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あれこれ雑記

情愛深いお地蔵様

2017-10-16 18:04:13 | 日記

齋諧俗談が貞享年間(元禄の少し前)に出版されたと言うところまでは判ったのですが、作者が判りません。しかし少々怪奇な話が書かれているようです。シイと言う化け物は牛が大変怖がるやつで、和漢三才図会には大きな猫様な化け物にかかれています。怖い噺は好みではありませんので立ち入りません。
齊諧俗談の挿絵には若い女性たちが双六を愉しんでいている傍で錫杖を持ったお地蔵様が見物をしておいでです。ひとりの女性は勝負に負けた模様です。
相模国鎌倉米町の西に、浄土宗の延命寺という寺がありました。このお寺の本尊は地蔵菩薩です。ところがこのお地蔵様はなんと裸立像であります。双六盤を台座として衣を着せ、ご開帳の時は、あからさまにも女陰をお出しになるので、前出地蔵と言われております。伝えに拠れば、その昔北条時頼の婦人が、双六の勝負に負けたなら、裸になるなどと賭ました。ところが運悪く勝負に負けてしまいました。そこで恥ずかしい彼女は一心にお地蔵様に念じたところ、地蔵は裸身の女性像に変わられました。人々は奇異な念いにかられました。そこで女性の姿態を形造り、延命寺に納めたそうです。
挿絵は双六に打ち興じている若い女性たちの姿を、思いなしかお地蔵様は慈悲深いご容貌で眺めておいでです。