チョイと、うれしいじゃあないか。あたしが前から「落語は教養の一部。知っていて損はない」と、そう言ったろ。今日の東京新聞に、あたしのおはこ(十八番)の「火焔太鼓」が、例えに取り上げられた。
2011年8月26日にはバーナンキ(FRB議長)は落語「芝浜」の賢妻か 、と日経が落語を取り上げた。朝日新聞や毎日新聞にも落語の例えがよく登場する。
「火焔太鼓」や 「芝浜」を知らないと、新聞の記事が何を主張しているのか理解できない。
落語は世間で起こる様々なことを笑いに絡めて問いかけている。人間国宝で文化勲章受章者の桂米朝師匠が著書「私の履歴書」の中で言っていた。
「昔の商社は、新入社員を全員、寄席に連れて行った。社会のマナー、年上の人に対する礼儀作法、あきないで一番大事な信用、これらすべてを落語から教えてもらった」-。
ことほど左様に「落語は教養の一部」なのである。吉田茂をはじめとした昔の大物政治家や学者、文化人には落語好きが多い。
*******************
東京新聞のコラム「筆洗」である。
古道具屋の亭主が汚い太鼓を仕入れてくる。おかみさんはそんなものが売れるはずがないと叱る。「どうしておまえさんはものが分からないのかねえ」。ところがさる大名に三百両で売れる。落語「火焔太鼓(かえんだいこ)」の一場面。お金を目の前にしたこのおかみさんの豹変(ひょうへん)ぶりがおかしい。「あらあ、おまえさんは商売が上手」
▼落語「御慶(ぎょけい)」のおかみさんの変わり身も早い。富くじを買うという亭主に当たるはずがないと反対する。「そんなに富(くじ)がいいなら、富と一緒になったらいいじゃないか」。そう言いながら的中すると「だから、富はちょくちょく買わなきゃって言ってたのよ」
▼ばつの悪そうな二人のおかみさんの顔が浮かんでくる、ワールドカップ(W杯)ロシア大会での日本代表の奮闘である。二度もリードされながら追いついたセネガル戦に未明の眠さを忘れた
▼開幕前の不振、直前の監督交代で日本代表に対する世間の期待は二人のおかみさんと同じとは言わぬまでもかなり冷めていた
▼低い期待や逆境にもめげることなく、難敵と懸命に渡り合い、結果を残す。そのひたむきな姿が世間の声をすっかり「あらあ日本代表はサッカーが上手」に変えた。大したものだ
▼16強入りが見えてきた。今まで通りののびのびしたプレーを願う。どんな結果になろうと日本代表への世間の評価はもはや豹変しようがなかろう。 (以上 東京新聞)
2011年8月26日にはバーナンキ(FRB議長)は落語「芝浜」の賢妻か 、と日経が落語を取り上げた。朝日新聞や毎日新聞にも落語の例えがよく登場する。
「火焔太鼓」や 「芝浜」を知らないと、新聞の記事が何を主張しているのか理解できない。
落語は世間で起こる様々なことを笑いに絡めて問いかけている。人間国宝で文化勲章受章者の桂米朝師匠が著書「私の履歴書」の中で言っていた。
「昔の商社は、新入社員を全員、寄席に連れて行った。社会のマナー、年上の人に対する礼儀作法、あきないで一番大事な信用、これらすべてを落語から教えてもらった」-。
ことほど左様に「落語は教養の一部」なのである。吉田茂をはじめとした昔の大物政治家や学者、文化人には落語好きが多い。
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東京新聞のコラム「筆洗」である。
古道具屋の亭主が汚い太鼓を仕入れてくる。おかみさんはそんなものが売れるはずがないと叱る。「どうしておまえさんはものが分からないのかねえ」。ところがさる大名に三百両で売れる。落語「火焔太鼓(かえんだいこ)」の一場面。お金を目の前にしたこのおかみさんの豹変(ひょうへん)ぶりがおかしい。「あらあ、おまえさんは商売が上手」
▼落語「御慶(ぎょけい)」のおかみさんの変わり身も早い。富くじを買うという亭主に当たるはずがないと反対する。「そんなに富(くじ)がいいなら、富と一緒になったらいいじゃないか」。そう言いながら的中すると「だから、富はちょくちょく買わなきゃって言ってたのよ」
▼ばつの悪そうな二人のおかみさんの顔が浮かんでくる、ワールドカップ(W杯)ロシア大会での日本代表の奮闘である。二度もリードされながら追いついたセネガル戦に未明の眠さを忘れた
▼開幕前の不振、直前の監督交代で日本代表に対する世間の期待は二人のおかみさんと同じとは言わぬまでもかなり冷めていた
▼低い期待や逆境にもめげることなく、難敵と懸命に渡り合い、結果を残す。そのひたむきな姿が世間の声をすっかり「あらあ日本代表はサッカーが上手」に変えた。大したものだ
▼16強入りが見えてきた。今まで通りののびのびしたプレーを願う。どんな結果になろうと日本代表への世間の評価はもはや豹変しようがなかろう。 (以上 東京新聞)