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英首相「今やらずにいつやるのか」…感染拡大でも規制解除、「集団免疫」に期待
2021/07/20 05:00
【ロンドン＝池田慶太、ワシントン＝蒔田一彦】英国のロンドンを含むイングランド全域で１９日、新型コロナウイルス対策のほぼ全ての規制が解除され、新たな日常が始まった。米欧では、規制を緩めた後に感染が再拡大して規制の復活に追い込まれる「Ｕターン」が繰り返されており、英国の動向に注目が集まる。
「正しい時だ」
「今、再開しなければ、ウイルスが活発化する秋や冬になってしまう。今でなくて、いつやるのか。これが正しい時だ」。ジョンソン英首相は１８日のビデオメッセージでこう訴えた。ジョンソン氏は「世界で初めて」（英ＢＢＣ）とされる感染拡大局面での規制解除に踏み切った。英国では成人の８８％が１回目の接種を終え、接種２回を完了した人は６８％に上る。英政府は、欧州各国に先駆けて進むワクチン接種で「集団免疫」を実現できれば、インフルエンザのように定期的なワクチン接種で感染を抑え込めると踏んでいる。
実際、ワクチン効果は数字にも表れている。今年１月に１日１０００人を超えた死者は５０人前後にとどまり、入院患者も４万人近かったピーク時の１割程度だ。規制解除後「１日あたり１０万人が感染、１００～２００人が死亡する」との推計に対しても、政府は「市民が段階的に行動を緩めれば抑えられる」と強気だ。
歓迎と懸念
ロンドン中心部のナイトクラブの運営責任者、トリスタン・モファトさん（３７）は「『フリーダム・デイ（自由な日）』を迎えられてうれしい」と解除を歓迎していた。ナイトクラブなどの娯楽産業は昨年３月から営業が禁じられており、業界では規制解除への待望論が強かった。一方で、レストランの経営責任者のジョー・チョルカーさん（５０）は「一気に緩み、再びロックダウンにならないか心配」と顔を曇らせていた。
世論調査では、規制解除後も公共交通機関などでマスクを着用するとの回答は６４％に上る。政府は規制解除にあたり、マスク着用を含めて「個人の責任」で安全対策を講じるよう求めている。市民の間では、性急な緩和への抵抗感とともに、市民任せとも言える政府の対応に批判が出ている。
野党・労働党は「シートベルトを外してアクセルをふむようなものだ」と政府を批判する。感染者の増加が続けば、ワクチンが効かない新たな変異種が出現しかねないとの懸念もある。
昨年末まで首相の上級顧問を務めたドミニク・カミングス氏は、ジョンソン政権が昨年３月、軽い発症を通じて多くの人に免疫を付けさせようとしていたと打ち明けている。政府は否定しているが、一定の感染を許容するかのような規制解除で深刻な事態を招けば、政権としても打撃を被りかねない。「危険なギャンブル」と受け止められている。逆戻り
オランダでは、６月２６日にほぼ全ての規制を解除した後に感染が急拡大し、今月９日に飲食店の営業時間制限などを再導入した。ロイター通信によると、ルッテ首相は「判断を誤った」として国民に謝罪する事態に追い込まれた。イスラエルでもいったん撤廃されたマスク着用義務が、６月下旬に再導入されている。米カリフォルニア州ロサンゼルス郡では１８日から、屋内の公共の場所でのマスク着用が再び義務付けられた。ワクチン接種の進行に伴って規制が大幅に緩和されてから、わずか１か月で義務付けが復活した。
米疾病対策センターによると、米国の１日の新規感染者は、６月下旬に１万人を下回る日もあったのが、今月１６日は約４万人まで増加している。しかし、直近１週間の死者数は１日平均２３８人で、３０００人超だった今年１月に比べて大幅に減少している。社会全体として危機感は薄い。
米政府は、社会活動の正常化が進む中、ワクチン未接種者の間で感染が急拡大しているとの認識だ。政府のビベック・マーシー医務総監は１８日、米ＡＢＣニュースに「より多くの人が接種しない限り、未接種者の間で感染者数が増える状況は続くだろう」と訴えた。
◆集団免疫＝ 人口の一定以上の割合が免疫を保有することで、ウイルス感染症などの流行が抑えられる状態を指す。新型コロナウイルスの集団免疫については７割程度との説があるが、疑問視する見方もある。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20210719-OYT1T50403/
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■ 2009年7月9日
「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。 本稿はその保管用記事です。
■ 2010年3月2日
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