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ロータスエリーゼ日記

■ 【試乗インプレ】メルセデスベンツE250(W212/StationWagon)

2012年07月08日 | クルマ関連記事
 E250 ブルーエフィシェンシー ステーションワゴンに試乗しました

 いや今回は「試乗」ではなく、数日お借りするラッキーなことに(笑)。うちのCDIワゴン君(W211型)がもうすぐ1年の保証期間が切れるのでヤナセさんで入院点検してもらうことになり、その代車としてまだ走行800kmの新車のEワゴンを貸してもらったのです。ホント、持つべきものは友達です(笑)

 で、借りといてなんですが(笑)、以前も書いたように僕は現行型のEクラス(W212型)が好きではない・・。正しく言うとそのデザインが好きではない。
 W210で丸目の親しみやすいデザインで「威張り」を捨て、さらにW211でスマートになり、もう「迫力と威張り」のイメージではないメルセデスに生まれ変わったと思ったら、このW212でまたゴツくなってしまったEクラス。なんか、装甲車というか鉄仮面というかエレガントさがないと思うんですよね~。
 特に最近発表されたEクラスカブリオレなんて、僕に言わせれば「すね毛の生えたマダムがピンクフリルのついたミニスカートを履いてる」みたいなイメージ(失礼。ヤナセ営業のお友達に怒られそう・・(笑))です
 話はそれるけどレガシイも同じように、でかく、装甲車みたいになってきましたよねぇ。5ナンバー枠にこだわっていた節度ある頃が懐かしいです。

 そんなわけで全く興味のなかった現行Eクラス/W212ですが、こんなかたちでレポートできることになるとは思ってもいませんでした。
がっ、結論から言うと、いろんな意味で「目からうろこ」の試乗になっちゃいました

    


 ヤナセさんでクルマを入れ替えて、そのまま子供のホッケーの試合に行くため家族と荷物を載せ替え、急いでスタート・・・しようとおもったらシフトレバーが無い。そうそう最近のメルセデスはコラムにATシフトスイッチがあるんでしたっけね。これ、慣れるまでは左手がシフトレバーのところで空を切る(笑)。でも慣れるとステアリングから手を離さず前進・後退を切り替えられて、車庫入れ切り返しなどでかな~り便利でした。
 気に入らないのはドアを開けると勝手にシフトがニュートラルに変わってクルマが動かなくなること。最近のクルマは窓位置が高くてサイド後方を確認しづらく、後進時には運転席ドアを開けて後方確認をしたくなるケースも多いのですが、このクルマはバックしていてもドアを開けた瞬間に止まってしまう。もちろん安全のためではありますが、かなり余計なお世話でもあります



 メーター内にはEクラスの絵が出てきたり(写真)、いろんな情報が美しく表示されて便利だけど、W211以降どんどん派手になってきたことには若干の抵抗感もあります。ただ、メルセデスのメーター類は相変わらず非常に見やすいといえます

 幹線道路を走りだし、新横浜へ向けて片側4車線道路を飛ばします。空いている左車線を進んだのち、右折のためにそろそろ右車線へ移ろうとウィンカーを出したら「ピーッピーッ」っと警告音。何かと思ったら、ドアミラーに三角のマークが点灯して死角(右後方)にクルマがいることを警告してくれました。「アクティブブラインドスポットサポート」っていうんだって、これ。このときはミラーでも確認できていたのですが、本当に死角に入ってしまっているときに警告してくれるのは確かに安全かもしれません
 さらに帰り道、対向車のいない明るい住宅街でハイビームにしてみたらライトが上を向かない。なにこれ?壊れてるのかな?と思ってそのままにしておいたら、暗い畑道になったとたんに勝手にハイビーーーーム!!むむ、これが「インテリジェントライトシステム」ってやつか。余談ですが、メルセデスのヘッドライトは明るい。W210まではヘッドライトレンズの大きさが効いていた気がしますが、W211以降では配光をちゃんと設計して実現した明るさといえそうです。HIDライトがいたずらに青白くないのも、雨天時の乱反射を抑え、見やすさと大人っぽさを演出しています。
 また、ステアリングに連動してライトが動きカーブの先を照らしてくれる「アクティブヘッドライト」は、W211からさらに進化して動き幅も大きくなりました。かなりしっかりと視線の先を照らしてくれます。また、ウィンカーやステアリングに連動するコーナーリングランプはW211のようにフォグランプではなく、ヘッドライトユニットに内蔵されました。
 そのほかW211ですごーく軽くなって残念に思ったパワーステアリングは、W212でますます軽くなりました(t_t)。そもそも昔は、ある程度の重さを持ってそのかわり大きめのステアリングにする・・が信条だったメルセデスが、よくもまぁここまで変わったものです。もはやぜんぜん日本車とかわらない操作系の感触に、少し残念な気持ちです。メルセデスも相当日本車を意識しているのだと思います。
 そうそう、いまどきのクルマなのでアイドリングストップがついていました。でもこのクルマ、もともとアイドリングが静かで振動もほとんどないので、最初はエンジンが止まったことに気づかず。タコメーターをみて「あ、止まってるんだ」・・って感じ。もちろん走りだしの違和感はありません。上り坂でアイドルストップしたときの発進では少し後退するのが気になりますが、これはブレーキを深く踏んで固定する「坂道発進サポート機能」を利用しろってことかな。

