Heal-log

つれづれなるままに。

殺生。

2005年08月16日 | つれづれ
夕暮れ時、寄ってくる蚊を手で払っていた。

殺生はいけない。
特に、お盆に殺生をするのは絶対にいけないらしい。

これは友達のお母さんの受け売りで、私自身がそう言われて育った訳ではないけれど、何故だかとても印象に残る言葉だ。
その友達が言うには、お盆のお墓参りの時に、ヤブ蚊を叩こうとしたお父さんにお母さんは一喝したらしい。
「お盆に殺生したらあかん!!!」

それを聞いた時(確か授業中だった)一家を知っている私は、その光景が容易に想像出来て、大いに笑ったのだけど、それは忘れられない言葉として自分の中に残った。

考えてみれば、この手の昔ながらの教訓というものを、私は親から聞かされたことはない。
勿論こういう仏教的な概念とか、今だったら迷信と言われてしまうようなことは教えられた。
ただ知識として、客観的に。
だから、実感をもって発せられた「お盆に殺生はあかん」という言葉が心に残ったのだろう。

知識として知っていることと、実感として教えられたことは、多分違うと思う。
きっと私は将来、自分の子どもにそう教えることはしないだろう。
そして彼女はかなりの確率で、子どもに「お盆に殺生はあかん」と言うような気がする。
でも、そうやっていろんな形で昔ながらの教えが伝えられていくのは、悪いことではないと思う。少なくとも忘れ去られてしまうよりは。

それにしても、確かに無駄な殺生は良くない。
たとえ蚊であろうとも。
一寸の虫にも五分の魂、と言うし、もっと自分勝手な立場に立つなら、蚊を潰しさえしなければ、そいつが自分の血を吸っていた事実も知らなくて済むのだから。