for elise

ロータスエリーゼ日記

■ ツインカムターボ!

2011年08月14日 | Eワゴン
 僕が免許を取った頃、高性能エンジンといえばDOHC(ツインカム)であり、ターボはまだ一部の高性能車だけでした。そんなところへ「ツインカムターボ」なんていう「えーい両方じゃ!」的な夢のようなエンジンが(確か最初はトヨタから)出てきてワクワクしたのを覚えています。

 「ターボ」とは、それまで捨てていただけの排気ガスの力でタービンを回し、そのタービンの回転力で燃料ガスをエンジンへ強制的に送り込むという技術です。もとはと言えば酸素の薄いところを飛ぶ飛行機のエンジンで酸素を効率的にエンジンへ送るために開発された技術です。

 ターボは「アクセルを踏み、排気ガスがタービンを回し、その力で燃料と酸素がエンジンにぶち込まれ、急激に回転が上がりパワーがでる」という一連の行程を経るため、どうしてもアクセルを踏んでからパワーが出るまでにタイムラグ(これをターボラグと言います)が生まれること、思った感覚とズレた急激なロケット加速感になること、などの欠点があり、これが僕のターボ嫌いの理由でもあります。

 自動車メーカーもこの20年ほど同じ理由でターボ好き・ターボ嫌いなメーカーに分かれてきたと思います。日本ではトヨタがどちらかと言えばターボ嫌い、日産がターボ好き。海外ではBMWはターボ嫌い、アウディはターボ好き。

 ただ、ターボが通常の排気量以上のパワーが出せるのも事実であり、現在は燃費向上を目的として、排気量は減らしてターボ化(しかも小型ターボでレスポンスを良く)でパワーを稼ぐ・・というのが欧州自動車メーカーのトレンドになっています。
 たとえば2Lカーだったフォルクスワーゲンゴルフやパサートは今や1.2Lや1.4Lのターボです。シトロエンもなんとC5を3.0LのV6から1.6Lターボにしてしまいました。前述のドライビングフィールを最も重視するBMWでさえ、最近は多気筒化・大排気量化を抑制する目的でターボ化を進めています。


 一方、「DOHC」はエンジンの構造技術であり、「ダブルオーバーヘッドカムシャフト」の略です。
 現在のエンジンはほとんどがOHC(SOHC)であり、上部にあるひとつのカムシャフトが吸気と排気両方のバルブを開け閉めします。それでエンジンが高回転になってくるとこの開閉のタイミングが合わなくなってきて、一定以上は回転が上がりづらくなるわけです。
 「DOHC」は、文字通りカムシャフトがオーバーヘッド(エンジン上部)にダブルで(ふたつ)あって、それぞれが各気筒の吸気と排気を別々に担当することで、各バルブの開け閉めを高回転までちゃんと追従してできるため、エンジンがパワフルな高回転まで正確に回るようになる、という技術です。DOHCはカムシャフトが2つあるので、略して「ツインカム」とも呼びます。
(なお、現在はDOHCは高回転までを回すだけの目的の技術ではありません。例えば先日出たマツダのエコカー(なんとガソリンNAエンジンを突き詰めた技術で30km/l!)デミオなどもDOHCだそうです。)


 ターボは燃料を強制的に送り込んで爆発力を高めようとする技術であり、DOHCはエンジンを高い回転まで回してパワーを得ようとする技術です。エンジンは一般に高回転であるほどパワーもレスポンスも良いからです。

 このようにターボとDOHCは全く違う別々の技術ですから、その「両方」を備えた「ツインカム+ターボ」というエンジンがあって当然なのですが、それが一般実用車に採用され始めたのはたったの20数年前なのです。



 なんでこんな話を書いたかと言うと、CDIワゴン君って実はその「ツインカムターボ」なんですよ〜(笑)
 しかもターボはインタークーラー付きターボです。いまだって「ツインカムターボ」なんていうエンジンはほとんどスポーツカーにしか採用されないものですが、それがディーゼル車に適用されているっていうのがスゴイと思いませんか?そもそもディーゼルエンジンにDOHCってあるんですねぇ。僕は知りませんでした。


 もちろんDOHCとはいえディーゼルですから最大出力の発生は4000rpm程度ですし、レッドゾーンはなんと4600rpmという低さですから、あまり高回転を回す目的のDOHCとは思えません。むしろ4000回転くらいまでを正確に回すことが目的なのでしょうかね。いや、正確に爆発させることが、実は未燃焼ガスを含まないクリーンな排気ガスを実現しているのかもしれません。とすれば環境目的のDOHCなのかな?