    


 さて次に動力系のレポートです。いやいや、これにはいい意味で参りました
 まず、このE250は衝撃の1.8Lの4気筒ターボエンジンを積んだEクラス。僕は、いくらエコとはいえEクラスが1800ccの4気筒ってどーなのさ?・・・と、正直思っていました。パワーはターボでごまかせてもフィーリングはごまかせないはずだから。・・・ですが、このエンジンはなかなかのものでした。
 体感的には全く大排気量車と遜色がない。低回転からトルクが湧き出して、さほどアクセルを踏み込まなくても十分に加速するので、メルセデスらしい余裕を持った走りも可能です。トルクは31.6kgと、55.1kgもあるディーゼルのCDIにはとても及ばないのですが、体感的にはそこまでの差は感じられない。
 確かに、アクセルを踏み込んで回転をあげていくと、軽々しいグォーっという4気筒の騒々しさはあるのですが、それとてイヴォークで感じたほどの「唸り」ではありませんでした。
 さらに組み合わされる7速ATが優秀。低回転から効くターボに合わせて、早め早めにどんどんシフトアップして行きます。市街地でも積極的に5~6速を使っているようです。手元のパドルを引いて強制的にシフトアップすれば、50km/hくらいで街なかを流しているときには1200回転くらいで走れてしまう。まるでディーゼルのようです。
 そんなペースで市街地走行をしていると、燃費は8km/Lを簡単に超えます。ちなみにE320CDIで同じ走り方をするとだいたい7.5km/l~同程度くらいでしょうか(軽油ですからCDIの方がコストは安いですけど)。
 メルセデスでは、燃費のために4気筒の小排気量ターボエンジンとしつつも、その出力特性を低回転重視にしたのでしょう。いや、数値で見ても204ps/5500rpmは大したものですが、高回転でパワーを稼ぐのでは4気筒の騒々しさ・荒さがEクラスユーザーには受け入れられないはず。なので低回転でしっかりと豊かなトルクを生みだし、余裕のある走りを演出するとともに、回転の低さで燃費も稼ぐ・・という印象です

 そもそも、CDIワゴン(W211)と、このE250ワゴン(W212)の新車価格が266万円(!)も違うのにも驚きですが、いやぁ、そんな差は残念ながら感じられませんなぁ。


 さて、ここからがこのレポートで特筆しておきたいことです(^^)/。
 このクルマ、重量は1,790kgと、うちのCDIより130kgも軽いのですが、実際にはもっと軽く感じます。発進や加速時の話ではなく、このE250ではステアリングを切った時のノーズの動きがとても軽くて気持ちいいんです。交差点ひとつ曲がれば違いがわかります。
 ロールしながら「どっこいしょっ」と曲がるCDIに比べて、ひらりと身をひるがえす感じ。なるべく直線的に走りたいCDIに対し、積極的に曲がりたくなるE250。ちょっとCクラスの乗り味に似ている気がしましたね。

 ・・・そう書いていて、はっと気づきました。僕はCDIワゴンの購入時インプレで、「メルセデスの得意分野である高速走行で、グラッとくるこの不安定感が気持ち悪い!」とレポートしましたが、それって、ディーゼルエンジンの重さから来るものだったのではないでしょうか。
 高速道路でのフワフワ感も重量があるから収束しづらく、レーンチェンジのグラッとくる感じも、重さや重心の高さによるものかもしれない・・。
 アルファロメオ156でも4気筒モデルとV6モデルでは動きが違いましたが、このノーズにある重量物の重さは、やはりクルマの動きに大きな影響を与えるということですね。



 最初に述べたように、デザイン的には今もあまり好きではないW212のEクラスですが、クルマとしての出来は素晴らしい。その「素晴らしさ」は当然日本車同様のおせっかい装備の事ではありません。1.8L4気筒ながら静かで余裕の走りを生み出すエンジン性能、それを引き出している7速AT、そして(副産物かもしれませんが)軽いノーズによる軽快なハンドリングです。
 うむむ、ゴツいデザインで重そうな印象だったW212が、(大きなエンジンのモデルは知りませんが)軽快なクルマのイメージに変わってしまいました(笑)。

 やはりクルマは軽いことが一番!です。
 ・・・しばらくヤナセさんに返したくなくなるクルマでした。