1.序論
「ペンチャンvs浮き牌 その1」で大切なことを見落としていたので、今回はその補足です。(厳密には訂正かな?)
「ペンチャンvs浮き牌 その1」では、ペンチャン待ちと浮き牌1枚ではどちらが早く面子になるかを考察しました。
そしてその結果は18巡以内の全ての巡目において ペンチャンの速さ>浮き牌1枚の速さ となりました。
→「ペンチャンvs浮き牌 その1」
それで、この結果から僕は「実戦でもペンチャンを嫌わないほうがよい」と結論づけたのですが、ここで一つ見落としをしていました。
では、何を見落としたのかをこれから説明します。
図1-1 ペンチャン待ち(一二万)と浮き牌1枚(七万) (ただし、伏牌はマンズ以外とする)
図1-1はペンチャンを残すか浮き牌を残すかという場面です。
ここでは浮き牌を残してペンチャンを嫌うとして、一万を切るとしましょう。
図1-2 図1-1で一万を切った後
で、次巡が来たら牌をツモるわけですが、下の図1-3のようにもう1枚浮き牌をツモる可能性があるわけです。
ツモ
図1-3 浮き牌をもう1枚ツモったところ
僕はこの可能性をすっかり見落としていました。
つまり、「浮き牌は18巡内でずっと1枚であるとは限らない。途中で浮き牌2枚になる可能性がある。」
よって、ペンチャンと浮き牌1枚の面子のなりやすさを比べただけでは、「実戦でもペンチャンの方が常に有利」とは言えないのです。
2.必要なデータと計算方法
では、実戦でペンチャン待ちを嫌うか嫌わないかを判断するには、他にどのようなデータが必要なのでしょうか?
それは、以下の2点です。
1.ペンチャン待ちと浮き牌2枚のそれぞれの面子のなりやすさ
2.浮き牌が1枚から2枚になる確率
判断方法
次の二つの状況についてそれぞれ面子になっている確率を求め、面子のなりやすさを比べます。
・ペンチャンを残したとき
これは、既に求めましたね。(浮き牌を嫌って、単なるペンチャン待ちになっているときの面子のなりやすさ)
・ペンチャンを嫌ったとき
まず、浮き牌1枚の場合と浮き牌2枚の場合のそれぞれで面子になる確率を求めます。(浮き牌1枚の方は既知)
そして、浮き牌が1枚から2枚になる確率を求め、
(浮き牌1枚の面子になっている確率)×(浮き牌1枚のままである確率)
+(浮き牌2枚の面子になっている確率)×(浮き牌が1枚から2枚になる確率)
を計算します。
3.計算と結果
・ペンチャンを残したとき
既知です。
以前に求めた、(ペンチャンが面子になっている確率)です。
・ペンチャンを嫌ったとき
1.ペンチャン待ちと浮き牌2枚のそれぞれの面子のなりやすさ
これは既にとつげき東北さんによってシミュレートされていますので、その値を用います。
詳しい数字は省きますが、巡目と面子になっている確率の関係は図3-1のようになっているそうです。[1]
11巡目以内だとペンチャン有利で、12巡目以降は浮き牌2枚が有利です。
図3-1 ペンチャンと浮き牌2枚の巡目と面子になっている確率の関係
(ちなみに、とつげき東北さんは著書「科学する麻雀」のなかで
図3-1のデータからペンチャンを何巡目までなら嫌うべきかを考察していますが、
ペンチャンを嫌った瞬間は浮き牌が1枚の場合が多いと考えられるので
(2枚目の中張牌は浮き牌でなく別ターツの関連牌になりやすいから)
ペンチャン待ちと浮き牌2枚の結果で、ペンチャンを嫌うかを考えるのはあまり一般的でない気がします。)
当然ながら、何巡目までに面子を作るかによってスピード差が異なります。
例えば、5巡目ならペンチャンは浮き牌2枚の1.5倍くらい高い確率で面子になりやすいですが、11巡目ならほとんど同じです。
浮き牌2枚がペンチャンに最も差をつけるのが、18巡目の約1.1倍です。
ここで、全ての巡目において浮き牌2枚はペンチャンより1.1倍速いとします。
2.浮き牌が1枚から2枚になる確率
これは手牌によって異なります。またこれを一般的に計算するのは、とても難しいです。
そこで、次巡で100%もう1枚浮き牌を引くものと仮定します。
(実際の確率をいくつかの手牌で考えてみましたが、よくて50%、普通は30%くらいでした。)
では、
(浮き牌1枚の面子になっている確率)×(浮き牌1枚のままである確率)
