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何せ自由な帖なので

【雑】気がつくと書店のポイントが2000近くたまっている。 (フカエのマルから)

2014-05-16 20:53:25 | ウェブログ
(※某カフェ発行の読書関係フリーペーパーに寄稿しました)

「気がつくと書店のポイントが2000近くたまっている。 つまりこれだけ散財しているということで。」

 新しい本にはパワーがある。
 きれいで,つるつる,ぴかぴか。キャッチーなタイトル。あの人の書いた書評。美しい表紙や写真。目を引く斬新なデザイン。手を招く背表紙。はじめてきく言葉,知りたくなる中身。ふれたくなる世界。
 本屋へいくと,体中のアンテナがのびのびと,つい心がおどる。そして本屋からの帰り道は,買ったばかりの新しい本をにぎりしめ,子どものようにはしゃいでしまう。

 先日,ついに電子書籍デビューをはたした。電子書籍には抵抗感があったものの,手にしてみると,これは便利と,旅先の電車の中で,寝る前の暗い部屋で,書籍を読みあさっている。
 電子書籍は便利だ。電子書籍は膨大な数の書籍も,全てがうすい本体に収納されている。何を読みたくなるかわからないからと,わざわざ本を3冊も5冊もカバンにいれなくていい。旅行にいくときに,下着を減らすか本を減らすかで,真剣に悩まなくていい。それに検索も大変簡単で,お目当ての本を探すのに,本棚をいちいちひっくり返したり,あるいは本の山をくずたりしなくてもいい。何より電子書籍だと暗い部屋でも読めるから,寝る前にベッドから出て,電気を消しに行かなくてもよいことが大変素晴らしい。

 ただ,電子書籍はとても便利なツールだけれど,やはりそれは本とは別物なのだと感じる。
 やはりわたしは,本は,本屋で買う一冊の本がいい。

 発売を待ちきれなくて待ちに待って,とうとう手にして,手に汗もにぎって買うような。予算には上限があるから,慎重にえらんでえらんで,でもえらびきれなくてえいやと2冊を買ってしまうような。(そしてひもじくなるお昼ご飯。)何軒もさがしつづけて,声もでないほど,ふるえる手でようやく買うような。偶然目にとまって,いままで全くすれ違わなかったジャンルなのに,買わずにはいられないような。ずっと昔,小学校の図書館で読んだ本と再会して,お互いの近況を話しながらレジへ向かうような。今日は何か新しいものをみつけようと,あれやこれやひらいてみるも,結局おなじみの作家の本だけ買っているような。

 本はただ本としてだけではなくて,ページのそこかしこにはさまっている,その思い出も含めてそこに在る。そしてその最初の1ページはたいていいつも,本屋のなにげない棚の前。

 「出版不況」なんて,本好きの人間には,嫌なニュースもきこえてくるけれど,この内沼さんの本では,様々な本屋さんの新しいアプローチを紹介していて,本の未来はまだまだ明るいことを予感させてくれる。

 そして今日も本屋をおどるように歩く。
 きれいで,つるつるで,ぴかぴかの,そんな思い出の1ページ目に出会う。


テーマ:本屋
おすすめの本:内沼晋太郎「本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本」朝日新聞出版社

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