 昔は高性能を誇示するために、「DOHC」とか「TWINCAM」とか「turbo」というステッカーがずいぶん流行ったのですが、このクルマにも「TWINCAM turbo」なんていうステッカー(今でも売ってるのか?)貼ってみましょうか。嘘ではないのだけどいったいどれだけの人が信じるかなぁ・・(笑)。




 注:このブログは、決してEクラスワゴンのブログではありません。


■ 高速インプレ(E320CDI)

2011年08月10日 | Eワゴン
 7月の3連休、CDIワゴンで初めての高速・長距離走行をしました。
 目的地は蒲郡/西浦温泉で、片道約300kmです。Eクラスは高速長距離走行が最も得意な分野ですから、その乗り心地、動力性能、燃費等が、世代替わりによってどう向上しているのか楽しみに出かけました。


燃費

 自分のブログでまさか燃費について言及することになるとは思いませんでしたが、でもCDIにとって燃費は重要な「性能」ですから(笑)。

 さて夏の三連休、天気は最高・・・とくれば、渋滞は必至です。しかし今回はその渋滞も含めて確認したいことがたくさんありましたから、結構のんびりと朝9時半くらいに横浜を出発しました。東名横浜青葉インターから高速に乗ると、すでに本線は動いていません。普段ならうんざりして迂回路を検討するところですが、この日は比較的気持ちに余裕があったので(笑)、マルチファンクションディスプレイの表示とにらめっこしながら大人しく渋滞の列に並ぶことにしました。

 ところがこの日は天気が良すぎて直射日光&アスファルト上の温度が極めて高く、Eクラスの「日本車並みハイパワーエアコン」をもってしてもジワっと汗をかくほどです。しかも、当初は大和トンネルを先頭にした「自然渋滞」だったものが、同トンネルで発生した多重クラッシュ負傷事故によって「事故渋滞」に変わり、横浜IC手前くらいではほとんど動かない状態。家を出てからの平均時速表示はどんどん下がってきて、なんと大和トンネル手前で「時速6km」になりました。それって、うちから大和トンネルまで歩いたほうが早かったってことですよねぇ?!そしてその時点での燃費はなんと「3.5km/l」となりました!
 先代E240では、燃費から計算すると、街なかでは1kmあたりを走るのにだいたい24〜25円(154円/l換算)かかる計算でした。しかしこの3.5km/lは軽油(115円/l換算)で計算しても1kmあたり33円程度になってしまいます。うーん・・・渋滞を抜けてからの燃費向上に期待です。
 ちなみに、このとき横浜青葉ICから厚木ICまでは2時間半(!)もかかりました(自分の経験上では過去最高です)。

 大和トンネルの事故でクルマがせき止められているおかげか、その後の東名高速は思いのほかガラガラ。少し到着時刻を回復するためにも平均速度1●0km/hですっ飛ばします。こんなペースで走ったらまた燃費は悪化するかなぁ・・と思いつつマルチファンクションディズプレイを確認していると、燃費表示はみるみるうちに回復していきます。富士川SAですでに8.5km/lに回復。この時点でもう1kmあたり14円と、先代E240の高速道路最高燃費(1kmあたり14円)に並びました。結局、歩く速度以下での2時間もの渋滞を含めても、蒲郡到着時点での平均燃費は10km/l超でした。

 帰路も台風の影響や30kmほどの自然渋滞がありましたが、今回の旅行トータルでの燃費は11.5km/lとなり、1kmあたりジャスト10円でした。
 いまどきレギュラーガソリンで20km/l以上走るエコカーに比べれば全然およびませんが、このクルマは1.9トン級で、時速1●0km/hで長距離をクルージングする、いわば大型クルーザーですから、そう考えるとかなり良い燃費と言えるのではないでしょうか。

 これまで一人でゴルフに行くときにはエリーゼの助手席にゴルフバッグを載っけて行ってたのですが、これならひとりでもCDIワゴンのほうが燃料費は安いということになりますね。
 <後日談>
 2週間後の日曜、会社の同期で南富士までゴルフに行きました。帰り道はちょっとメタボなおやじたち4名とゴルフバッグ3人分とキリンビールのオープンコンペでもらったビール約50本を満載。運転はこの日ゴルフに負けた友人が担当しました。日曜の夕方で渋滞もあったにもかかわらずそんな状態で燃費は14.6km/lを記録!真剣に走ったらどこまで伸びるのか・・・一度エコランをやってみたくなりました。 

動力性能

 実は旅行に先立つ前週の日曜、アイスホッケーの練習試合でチームの子供4人を載せて千葉へ遠征に行きました。チームメイトのお母さん(結構飛ばす)が運転するBMW X1について第三京浜〜首都高〜湾岸を走り、これが初高速となったわけです。その際、本線合流で初めてアクセルを深く踏み込んだ僕は、つい「ブラボー!」と叫んでしまいました。ディーゼルの印象を覆すターボらしい強力な息の長いシームレスな加速に驚きました。55kg・m超もある強大な低速トルクによる街なかでの速さの一方で、高速ははたしてどうなのかなと不安だったのですが、それは杞憂に終わりました。

