3.5.1 はじめに
今まではリーチに対する押し引きを考えてきましたが
今回から鳴き手に対する押し引きを考えます。
リーチと違い、鳴き手はフーロした情報が増えるので
がむしゃらに統計を基に押し引きの考察をするのは
あまり精緻ではないかもしれませんが、
「リーチと同じように相手の点数の高さが読めない」鳴き手も存在するので
そういうときに使えると思います。
また、鳴き手はリーチと違ってはっきりテンパイしたかどうか分からない事から
あがり率や振込み率などのパラメーターが解明されていないのですが、
とりあえずリーチと同様に
「他家が100%鳴き手をテンパイしているとわかっている」と仮定したうえで
押し引きを考察します。
少なくとも上記仮定のもとで押し引きを計算したときに
押すべきという結果が出た領域については、
現実の麻雀でも押すべきだとわかります。
なぜなら、上記の仮定は現実の麻雀では有り得ないので、
(裸単騎以外は)
相手がテンパイしていないのに降りてしまい
手を進められ、あがられてしまう可能性が
実際には加わるからです。
3.5.2 通常鳴き手とは
「通常鳴き手」とは鳴き手の内、
・タンヤオ
・染め手
・対々和
・ドラポン
以外の鳴き手のことをいいます。
主に、役牌を鳴いたときですね。
他には、喰い三色、喰い一気通貫、鳴きチャンタなどが含まれます。
3.5.3 ドラ別のあがり点数分布
図3.5.1と図3.5.2はドラ別に集計した、通常鳴き手のあがり点数の分布です。
各点数が何%の割合だったかを表しています。
図3.5.1 通常鳴き手あがり点数分布 その1
サンプル合計数以外の数字の単位は%
約14000局の集計結果
図3.5.2 通常鳴き手あがり点数分布 その2
図3.5.3は上記の表をグラフにしたものです。
図3.5.3 通常鳴き手あがり点数分布のグラフ
それぞれのサンプル数は十分とはいえません。
特にドラW風のサンプル数は少な過ぎるので
参考程度に見てください。
それでも、この程度のサンプル数で断言できることがあって
「30符3ハンの手はドラが字牌のときよりドラが数牌のときの方が多い」
ということです。
30符3ハンの手は、ドラが数牌のときだと20%オーバーくらい
ドラが字牌のときだと15%弱くらいだと推測できます。
なぜかはわかりません。不思議ですね。
他の数字は、統計揺らぎ程度の違いです。
僕はドラの違いでもっとはっきり分布が違うのかと思っていたのですが、
意外とドラに依らず似たような分布です。
その他の特徴としては、やはり7700点以上の手の数が減ってます。
先制リーチのときが38%くらいだったのですが、
通常鳴き手だと7700以上の手はその半分くらいに減ります。
3.5.4 通常鳴き手平均点数
図3.5.1と図3.5.2から平均得点を求めます。
ドラに依らず得点分布はほぼ変わらないので、全体を平均すると
平均得点は子で
3622.138点となりました。
親だと1.5倍で5433.207点です。
もしも「他家の一人が鳴き手で100%テンパイしているのがわかる」と仮定したときに
自分がテンパイしたら押すか引くかですが、
(1)自分が子
鳴いてる他家が子でも親でも結論は同じになりました。
愚形リーチのみで追いかけるかどうかがぎりぎり境界となりますが、
実際には鳴いてる他家が100%テンパイしてるか判断できないので
面前テンパイはすべてリーチでいいでしょう。
自分も鳴いている場合は、
両面は全て、愚形は2000点以上なら全ツッパとなります。
リーチと違って、他家がツモっても面前ツモの1ハンがつかないので
ベタオリの期待値も高めに出ました。
(2)自分が親
自分の手の点数、待ち、面前or鳴いてる状態に依らず、
テンパイしたなら全ツッパです。
親ッパネの影響は、他家が鳴き手のときも大きいようです。
ただし、繰り返しになりますが、上記はあくまで
「他家の鳴き手が100%テンパイしたとわかる」という仮定のもとでの話で、
実際にはテンパイに見えてもノーテンかもしれない可能性を考慮すると、
「他家が通常鳴き手でテンパってそうでも
自分もテンパイしたら、どんな手でも全ツッパ」
が正しい気がします。
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