+(浮き牌2枚の面子になっている確率)×(浮き牌が1枚から2枚になる確率)
を計算してみましょう。
今、(浮き牌1枚のままである確率) =0%
(浮き牌2枚の面子になっている確率)=1.1×(ペンチャンが面子になっている確率)
(浮き牌が1枚から2枚になる確率) =100%
なので、ペンチャンを嫌ったときの面子のできやすさは1.1×(ペンチャンが面子になっている確率)となります。
・全ての巡目において浮き牌2枚はペンチャンより1.1倍速い
・次巡で100%もう1枚浮き牌を引く
という仮定のもとでは、ペンチャンを嫌う方が残すより1.1倍有利になります。
しかし、1.1倍というのは期待値に直して考えると多くの場合たいした差になりません。
例えば、あがれば8000点の手において1.1倍有利な選択をすると800点分有利になりますが、
期待値800点程度というのは親の子に対する有利さ(870点)と同程度であり、[1]
このくらいの期待値差で勝負が決まることは稀です。
よって、上記の仮定の下では、ペンチャンを残そうが嫌おうがほとんどどっちでもいいといえます。
(ペンチャンを残すときの面子のできやすさ)≒(上記仮定でのぺんちゃんを嫌うときの面子のできやすさ)・・・(3.1)
「でも、たとえ少しでも期待値の高い方を選ぶべきじゃないの?」
と思われる方もいるかもしれませんが、よく考えてみてください。
上記の仮定
・全ての巡目において浮き牌2枚はペンチャンより1.1倍速い
・次巡で100%もう1枚浮き牌を引く
は、ペンチャンを嫌う場合を最大限有利にする仮定なのです。
現実には、全ての巡目においての浮き牌2枚の速さはペンチャンの速さの1.1倍より遅いわけですし、
次巡にもう1枚浮き牌を引く確率は100%どころか50%以下になってしまいます。
つまり、さきほど計算した「ペンチャンを嫌った場合の確率」は、厳密に計算すればもっと不利になるはずです。
(上記仮定でのペンチャンを嫌うとき)>(現実でのペンチャンを嫌うとき)・・・(3.2)
よって、(3.1)(3.2)より
(ペンチャンを残すときの面子のできやすさ)≧(ペンチャンを嫌うときの面子のできやすさ)
と言ってしまっていいと思います。
「ペンチャンを嫌うときの計算を厳密にできない現時点では、浮き牌1枚よりペンチャンを残す方がよい」
というのが結論です。
4.まとめ
ペンチャンと浮き牌1枚では、もう1枚浮き牌を引く可能性を考えても
現時点ではペンチャン残しの方が有利
参照
[1]とつげき東北 「科学する麻雀」 講談社 2004年
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「ペンチャンvs浮き牌 その1」で大切なことを見落としていたので、今回はその補足です。(厳密には訂正かな?)
「ペンチャンvs浮き牌 その1」では、ペンチャン待ちと浮き牌1枚ではどちらが早く面子になるかを考察しました。
そしてその結果は18巡以内の全ての巡目において ペンチャンの速さ>浮き牌1枚の速さ となりました。
→「ペンチャンvs浮き牌 その1」
それで、この結果から僕は「実戦でもペンチャンを嫌わないほうがよい」と結論づけたのですが、ここで一つ見落としをしていました。
では、何を見落としたのかをこれから説明します。
図1-1 ペンチャン待ち(一二万)と浮き牌1枚(七万) (ただし、伏牌はマンズ以外とする)
図1-1はペンチャンを残すか浮き牌を残すかという場面です。
ここでは浮き牌を残してペンチャンを嫌うとして、一万を切るとしましょう。
図1-2 図1-1で一万を切った後
で、次巡が来たら牌をツモるわけですが、下の図1-3のようにもう1枚浮き牌をツモる可能性があるわけです。
ツモ
図1-3 浮き牌をもう1枚ツモったところ
僕はこの可能性をすっかり見落としていました。
つまり、「浮き牌は18巡内でずっと1枚であるとは限らない。途中で浮き牌2枚になる可能性がある。」
よって、ペンチャンと浮き牌1枚の面子のなりやすさを比べただけでは、「実戦でもペンチャンの方が常に有利」とは言えないのです。
2.必要なデータと計算方法
では、実戦でペンチャン待ちを嫌うか嫌わないかを判断するには、他にどのようなデータが必要なのでしょうか?
