ギンコは川辺で、手に水掻きが有り酷く体温の低い男児、湧太と出会った。
母のタキが湧太を迎えに来ると、湧太の『体質』を問うギンコ。「だったらなんなの?」警戒するタキに、ギンコは『雨蠱』という蟲の仕業だと語りだした。雨蠱は水と共に雨、川、海、雲、また雨。と順に廻り続ける蟲で、一時的に鯢や溺れた人に憑くことがあり、すると湧太と同じようになり言葉に難が出て、大量に水を欲しがる。大水に乗って抜けてゆく性質もあるが、鯢等は長く憑かれ同化して水になって消えてしまうという。ギンコはタキに症状を抑える薬を売った。
薬を使った湧太は水掻きが無くなり、体温が戻り始め、村の子供と打ち解け、滑らかに喋るようになった。薬の切れる頃、ギンコが再び訪れ、「蠱が抜けたワケではない」と忠告したが、タキは安心していた。
しかし、大雨の夜、「行かなきゃ」湧太は我を失ったようになり、大水の川へ入ろうとする。事態を察したギンコが湧太を捕まえ、大水に乗じて『雨蠱抜き』をすること提案する。タキは承けた。木の上で縄で幹に縛られ暴れる湧太を必死で抑えるタキ。「絶対、どこへもやらないから!」格闘は朝まで続いた。朝、大雨が去ると、湧太は正気に戻っていた。「雨、怖かったね。もう怖くないよ」それでも水は欲しがるので、ギンコに背負って貰い井戸まで向かっていると湧太の体が熱い、湯気が出始める。タキの腕の中で湧太は蒸気となって消えた。
昔、若いタキが妊娠したまま川に落ち、引き揚げられてから産まれた子が湧太だった。人は胎内では鯢に近い、湧太は雨蠱と強く結び付き過ぎていた。
一人になったタキは雨の日、傘を差さず外へ出て、様々な水に触れた。「あんたはどこにでもいるんだものね」タキは雨空を見上げた・・・
母のタキが湧太を迎えに来ると、湧太の『体質』を問うギンコ。「だったらなんなの?」警戒するタキに、ギンコは『雨蠱』という蟲の仕業だと語りだした。雨蠱は水と共に雨、川、海、雲、また雨。と順に廻り続ける蟲で、一時的に鯢や溺れた人に憑くことがあり、すると湧太と同じようになり言葉に難が出て、大量に水を欲しがる。大水に乗って抜けてゆく性質もあるが、鯢等は長く憑かれ同化して水になって消えてしまうという。ギンコはタキに症状を抑える薬を売った。
薬を使った湧太は水掻きが無くなり、体温が戻り始め、村の子供と打ち解け、滑らかに喋るようになった。薬の切れる頃、ギンコが再び訪れ、「蠱が抜けたワケではない」と忠告したが、タキは安心していた。
しかし、大雨の夜、「行かなきゃ」湧太は我を失ったようになり、大水の川へ入ろうとする。事態を察したギンコが湧太を捕まえ、大水に乗じて『雨蠱抜き』をすること提案する。タキは承けた。木の上で縄で幹に縛られ暴れる湧太を必死で抑えるタキ。「絶対、どこへもやらないから!」格闘は朝まで続いた。朝、大雨が去ると、湧太は正気に戻っていた。「雨、怖かったね。もう怖くないよ」それでも水は欲しがるので、ギンコに背負って貰い井戸まで向かっていると湧太の体が熱い、湯気が出始める。タキの腕の中で湧太は蒸気となって消えた。
昔、若いタキが妊娠したまま川に落ち、引き揚げられてから産まれた子が湧太だった。人は胎内では鯢に近い、湧太は雨蠱と強く結び付き過ぎていた。
一人になったタキは雨の日、傘を差さず外へ出て、様々な水に触れた。「あんたはどこにでもいるんだものね」タキは雨空を見上げた・・・