阿部ブログ

日々思うこと

米軍の対アフリカ戦略が本格始動

2013年01月01日 | 日記

今年2013年は、米軍のアフリカ戦略が本格化する年である。

既に2011年にはウガンダに100人規模のレンジャー部隊を中核とする特殊部隊を派遣しているが、今年は派遣と言うか派兵と言うかこの範囲が格段に拡大する事となる。主な米軍の派遣先は、イエメン、リビア、スーダン、ソマリア、ニジェール、アルジェリア、ケニアなどである。近々ではマリに軍関係者が訓練目的で派遣されている。このようなアフリカにおける米軍の派遣先は30カ国を超える。

マリやアルジェリアなど7カ国については、米軍に先立ちCIAや軍情報部などの諜報機関が既に情報工作や破壊工作など準軍事作戦についてのノウハウや人材育成を既に実施しており、アフガニスタンでの失敗を繰り返す事なく広大なサハラ砂漠で活動するイスラム過激派の活動を補足出来るよう準備に余念がない。

特に米軍の介入が顕著なのはイエメンである。現在、イエメンには海兵隊1個大隊規模が派遣されており、イエメン政府軍への対テロ作戦に関するノウハウを伝授しているし、お得意の無人偵察機による地域の情報収集&偵察活動を展開している。ロシアは、シリアと同様に国民対話会議を統制制御する事で武力紛争の拡大を阻止するとして活動しており、フランスはイエメンを連邦制にする事を目的とする憲法制定の法学的支援?を行っている。
こうした列強のイエメンへの介入は、同国がおかれている地政が影響している事は万人が認める事。

こうした米軍はアフリカにおける活動拡大について、対テロ戦争抑止や地域紛争への迅速な対応と説明している。また米国議会の調査報告においてもアフリカ諸国は、今後2015年までに有力な石油輸出のプレイヤーとして台頭するとし、全世界の石油輸出の約25%を占めると予測している。議会の報告者は、石油と資源という視点からアフリカでの米国のプレゼンス強化が必要だとしている。

しかし石油に関してはシェール・オイルの生産拡大によりその重要性を低下させるだろうが、レアメタルなどの鉱物資源についてはアフリカの重要性が低くなる事は今後もあり得ない。それと資源・エネルギーと言う視点以外で最重要なのは、やはり中国のアフリカにおける経済進出である。米軍はこの中国によるアフリカ地域への更なる侵出抑止と、既存の中国権益を犯す事を目的としている事は明々白々。

ご参考まで当ブログで既報の通り、2007年6月、アフリカを担当するアフリカ軍を米軍が創設し、司令部をドイツ・シュッツガルトに置いた。2008年10月1日には、新たな統合軍としてAFRICOM(アフリコム)を改めて立ち上げアフリカ53カ国を担当する司令部に格上げしている。

このAFRICOMが重視する地域は、前述のDRC、ギニア湾、ダルフール、ソマリアである。この中でも特に重要視されているのが、DRCのギヴ地域。このギヴ地域は世界でもまれな戦略的に重要な鉱物資源が埋蔵されている地域と言われており、米軍及び米国政府は、この地域を「戦略的拒絶地域」とする強い意志を持つ。この拒絶の為には軍事力を行使する事となる。

今年以降、アフリカでの米国と中国の熾烈な軍事・諜報活動に注目する必要がありそうだ。

最新の画像もっと見る