それは、以下の2点です。
1.ペンチャン待ちと浮き牌2枚のそれぞれの面子のなりやすさ
2.浮き牌が1枚から2枚になる確率
判断方法
次の二つの状況についてそれぞれ面子になっている確率を求め、面子のなりやすさを比べます。
・ペンチャンを残したとき
これは、既に求めましたね。(浮き牌を嫌って、単なるペンチャン待ちになっているときの面子のなりやすさ)
・ペンチャンを嫌ったとき
まず、浮き牌1枚の場合と浮き牌2枚の場合のそれぞれで面子になる確率を求めます。(浮き牌1枚の方は既知)
そして、浮き牌が1枚から2枚になる確率を求め、
(浮き牌1枚の面子になっている確率)×(浮き牌1枚のままである確率)
+(浮き牌2枚の面子になっている確率)×(浮き牌が1枚から2枚になる確率)
を計算します。
3.計算と結果
・ペンチャンを残したとき
既知です。
以前に求めた、(ペンチャンが面子になっている確率)です。
・ペンチャンを嫌ったとき
1.ペンチャン待ちと浮き牌2枚のそれぞれの面子のなりやすさ
これは既にとつげき東北さんによってシミュレートされていますので、その値を用います。
詳しい数字は省きますが、巡目と面子になっている確率の関係は図3-1のようになっているそうです。[1]
11巡目以内だとペンチャン有利で、12巡目以降は浮き牌2枚が有利です。
図3-1 ペンチャンと浮き牌2枚の巡目と面子になっている確率の関係
(ちなみに、とつげき東北さんは著書「科学する麻雀」のなかで
図3-1のデータからペンチャンを何巡目までなら嫌うべきかを考察していますが、
ペンチャンを嫌った瞬間は浮き牌が1枚の場合が多いと考えられるので
(2枚目の中張牌は浮き牌でなく別ターツの関連牌になりやすいから)
ペンチャン待ちと浮き牌2枚の結果で、ペンチャンを嫌うかを考えるのはあまり一般的でない気がします。)
当然ながら、何巡目までに面子を作るかによってスピード差が異なります。
例えば、5巡目ならペンチャンは浮き牌2枚の1.5倍くらい高い確率で面子になりやすいですが、11巡目ならほとんど同じです。
浮き牌2枚がペンチャンに最も差をつけるのが、18巡目の約1.1倍です。
ここで、全ての巡目において浮き牌2枚はペンチャンより1.1倍速いとします。
2.浮き牌が1枚から2枚になる確率
これは手牌によって異なります。またこれを一般的に計算するのは、とても難しいです。
そこで、次巡で100%もう1枚浮き牌を引くものと仮定します。
(実際の確率をいくつかの手牌で考えてみましたが、よくて50%、普通は30%くらいでした。)
では、
(浮き牌1枚の面子になっている確率)×(浮き牌1枚のままである確率)
+(浮き牌2枚の面子になっている確率)×(浮き牌が1枚から2枚になる確率)
を計算してみましょう。
今、(浮き牌1枚のままである確率) =0%
(浮き牌2枚の面子になっている確率)=1.1×(ペンチャンが面子になっている確率)
(浮き牌が1枚から2枚になる確率) =100%
なので、ペンチャンを嫌ったときの面子のできやすさは1.1×(ペンチャンが面子になっている確率)となります。
・全ての巡目において浮き牌2枚はペンチャンより1.1倍速い
・次巡で100%もう1枚浮き牌を引く
という仮定のもとでは、ペンチャンを嫌う方が残すより1.1倍有利になります。
しかし、1.1倍というのは期待値に直して考えると多くの場合たいした差になりません。
例えば、あがれば8000点の手において1.1倍有利な選択をすると800点分有利になりますが、
期待値800点程度というのは親の子に対する有利さ(870点)と同程度であり、[1]
このくらいの期待値差で勝負が決まることは稀です。
よって、上記の仮定の下では、ペンチャンを残そうが嫌おうがほとんどどっちでもいいといえます。
(ペンチャンを残すときの面子のできやすさ)≒(上記仮定でのぺんちゃんを嫌うときの面子のできやすさ)・・・(3.1)
「でも、たとえ少しでも期待値の高い方を選ぶべきじゃないの?」
と思われる方もいるかもしれませんが、よく考えてみてください。
上記の仮定
・全ての巡目において浮き牌2枚はペンチャンより1.1倍速い
・次巡で100%もう1枚浮き牌を引く
は、ペンチャンを嫌う場合を最大限有利にする仮定なのです。
現実には、全ての巡目においての浮き牌2枚の速さはペンチャンの速さの1.1倍より遅いわけですし、
次巡にもう1枚浮き牌を引く確率は100%どころか50%以下になってしまいます。
つまり、さきほど計算した「ペンチャンを嫌った場合の確率」は、厳密に計算すればもっと不利になるはずです。
(上記仮定でのペンチャンを嫌うとき)>(現実でのペンチャンを嫌うとき)・・・(3.2)
よって、(3.1)(3.2)より
(ペンチャンを残すときの面子のできやすさ)≧(ペンチャンを嫌うときの面子のできやすさ)
と言ってしまっていいと思います。
「ペンチャンを嫌うときの計算を厳密にできない現時点では、浮き牌1枚よりペンチャンを残す方がよい」
というのが結論です。
4.まとめ
ペンチャンと浮き牌1枚では、もう1枚浮き牌を引く可能性を考えても
現時点ではペンチャン残しの方が有利
参照
[1]とつげき東北 「科学する麻雀」 講談社 2004年
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相手にロンされる可能性を考慮に入れていません。
大体6順目くらいから残りの3人の少なくとも1人がイーシャンテンの確率が5割を超えます。ある程度(10順くらい)で見切ってきったほうがいいです。安パイっぽいなら問題ないです。またはペンチャンおとしが安全か
ブログ頑張ってください!
頑張ってください。
4月に入ってからもまた楽しませてくださいね。
今日は暑いそうですよ~
今日も一日頑張りましょう!
今日もブログ楽しみに待ってるね~