中鉄雑記帳

中国と鉄道(実物・模型)に関するあれこれ。

久大本線ボイラー爆発事故

2007-04-06 00:35:03 | 鉄道関連
1930年4月6日、久大本線鬼瀬駅ー小野屋駅間で、8550型蒸気機関車のボイラーが破裂、
23名が火傷の後亡くなるという事故が発生しました。

当時、この区間は大湯線と呼ばれ、大分から豊後森駅までの盲腸線(終点が行き止まり)でした。
(久留米から伸びてきた久大線と繋がり、名実共に久(留米)大(分)線となるのは、
1934年の11月です)

蒸気機関車は前後がありますので、転車台がない駅では正しい向きに連結できません。
そこで、終端駅に転車台のない盲腸線などでは、起点駅からは正しい向きで運行し、
終点で機関車のみを客車の反対側に付け替え、バック運転で戻ってくるという
牽引方法が一般的になります。
この場合、帰りは当然ながら機関車の前側(ボイラー側)に客車が
連結されることになります。

久大本線の場合もこのケースで、ボイラーが破裂し、噴出した高圧蒸気が
機関車の煙室扉(機関車の一番前のナンバープレートのある扉)を押し開け、
客車にまで流れ込んでしまいました。

その後、このようなことの無いように、盲腸線の終端駅にも
転車台の設置が進められたのですが、日中線の熱塩駅のように、
最後まで転車台が設けられず、C11型蒸気機関車が帰りは
後進牽引で運転されていたり、C56型蒸気機関車のように、
後進牽引が良くあることとして、後方視界確保のために、
炭水車の両肩部を最初から切り欠いていた例もあります。
また、最後の新設計蒸気機関車となったE10型蒸気機関車は、
トンネル内で乗務員が煙で窒息するのを防ぐため、
最初から後進牽引を常態として運転台がボイラーと反対側に設置されるなど、
後進牽引自体にはそれほどナーバスにはなっていなかったようです。

実機でも稀に発生したボイラー爆発事故ですが、
ライブスチームの世界ではあってはならないことです。
小型蒸気機関車製造者協会に加盟するメーカーやクラブでは、
定期的なボイラー検査(水圧検査)を義務付け、
検査に通らない、または検査そのものを行なっていない機関車は、
運転会等では一切運転を認めないという
厳しい管理をしています。

しかしながら、個人が庭のレイアウトで走らせるレベルで、
仮に事故があったとしても、本人及びその家人・友人程度しか
損害を受けないから、そこまで厳しくされても困るという意見も
あるようですし、
自力で製作後、どこのクラブにも属さず一人でやっている人などでは、
そもそもそのような検査制度自体知らない可能性もあり、
必ずしも徹底できていないことが難点です。

現在は特認という形で国家の認定ボイラーの扱いから外れている
ライブスチームですが、
万が一、一般乗客を巻き込むようなボイラー事故が発生すると、
この趣味自体の存続すら危ぶまれる自体になりかねません。

現在ライブスチームをやっている、またはこれからやってみたいという方で、
「ボイラー検査って何?」という方がいらっしゃったら、
是非小型蒸気機関車製造者協会までお問い合わせください。


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