
心の目で見ることが大事
故郷の惑星の紛争によって宇宙から難民として地球にやってきた「X」と呼ばれる生命体が世界中に溢れ、各国がその対処に苦慮する中、日本はアメリカに追随するように彼らの受け入れを決める。Xは人間にそっくりな姿で日常に紛れ込み、人々はXを見つけ出そうと躍起になって社会に不安や動揺が広がっていく。
そんな中、週刊誌記者の笹憲太郎はX疑惑のある柏木良子の追跡を開始。自身の正体を隠しながら良子に接近し、ふたりは徐々に距離を縮めていく。
やがて良子に対して本当の恋心を抱くようになった笹は、彼女への思いと罪悪感、記者としての矜持に引き裂かれそうになりながらも、ある真実にたどり着く。(「作品資料」より)
宇宙からの難民〝X〟を暴き出すため、週刊誌記者の笹憲太郎は、Xの疑いのある柏木良子に近づく。
話をしているうちに良子に惹かれていく笹。
しかし、どうしてもXの疑いが拭えず、Xに対して先入観を持つ笹は、思い切った行動を取る。
対象がXということになっているが、これは完全に人が少なからず持つ差別心、そして自分とは違ったものに対する理由なき恐怖を描いている。
良子と笹の交流を描きながら、もう1人、笹が対象とすべき人物、リン・イレンと拓真という青年の交流が描かれる。
イレンは台湾から日本へやって来て勉強しているが、なかなか日本語も上達せず、苦しんでいる。
そんな彼女の言動に対して苛立つ人がおり、彼らの言動が更にイレンを追い詰める。
これもまた自分たちと違う者への差別があるのだろう。
果たして、そんな良子とイレンはXなのか。
Xは、最初に触れた人間をコピーして日常に紛れ込んでいると言うが、そうすると同じ姿の人物が2人存在するということか。
そのあたりも少し明かしながら、クライマックスは驚きの真実が明らかになっていく。
考えさせられると共に、その展開が興味深いミステリー・ロマンスであった。
/5
監督:熊澤尚人
出演:上野樹里、林遣都、黄姵嘉、野村周平、川瀬陽太、嶋田久作、原日出子、バカリズム、酒向芳
於:新宿ピカデリー
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます