▼昭和の名人勢ぞろい
落語愛好会がある、ってんで25日午後、聴きに行ったところ、珍しい芸を見せてもらった。今は亡き昭和の人気落語家をまね、高座で次々にやってみせた。身振り手振りに、声色まで動員しての熱演に、思わず魅入ってしまった。
「金明竹」を公演した若い女性は、最初から最後まで両手を膝に置いたままで何人もの登場人物を演じた。仕草にまで手が回らなかったようで、残念。
▼小三治らを超える工夫
だが、“膝がわり”の「千両みかん」はよかった。手本にしたのは古今亭志ん朝の「千両みかん」だが、後半部分を演者が上手に手を加えていた。あたしもこの部分は、どうやればいいのかと悩んでいたので、大いに参考になった。小三治の「千両みかん」の仕草を見たが、似た動きの繰り返しで、参考にはならなかった。
この日演じた人は動きに独自の工夫を加え、「千両みかん」を分かり易く演じてみせた。なるほどと思うところがあった。時として素人が、小三治や志の輔、志ん朝より噺をうまく構成することがあるものだ、と感心した。
▼飄々としてフラがある
さてさて、最後に登壇した方は、雰囲気からして本職の噺家と見まがうほど。フラがある、ってんですかい。飄々として登場。客席を見渡し、両の手を前にお辞儀をするが、これが実にいい形。これだけで客席をつかんでしまう。この次、「何をやるんだろう」と期待を持たせる。
形態模写。最初は五代目古今亭今輔。「この人は群馬の出身で、昔はアクセントにうるさかったので、古典落語一本では無理だといって、おばあさんが主役の新作、おばあさん落語やったところ、大ヒット。この方の声が砂利道、大八車ひくような声で出囃子が野毛山」と言って一旦、高座を降りる。
▼偉くなるには落語聴け
CDの「野毛山」に合わせて、今輔になり切って登壇。二言三言しゃべるとドッと笑いが起きた。次は九代目桂文治。「今度、十一代目文治が出来るんですよ。桂平治さんが文治になる。9月21日から新宿末広亭で襲名披露公演が始まる」と、わが師匠のPRまでしてくれた。
九代目文治の出囃子は、最初にゴーンと鳴るあの「野崎」。「吉田茂さん、あの方、落語が好きで偉くなった。偉くなろうと思ったら落語を聴かなくちゃあ。聴いてなれなきゃそれまで」、と文治の語り口で紹介し、笑いを取った。
▼目線を移し、巧みな言い回し
こんな調子で、「正札附」に合わせて六代目三遊亭圓生を、「お前とならば」で五代目春風亭柳昇を、「さつま」で五代目春風亭柳朝をと、昭和の時代にその名を遺した噺家10人を巧みに再現した。
顔の表情を微妙に違え、目線を移し、巧みな言い回しで10人を演じ分ける様子は只者ではない。相当な落語通である。もっと聴いてみたかったが、持ち時間が20分らしく、さわりだけで終わったのが名残惜しい。それにしても世の中、達者な人がいるのもだと感心した。
落語愛好会がある、ってんで25日午後、聴きに行ったところ、珍しい芸を見せてもらった。今は亡き昭和の人気落語家をまね、高座で次々にやってみせた。身振り手振りに、声色まで動員しての熱演に、思わず魅入ってしまった。
「金明竹」を公演した若い女性は、最初から最後まで両手を膝に置いたままで何人もの登場人物を演じた。仕草にまで手が回らなかったようで、残念。
▼小三治らを超える工夫
だが、“膝がわり”の「千両みかん」はよかった。手本にしたのは古今亭志ん朝の「千両みかん」だが、後半部分を演者が上手に手を加えていた。あたしもこの部分は、どうやればいいのかと悩んでいたので、大いに参考になった。小三治の「千両みかん」の仕草を見たが、似た動きの繰り返しで、参考にはならなかった。
この日演じた人は動きに独自の工夫を加え、「千両みかん」を分かり易く演じてみせた。なるほどと思うところがあった。時として素人が、小三治や志の輔、志ん朝より噺をうまく構成することがあるものだ、と感心した。
▼飄々としてフラがある
さてさて、最後に登壇した方は、雰囲気からして本職の噺家と見まがうほど。フラがある、ってんですかい。飄々として登場。客席を見渡し、両の手を前にお辞儀をするが、これが実にいい形。これだけで客席をつかんでしまう。この次、「何をやるんだろう」と期待を持たせる。
形態模写。最初は五代目古今亭今輔。「この人は群馬の出身で、昔はアクセントにうるさかったので、古典落語一本では無理だといって、おばあさんが主役の新作、おばあさん落語やったところ、大ヒット。この方の声が砂利道、大八車ひくような声で出囃子が野毛山」と言って一旦、高座を降りる。
▼偉くなるには落語聴け
CDの「野毛山」に合わせて、今輔になり切って登壇。二言三言しゃべるとドッと笑いが起きた。次は九代目桂文治。「今度、十一代目文治が出来るんですよ。桂平治さんが文治になる。9月21日から新宿末広亭で襲名披露公演が始まる」と、わが師匠のPRまでしてくれた。
九代目文治の出囃子は、最初にゴーンと鳴るあの「野崎」。「吉田茂さん、あの方、落語が好きで偉くなった。偉くなろうと思ったら落語を聴かなくちゃあ。聴いてなれなきゃそれまで」、と文治の語り口で紹介し、笑いを取った。
▼目線を移し、巧みな言い回し
こんな調子で、「正札附」に合わせて六代目三遊亭圓生を、「お前とならば」で五代目春風亭柳昇を、「さつま」で五代目春風亭柳朝をと、昭和の時代にその名を遺した噺家10人を巧みに再現した。
顔の表情を微妙に違え、目線を移し、巧みな言い回しで10人を演じ分ける様子は只者ではない。相当な落語通である。もっと聴いてみたかったが、持ち時間が20分らしく、さわりだけで終わったのが名残惜しい。それにしても世の中、達者な人がいるのもだと感心した。