扇子と手拭い

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芸能の神様にお願い

2015-05-18 22:33:21 | 落語
6年前に綴った落語日記のアーカイブ。ご笑覧ください。


▼新宿の花園神社
 昔から「酉の市は寒い」と言われているが、急に寒くなった。明け方なんぞ、あまりに寒くて寝ておれず、起きてエアコンの暖房スイッチを入れた。このところ年々、気候がおかしくなっている。

 落語の学校の稽古の後、みんなで新宿・花園神社の酉の市を冷やかしに行った。一度も酉の市に行ったことがない落語の同級生が3、4人いた。では、みんなで行こうとなった。今年の酉の市は、きのうの「一の酉」と24日の「二の酉」のみ。「三の酉」はない。酉の市といえば、浅草を思い出す。

▼「福」をさらう熊手
 境内には熊手を売る露店が軒を連ねる。「商売繁盛」と「家内安全」を祈願した小判や米俵、打ち出の小槌で華やかに飾りつけてある。その熊手で「福」を全部かき集めようというのだ。

 ハナから大きな熊手を買うのは野暮。最初は小さい熊手からスタートして、年を重ねるたびに、だんだんと大きなものに買い換えていく。これが熊手の買い方の基本だ、と浅草で教わった。

▼浅草の遊び心が生きて
 売り手と買い手の間で交渉が成立すると「それではお手を拝借、イヨー」の掛け声に合わせ全員で景気よく手締めをする。客は熊手の料金とは別に「ご祝儀」をはずむ。熊手は1万円だというと「7000円に負けろ」と3000円負けさせる。

 そして客は「つり銭は取っとけ。ご祝儀だ」という。同じ1万円を払うにしても、こう言った方が、カネを払う方も、もらう方も互いに気分がいい。こんなところにも浅草の遊び心が生きている。

▼「1かい 300円」
 新宿の酉の市は規模は小さいが、市の風景は浅草と変わりない。境内はもとより、歩道の両側には露店がひしめき、歩くのも難儀な状態。懐かしかったのは裸電球に照らされた金魚すくい。小さな子供が読めるよう「1かい 300円」とマジックで料金が書いてある。

 子どものころ、うすい紙を張った金魚すくいの道具は1枚5円だった。1匹もすくわないうちに紙が破れた記憶がある。その5円が10円に、さらに30円、50円と上がっていった。水槽の中で元気に泳ぐ金魚を眺めながら、「300円か」とひとりでつぶやきながら、時の流れを振り返る。

▼芸能神社で祈願
 「花園神社には芸能の神さまを奉った祠がある」というので、そこに行った。俺たちは「本職の芸人でもないのに」と思ったが、落語の上達を願い、みんなで祠で手を合わせた。

 帰り道、居酒屋に立ち寄り遅くまで落語談義に花を咲かせた。
(2009年11月13日記)  以下次号に続く。

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