阿部ブログ

日々思うこと

金融規制改革法(ドッド・フランク法)と紛争鉱物の情報開示

2012年11月17日 | 日記
過去ブログでも書いているが、米国の金融規制改革法に盛り込まれた紛争鉱物開示規則が、米証券取引委員会(SEC)に上場する企業とそのサプライチェーン上にある企業は早急な対応が必要な時期に来ている。
トッド・フランク法と紛争鉱物、及び米統合軍 AFRICOM の創設

去る2010年7月に成立した紛争鉱物開示規則の最終規則が、8月22日に公表された。本文だけでも356ページに達するが、次いで11月16日、中小事業者向けの情報開示義務のガイドラインを発表した。

紛争鉱物に指定されている3T(錫,タンタル,タングステンまたはそれらの派生物)及び金を用いる大中小の企業は、原料の鉱物が、
①「紛争鉱物」
②「紛争地域産ではあるが武装勢力とは無関係の鉱物」
③「紛争地域外より産出した鉱物」
④「不明 (大企業は今後2年間、中小企業は今後4年間のみ有効の暫定的な項目)」
⑤「リサイクル・スクラップ」の項目のうちどれに該当するか明らかにし、また, 決算報告と共に、今回公開された紛争鉱物専用フォーム(Form SD)により紛争鉱物使用報告書(外部監査を受けたもの)を提出しなければならない。
紛争鉱物の最終規則によれば初年度の報告対象期間が2012年1月1日から2012年12月31日。提出期限は2014年5月31日である。

過去ブログで書いた通り、紛争鉱物規制の対象国は、コンゴ民主共和国、南スーダン、中央アフリカ、コンゴ共和国、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、アンゴラ、タンザニア、ザンビア10カ国であるが、米国国務長官の判断により鉱種及び対象国は適宜を追加することが出来る事になっている。

この紛争鉱物規制の影響で、タンタルのスクラップ価格が上昇し続けている。これは法案に紛争鉱物に指定された鉱種のリサイクルやスクラップから得たタンタルについては、規制の範囲外であるためだ。理由は、リサイクルされえたタンタルは、コンゴの武装勢力への資金が供給する事にならないからである。

しかしながら、企業における紛争鉱物の使用に関しての調査は、遅々として進んでいない企業が過半で、殆どの企業でその準備さえなされていない現実がある。それはそうだろう、グローバルに重層的に広がるサプライチェーンから自社の用いる鉱物の出自を調査特定し、紛争鉱物であるか否かを断定する作業は極めて困難である事は考える必要もない。

最後に紛争鉱物規制の制定における背景には中国のアフリカ進出がある事を知らねばならない。

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