☆映画人生に乾杯☆

~映画好きによる未完成映画ノート~
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明日への遺言 (戦争/裁判)

2009-06-06 | ●観て良かった
今回は真面目にいきます。
敗戦国日本は残虐非道きわまりなかった!…と教えられてきた全ての若者に見て欲しい。



時代背景戦時下において、空からの爆撃は軍事施設がターゲットであり、無差別爆撃は国際法(ハーグ条約)に反していた。しかし実際には無差別爆撃が戦略として各国で行われており、日本もまた米軍による無差別爆撃の被害を受けた。
爆撃した米兵はパラシュートで降下、それを捕まえた日本軍は彼等を次々と処刑(斬首)。

敗戦後、米兵を処刑した各部隊が裁判にかけられ、捕虜の殺害の罪で多くが絞首刑に処せられた。

ストーリー岡田資(たすく)中将もまた、降下米兵処刑の責任者としてB級裁判にかけられる。彼は米軍の攻撃こそが無慈悲な無差別爆撃であったとし、あくまで戦う姿勢を崩さなかった。
やがて岡田中将の部下を庇う高潔な姿勢にアメリカ人も魅せられるが…



映画感想としては『地味』の一言。よく映像化したもんだと感心しました。一人の男が延々と裁判をうける様を描いたもの。

裁判の争点は、殺害された米兵が『捕虜』か『戦犯』かどうかである。
無差別爆撃が認められれば、岡田が処刑したのは『戦犯』であり、国際法上では処刑が合法となる。つまり『戦犯』には『報復』が許されていた。
初めは岡田を重罪人として見ていた米軍判事たち。しかし、岡田が全ての責任を背負おうとしていること、死を覚悟しながらも部下が死刑を免れるまで戦おうとする姿勢に心を動かされたのだった。

ラストで岡田は絞首刑を言い渡されるが、アメリカ人判事はギリギリまで岡田を助けようとする。
また岡田の弁護士はアメリカ人ながら岡田を必死で守り、米軍の犯罪を立証しようとする。それもまたアメリカ人の正義だったのだ。

何が正義で何が悪なのか?戦時中においては現代の正義など通用しない。明日の命でさえ保障がないのだ。殺し合いにルールがあるのは理想的だが、遵守することが正義とは言い切れないだろう。

それぞれの戦いにそれぞれの決着がある。
岡田中将の最後の戦いは『法戦』であり、彼は死してそれに打ち勝ったのだった。

日本は悪くないって事じゃない。極限状態のなか、彼等がいかに日本を守ろうとしていたか…
当時を経験した全ての方々に頭が下がります。

彼等の戦い、もしくはその死の上に今の日本があるということを忘れちゃいけないなって思いました。

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