電停は、2007年に工事中の写真を撮っているので、下車してみようかと思ったが、電停の風除けのガラスが粉々に割られているので、下車はやめておいた。

 イル川を渡り、d'Ostwald通りにあるWihrel電停付近までは宅地だが、Hotel de Ville電停付近は林に囲まれている。


△Hotel de Ville電停にて

 Boulevard Urbain通り、Lingolsheim通りは農地が広がり池もある。
 このあたりはストラスブール中心部から20分程度であるが、ここまで来ると宅地は途切れる。

 Alouettes電停から終着Lingolsheim電停までは中層団地となっている。
 地図で見ると、Lingolsheimの町の中心部は、もう少し先のようであるが、トラムはそこまで入り込まなかったのはなぜだかわからない。


△終点Lingolsheim電停にて


 終点の先は戸建住宅地となっている。


△当面、延伸される気配はないようだ


1-3.走行方式・電停
 Elsauを出ると車両基地までの区間は芝生軌道であったが、Martin Schongauer電停を過ぎ、Cranach通りまで芝生軌道が続く。
 Cranach通りが途切れたところからイル川を渡るまで専用軌道となる。

 その後、d’Ostwald通り、Gal Leclerc通り、Boulevard Urbain通りは中央走行方式であるが、軌道の両側に1車線づつ車道があり、外側に歩道となっている。


△Wihrel電停付近は中央走行方式 1053編成が到着

 
△電停の設備の仕様は従来と変わらない

 Lingolsheim通りは片側集約方式で、車道の北側に軌道が配置されている。

 Alouettes電停を出て、Lingolsheim通りから離れると芝生軌道となり、終着Lingolsheim電停に至る。

 
△芝生軌道


1-4.車両運用
 車両はEurotram(1000系)の長編成タイプ(44.1m)とCitadis(2000系)が充当され、Eurotramの短編成タイプ(33.1m)は入らないようである。


△Eurotram 1053編成(Lingolsheimにて)


1-5.運行頻度、所要時間等
 Elsau以西が延伸されたが、Elsau等での段落ちはなく、B線はすべてLingolsheimまで運行されている。
 日中の運行頻度は、平日5~6分、土曜6~7分、日曜・祝日は時間あたり4~5本となっている。
 ストラスブール中心部のHomme de Ferから終点Lingolsheimまでの所要時間は24~25分、B線全線の所要時間は42~47分となっている。


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 次回に続く