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独国債下落 仏格下げの瀬戸際

2011年12月05日 07時59分38秒 | 保管記事


 

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独国債下落 仏格下げの瀬戸際

ユーロ存続はメルケルの決断に

【第163回】 2011年12月5日

123ついにユーロ圏で最も信用があるドイツ国債までもが売られ始めた。投資家はドイツにかかる欧州財政危機関連の財政負担を嫌気しているのだ。日米欧の中央銀行はドル資金供給の拡充策を打ち出したが、これは金融機関の資金繰り対策にすぎず、財政危機の解消策とはなりえない。


11月24日の独仏伊首脳会談でメルケル・ドイツ首相(左)はユーロ共同債にこれまでどおり反対の姿勢を貫いた。しかし、ユーロ存続のためにはいずれ共同債発行を決断するしかない
Photo:AFP=JIJI 欧州財政危機に端を発する金融システム不安への強い危機感が先進国の中央銀行を突き動かした。

 11月30日、日米欧の6ヵ国の中央銀行はFRB(米連邦準備制度理事会)とのドルスワップ(自国通貨とドルとの交換)協定の金利を0.5%引き下げ、期限を半年延長し、2013年2月1日までとする協調策を発表した。

 これはギリシャ、イタリアなど重債務国の値下がりしている国債を大量に保有する欧州の金融機関が、信用低下からドル資金調達に支障を来していることへの対策だ。

 調達コストの指標であるドルのLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)3ヵ月物金利は、7月には0.25%前後だったが、11月22日以降0.5%超えで推移していた。そこで、ドル資金をより低利で供給できるようスワップの金利を引き下げたのだ。市場も好感し、欧米の株価は急上昇した。

 ただ、これで欧州の財政危機が収束するわけではない。今回の協調策は金融機関の資金繰り対策、金融危機への波及の予防策ではあるものの、財政危機の主因であるユーロ圏の重債務国の財政を改善するものではないからだ。

最後の砦
ドイツ国債の利回りが上昇
 むしろ、収束どころか欧州の財政危機は正念場を迎えつつある。これまで他の主要国の国債利回りが上昇(価格は下落)しても低下基調が続いていた、ドイツ国債利回りまでもが上昇し始めたのだ。

 そのきっかけは11月23日の10年物国債入札の大幅な札割れ(募集予定額を応募額が下回ること)。60億ユーロの募集額に対し、39億ユーロしか応募がなかったのだ。

 ユーロ圏の財政危機収束にかかる負担が最も重くのしかかるのはドイツである。危機の深化に伴って、投資家がドイツ国債さえも敬遠し始めた。ドイツ国債は売られ、23日以降5営業日連続で利回りは上昇(価格は下落)。29日の取引終了時には2.3%台に乗せた。

 同時期にもちろん他の国の国債の利回りも上昇した。フランス国債の利回りも3%台後半に達し、スペイン国債利回りも6%台後半に水準を切り上げ、ギリシャなどすでに金融支援を受けている国が、国債による資金調達が難しいとされる水準である7%に迫った。イタリア国債の利回りも7%超えが定着し、協調策を好感して低下した30日でさえ7%を割ることはなかった。

 こうした危機的な状況に対して、ユーロ圏の政策当局の動きは相変わらず鈍い。

 29日の財務相会合で合意したEFSF(欧州金融安定化基金)のいわゆるレバレッジによる拡充案。しかし、その内容は重債務国の国債に額面の2~3割分の保証をつける、特別目的会社を設立し、新興国などの資金を呼び込むというもの。10月末の首脳会合で合意したことを再確認したにすぎない。

 以上の二つの方式でEFSFの規模を現在の4400億ユーロから1兆ユーロに拡大するのが当初の目標だった。しかし、会合後の記者会見でEFSFのレグリング最高経営責任者は、「途中段階で一つの数字を示すことはできない」としか言えなかった。ユーロ圏以外からの出資があまり見込めないためだ。


 7%超えの利回りからわかるように市場は、イタリアが資金繰りに窮する事態を織り込んでいる。IMF(国際通貨基金)の試算では、2012~13年の2年間でイタリアが国債の償還や利払いなどに必要とする資金は7000億ユーロ。

 ギリシャへの2次支援、銀行への資本注入のための資金まで考えると、EFSFの規模は1兆ユーロでも足りない。現在のままでは、市場の懸念を払拭することができないばかりか、増大させかねない。

 このまま、手をこまねいていれば、市場の猛威に押され、イタリアが金融支援をEU(欧州連合)に要請するといった事態を招きかねない。

上表は、7800億ユーロに保証枠を拡大したEFSFの保証の国別内訳だ。じつは、被支援国のギリシャ、アイルランド、ポルトガルも入っているので実際は7260億ユーロしかない。これで、イタリアが被支援国になると5867億ユーロしか保証枠がなくなる。

イタリア救済、仏格下げで
EFSFは機能不全に
 レバレッジをきかせる前の融資枠は保証枠の1.65分の1。イタリアが被支援国に回ると3555億ユーロに減少してしまう。「ギリシャの2次支援など使い道が決まっている額を引けば、実質利用可能融資額は1600億~2000億ユーロ」(藤岡宏明・大和証券キャピタル・マーケッツシニアクレジットアナリスト)となり、レバレッジをきかせた額ももちろん縮小する。そのぶん、ドイツ、フランスなど中軸国の支援負担が増す。

 格付け会社も警鐘を鳴らす。ムーディーズは、21日にフランス国債の利回り上昇に伴う資金調達コストの高止まりが格付け見通しの引き下げリスクになるとした。

 フランスの格下げは、EFSFに大打撃を与える。トリプルA国の一角を占めるフランスが格下げされれば、EFSFの信用力が低下し、「レバレッジをきかせても融資枠が4000億ユーロ強に縮小してしまう」(田中理・第一生命経済研究所主任研究員)。

 こうなればEFSFは機能不全に陥り、ユーロは存続の瀬戸際に追い込まれる。回避する手段は何か。最悪のケースを回避するための手段は、すでにユーロ圏の議論の俎上に載せられている。

 一つはECB(欧州中央銀行)による重債務国の国債買い入れである。イタリアの国債入札は、札割れこそないものの、短期債から長期債まで軒並み利回りが7%を超えている。利回りが下がらなければ、調達コストの増加が徐々に財政をむしばんでいく。目先、低下させるためには、ECBが大量に購入するしかない。すでに購入しているものの、金利水準を押し下げるほどの買いではない。

 もう一つは、ユーロ共同債を含む財政統合である。ユーロ圏全体で見れば、政府債務の対GDP比率は日米よりも低い。ユーロ圏で連帯して資金を調達し、償還する体制にすれば危機は解消する。

 しかし、いずれに対してもドイツが反対しているほか、国債の大量購入はECBの信認低下につながり、インフレを招きかねず、共同債を現時点で導入すれば放漫財政を助長すると考えられる。

 現在、フランス、ドイツが旗振り役となって、ユーロ圏諸国の財政を監視し、安定協定を守れない加盟国の予算編成権を制限するシステムを導入しようとしている。

 これがメルケル・ドイツ首相の決断を促す呼び水となり、二つの危機回避策に対する道筋が示されるのか。首脳会合で危機収束に向けた方策が打ち出せないのであれば、市場は再びユーロ圏の国債売りに向かい、ユーロ崩壊の序曲が始まるだろう。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)
http://diamond.jp/articles/-/15166?page=3

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