 そして、今回荷物と人を満載したらこれがどう変化するかと心配していたのですが、そもそもが2t級のクルマですから思ったほど大きな変化はありませんでした。改めて感じたのは、高回転まで引っ張らずしかも静かなので、必要十分な加速を乗員に緊張感を与えることなく得られるんだなぁということ。決して暴力的な加速ではないが、フラットな強い加速度をずっと維持しながら150〜160km/hくらいまで、あっという間に速度をのせていきます(今回、それ以上は試しませんでした)。
 特に100km/hを超えるあたりからがこのクルマの本領発揮です。安定感は増し、乗り心地も向上し、いろんな雑音も消えて、明らかにこのクルマのターゲットスピードが100~150km/hくらいに設定されていることがわかります。それを超えると少し風の抵抗音が気になり始めます。

 一方、アクセルを踏み込んでから加速するまでのワンテンポの遅れは結構はっきりしていて、これがターボラグなのかシフトダウンラグなのかはよくわかりません(というか、両方の気がします)。ただ、スポーツカーではないのでこのタイムラグは十分に許容できるところです。言い換えれば「長距離ゆったりクルーザーにはターボは合っている」ということです。

 あぁ、あと、ちょっと気持ち悪いのがエンジンブレーキかなぁ。ディーゼルなのでエンブレはかなり効きそうなものですよね。実際、街なかではエンブレがとても効くためにブレーキが必要ないようなケースもあります。ところが高速ではエンブレが効かないんです。これってわざとそういう制御をしているんじゃないでしょうか。エンブレが効きすぎるとドライバーはアクセルを一定に踏み続けなければならないので、足が疲れてアクセルを離してもカクカクしないように、わざとすぐには速度が低下しないような制御をしているような感じがするんです。ちがいますかねぇ?メルセデス様。
 その感覚が微妙〜に自分の感覚とずれて、前方車両が減速した時、早めにアクセルを離しているのに速度が思うように低下せず、ブレーキを踏まなければならないシーンが多々ありました。シフトダウンすればいいんですけど、7速もあると6速や5速に落としたくらいでは全然エンブレが効きません。それに高速時にはシフトを操作してもすぐにはシフトダウンしてくれないのも気持ち悪い。
 これには少し慣れが必要なようです。



ハンドリング

 問題はこれ、ハンドリングです。
 まずこのパワステ、街のりでは国産車並みに軽くてどっしり感に欠けると憂いを感じたのですが、さすがに高速ではあの「矢のようにまっすぐ走る感じ」は確保されていました。そしてその「まっすぐ走る」限りにおいては、安定感とともにその乗り心地もパワー感も含めてとても気持ちがよいです。「これぞハイウエイキング!」という印象です。

 しかし問題は「レーンチェンジでのグラッと感」でした。少しクイックなレーンチェンジを試してみると、背の高いワンボックスなどでよく感じるように、ワンテンポ遅れてグラッとくるのです。
 原因はその感覚から推測して「足の柔らかさ」、「重心の高さ」、「総重量の重さ」が考えられます。いずれにしても得意分野の高速でこのグラッとくる感覚は、ちょっとメルセデスらしくないと思いますよ
 先代E240で初めて高速にのった時は、素早いレーンチェンジでも一瞬にして姿勢の乱れを収束させる性能に感動したものでした。しかし一方で先代は、高速路面のうねりや、不整路面、道路のつなぎ目では、高級車と呼ばれる部類にしては意外なほど突き上げがあったのも事実です。W211ではそのあたりが見事に改善されており、高級車然とした躾けがなされています。足を柔らかく、ストロークを長くしたような印象です。・・・しかし、その代償がこの「グラッと感」なのでしょうかねぇ。
 このクイックなレーンチェンジについては、家族をのせた状態ては、もう二度と試そうという気にはなりませんでした。


 高速長距離の総評としては、「重量増や足が柔らかくなったせいか、パニックアクション時の安定性に関しては不安感があるものの、燃費も加速も乗り心地もストレスフリー感も、通常時においては先代を上回っている」といった感じです。

                        ☆

 それにしても心配していたディーゼルの高速性能がこれほど素晴らしいとは思いませんでした。時速100kmの時、このクルマは7速巡航でエンジンは約1500回転です。この高速での低回転はディーゼルだから実現できることであり、その低回転からの加速も頼もしいところです。この低回転巡航が高燃費にも静かさにもつながり、乗員の疲れ軽減にもつながっているのですね。
 改めて感心しました。